すちゃらかな日常 松岡美樹

サッカーとネット、音楽、社会問題をすちゃらかな視点で見ます。

【ロシアW杯】西野采配に感じるこれだけの疑問

2018-07-06 08:01:07 | サッカー日本代表
西野監督の続投には断固反対だ

 ロシアW杯でグループリーグを突破し、世界に強いインパクトを残した西野ジャパン。だが「勝てば官軍」で終わらせてしまっては、日本サッカーのためにならない。そこで今回は、実は「疑問」が多い西野采配の問題点を逐次、検証して行こう。

1. そもそも「あのサッカー」は西野監督が作ったのか?

 西野監督はよく選手の意見を聞き、監督というよりむしろ選手の聞き役に回っていた、という「美談」がしきりに報道されていた。「ゆとり教育」がよしとされるいかにも日本らしい光景である。だがもしそうだとすれば、そもそもロシアW杯で日本が演じた「あのサッカー」は、西野監督が作ったのか? 日本人らしい連動性とアジリティを生かした軽快で機動的なパスサッカー。あれは実は欧州の所属チームでポジショナルプレーを繰り広げる選手たちによるアイディアの結集であり、選手たちのアドリブの集積だったのではないか?

2. 本田に一時は「取り込まれた?」西野監督

 本田は西野ジャパン結成に当たり、報道陣に向け「再建策はある」「プランは考えている」とまるで自分が監督のような発言を繰り返していた。一方、西野監督も「本田のリーダーシップは頼もしい」などと持ち上げていた。とすればテストマッチのガーナ戦、スイス戦までのグダグダなあのサッカーは本田と西野監督の「合作」だったのではないか? トップ下の本田が横パスとバックパスを繰り返し、攻めをひたすら遅らせた「あのサッカー」こそがむしろ西野監督の作なのではないか?

 そして西野監督がレギュラーと考えていた選手たちを使ったガーナ戦、スイス戦でまったく結果が出ず、その反動でパラグアイ戦では西野監督がサブとみなしていた選手たちを「総替え」で使ったら、たまたま当たった。で、その偶然の産物であるパラグアイ戦でのサッカーの方が、W杯本大会での戦い方の雛形になった、ということではないのか?

3. 西野監督には選手を見る目がない

 上記2でもあげたが、西野監督は当初、宇佐美と本田を「主軸」と考えていた。この時点で西野監督には選手を見る目がないのは明らかだ。宇佐美はオフ・ザ・ボールの動きがダメで、すぐ足を止めてラクをしようとする。自分がボールを持ったときだけ輝くハンパな選手だ。守備も苦手でひ弱、ハードワークできない選手の典型である。

 一方の本田はトップ下に入るとバランスを無視した勝手なポジショニングをし、相手チームにカウンターのスキを与える。また速攻のチャンスなのに横パスとバックパスを繰り返し、ひたすら攻めを遅らせて好機をフイにする。こうした選手らを「主軸」と考えていた時点で、ハッキリ言って西野監督の能力を疑わざるをえない。

4. 西野采配はズバズバ当たった?

 巷間、西野采配は「ズバズバ当たった」ことになっている。確かに本田を途中出場させれば点を取るなど、西野監督が「持っていた」ことだけは確かだろう。だがそもそも西野監督はあのチームを本田のために作ったようなものであり、ガーナ戦とスイス戦でダメだった経緯もあり本田をレギュラーに据えることはさすがにできなかったが、「本田を途中出場させること」はむしろ予定の采配だった。

 つまりパラグアイ戦で「サブ組」を出したらたまたま当たったのと同様、当初の予定通り本田を途中起用したらたまたま当たっただけではないのか? 西野監督は「持っていた」のであり、果たして監督として「すぐれた戦略に基づきロジカルな采配を振るった」といえるのだろうか?

5. 西野采配はベテラン重視の年功序列だ

 西野采配をよく観察すると、ある一定の法則がある。例えばFWを使うなら、コンディションがよく裏抜けできるスピードのある武藤ではなく、ケガ持ちの岡崎優先、のような「若手よりベテラン」という年功序列だ。本田の途中起用もこの路線である。「点を取りたいときは本田」という定食コースの采配を自動的に繰り返していたにすぎない。現に今回、リオ五輪世代は使われなかった。要するに西野采配の正体は、ベテランを優先し彼らを順番に出場させて「引退への花道」を用意したら、たまたま当たった、というだけではないのか?

6. なぜ大島を使わなかったのか?

 最大の疑問がこれである。大島は途中ケガで欠場したが、本人のコメントによればその後回復したようだった。しかも事前合宿で西野監督は大島を大いに認める発言をしていた。ならば、もし大島をポーランド戦で起用していればまったく違った展開になったのではないか? あの試合で柴崎に代えて大島を使っていれば、柴崎は他の選手同様、ベルギー戦のために休ませることができた。ベルギー戦で柴崎は疲れが見えただけに残念だ。これは決して結果論ではない。もし大島のケガが治っていたなら、能力のある彼をポーランド戦で使うというのはきわめてロジカルである。

7. なぜGK川島を使い続けたのか?

 GKの川島はテストマッチでディフェンスラインとの連携ミスで失点するなど、非常に不安視されていた。当ブログでも、何度も若い中村航輔の起用を提案したが実現しなかった。これも年功序列采配の結果なのか? 日本が喫した多くの失点のうち、川島起因のものが何点あるか考えると複雑な心境になる。

8. 西野監督には分析能力がない

 あのベルギー戦終了後、西野監督の開口一番は「何が悪かったんでしょうねぇ? わからない」「あんなスーパーなカウンターを食らうなんて想像もしてなかった」だった。一方、ベルギー戦を観たイタリアの名将カペッロはじめ各国の元選手や監督たちは、「あの時間帯を考えれば、なぜ相手にカウンターのチャンスを与えるCKを本田に蹴らせたのか? セオリーから逸脱している」といっせいに指摘していた。また日本はセットプレイからの失点が多かったことについて、西野監督は記者会見で「結局原因がわからないので、対策を取るのはもうやめました」と放言していた。「天然」といえばかわいらしく感じるが……結局、西野監督には分析能力がないのではないか?

9. 西野監督の続投には断固反対だ

 巷間、西野監督はいったん任期を終え休養するがその後再登板も? などと囁かれている。だが以上の分析結果から、西野監督の続投には断固反対する。一方、スポーツ紙で報道されている、何の脈絡もない唐突なクリンスマン(お飾り監督)の就任にも絶対反対だ。監督候補を取り沙汰する前に、日本サッカー協会は「日本はどんなサッカーをめざすのか?」「それによって世界にどう勝つのか?」について、具体的なコンセプトをまず指し示すべきである。

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