すちゃらかな日常 松岡美樹

サッカーとネット、音楽、社会問題をすちゃらかな視点で見ます。

【J1リーグ】鳥栖が3連勝で暫定3位に ~鳥栖 2-0 徳島

2021-05-02 16:43:12 | Jリーグ
マニアックな変則システムが機能する

 徳島ヴォルティスによるハイライン・ハイプレスの2タッチの軽快なパスサッカーと、サガン鳥栖のマニアックな変則システムのスタイルとの戦いになった。

 前半の鳥栖は徳島のビルドアップに対し、マンツーマンでハメに行った。

 これに対し徳島はボールを失ってもリトリートせず、その場でカウンタープレスして即時奪回を狙う。

 戦術と戦術が真っ向ぶつかり合うコクのある対戦になった。

 だが鳥栖は後半にシステムを変えて2得点を取り、引き離す。前半の虚々実々の駆け引きから、後半は一気にヒートアップした。

 徳島はメンバーを変えて必死に食い下がるが追いつけず。最後は鳥栖の3連勝で終わった。

鳥栖は3-1-4-2、徳島は4-2-3-1だ

 鳥栖のフォーメーションは3-1-4-2。スタメンはGKが朴一圭(パク・イルギュ)。最終ラインは右からファン・ソッコ、エドゥアルド、中野伸哉だ。

 アンカーは松岡大起。2列目は右から飯野七聖、樋口雄太、仙頭啓矢、小屋松知哉。両サイドのウイングハーフは攻撃的に振る舞い、チャンスになれば前へと進軍する。

 2トップは林大地と山下敬大だ。山下は今季5ゴールをすべてこの日のホーム、駅スタで決めている。サポーターの期待がかかる。

 一方、徳島のフォーメーションは4-2-3-1。スタメンはGKが上福元直人。最終ラインは右から岸本武流、福岡将太、石井秀典、田向泰輝だ。

 2セントラルMFは岩尾憲と鈴木徳真。2列目は右から小西雄大、クリスティアン・バトッキオ、藤原志龍。ワントップは宮代大聖である。

徳島は変則3バックでビルドアップする

 4バックの徳島はビルドアップ時、右SBの岸本が高い位置取りをして組み上げる。このとき2CBと左SBが右にスライドし、3バックでビルドアップする。

 この徳島の変則3バックに対し、前半の鳥栖はマンツーマンで前から激しくハメに行く守備をした。

 2トップの山下と林、トップ下の樋口という3人が最前線のプレス要員である。3対3だ。彼らはエネルギッシュなハイプレスを見せた。

 鳥栖のFW山下は攻撃になるとターゲットマンを務める。相方の林大地は彼の回りを衛星的に動いている。

徳島は新任・ポヤトス監督のスタイルがよく出た

 前半39分。鳥栖のウイングハーフ・飯野がドリブルでサイドを駆け上がり、中へクロスを送る。これをFWの山下がシュートしたが決められず。

 前半43分には徳島がペナルティエリア手前でボールを奪い、縦パス。

 これを受けた徳島のワントップ・宮代大聖が、2タッチしてから右足を振り抜く。だがボールはわずかにゴールの上へ逸れる。惜しい一撃だった。

 そのすぐあとだ。前半45分、今度は鳥栖のロングボールに林が抜け出す。

 徳島DFはクリアしようとするが、林がそのボールを奪ってペナルティエリア右からフィニッシュした。だが惜しくもコースアウトだ。

 前半は両者無得点に終わったが、たがいの個性あるスタイルからの駆け引きがおもしろく、非常にエキサイティングな45分間だった。

 徳島は新任のダニエル・ポヤトス監督のやりたいサッカーがハッキリ見え、「このスタイルでやって行けば」との確信を感じさせた。

鳥栖の仙頭はうれしいJ1初ゴールだ

 鳥栖の先制点は後半10分だった。彼らは混戦からボールを拾うと、アンカーの松岡がトップ下の樋口にパス。樋口は左の山下へとボールを送る。

 山下は右足でシャープなシュートを放ち、これが敵DFに当たったがゴールにすっぽり収まる。1-0だ。

 後半、鳥栖は仙頭が一列下りて松岡と2CMFを組む、3-4-2-1にシステムを変えた。

 また敵のビルドアップに対するプレッシングもやり方を変え、前半は3人だったが後半は2人で相手のCBに圧をかけている。

 そして大団円は後半30分にやってきた。鳥栖が右CKから敵に当たったこぼれ球を仙頭が押し込んだ。

 仙頭はうれしいJ1初ゴールだ。対する徳島は5試合連続でセットプレーから失点している。修正が必要だろう。

 鳥栖は2点取ったらとたんにちゃっかり自陣にブロックを敷き、試合を殺した。これで鳥栖は3連勝で暫定3位だ。川崎フロンターレがトップを走っているが、まだまだ優勝の行方はわからない。

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【J1リーグ】「J1は川崎Fの一強だ」は本当か?

2021-05-02 05:42:28 | Jリーグ
どこに目をつけているのか?

「J1リーグは川崎フロンターレの一強だ」という人がけっこういる。

 どこに目をつけているのか? と素朴に思う。

 おそらく「矛盾(ホコ・タテ)対決」などと騒がれた首位決戦、第22節(変則日程で実施済)の名古屋グランパスvs川崎F戦で川崎Fが勝ったから、そんな印象になるのだろう。

 だが冷静に考えてみてもらいたい。

 その負けた名古屋にしても、現在の勝ち点は「29」だ。同じく13試合を終えて勝ち点「35」の川崎Fとは、まだ勝ち点「6」の差しかない。しかもリーグは5月1日に第12節に差しかかったばかりである。

 最終節まで、まだ20試合以上もあるのだ。

横浜FMの強さは本物だ

 客観的に言って、いまいちばん勢いがあるのは(川崎Fを別にすれば)横浜F・マリノスだろう。

 彼らは5月1日に第12節を勝ち、勝ち点「24」だ。だが横浜FMはまだ11試合しか戦ってない。

 彼らは第6節のガンバ大阪戦が、新型コロナの影響で中止になっているからだ。

 つまり川崎Fより試合消化数が2試合も少ない。

 仮に横浜FMがその2試合を勝ち、勝ち点6を積み上げたとすれば、現時点で勝ち点は「30」になる。

 すなわち川崎Fとは勝ち点「5」の差しかない。

J1は鳥栖も含めて4強である

 一方、現在、暫定3位のサガン鳥栖は、5月1日の第12節で徳島ヴォルティスを2対0で下して勝ち点「26」としている。

 この試合でJ1初ゴールをあげ勝利に貢献した鳥栖のMF仙頭啓矢は、勝利インタビューで「ぼくらは優勝をめざしていますから」とハッキリ断言していた。

 そんな鳥栖まで含めれば、J1は川崎Fと名古屋、横浜FM、鳥栖の4強ということになる。

 リーグ戦はまだまだ先が長い。

 川崎Fが巷間言われている通り無事「成仏」するまでには、ひと山もふた山もあるだろう。

 勝負の世界はゲタを履くまでわからないのだ。

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【J1リーグ】オナイウがハット、横浜FM快勝する ~第12節 FC東京 0-3 横浜FM

2021-05-01 21:20:07 | Jリーグ
ポゼッション率55%と横浜FMが支配した

 立ち上がり、横浜F・マリノスがほとんどボールを保持して試合を支配した。だがその後FC東京も盛り返し、前半は拮抗した内容になった。前半だけは点差ほど内容に差がついたわけではなかった。

 両チームともボールを失ってもリトリートせず、反撃を狙いその場でカウンタープレスする。両者、攻撃的な守備でいい前半だった。

 ただし、この日の横浜FMオナイウは圧倒的だった。

 グラウンダーのラストパスに合わせた1点目、同じくグラウンダーのクロスを受けて叩き込んだ2点目、こぼれ球を詰めた3点目とハットトリック。オナイウ爆弾が大爆発した。

 横浜FMは中盤から前線にかけての支配力が高く、エウベルは3ゴールすべてに関与した。またそのうち2点の起点になったのはマルコス・ジュニオールである。

 横浜FMの攻撃力は圧倒的だった。

横浜FMは4-2-1-3、FC東京は4-4-2

 横浜FMのフォーメーションは4-2-1-3だった。スタメンはGKが高丘陽平。最終ラインは右から松原健、チアゴ・マルチンス、畠中槙之輔、ティーラトンだ。

 2セントラルMFは喜田拓也と扇原貴宏。トップ下にはマルコス・ジュニオール。強力な豪華3トップは右からエウベル、オナイウ阿道、前田大然である。

 一方、ホームのFC東京のフォーメーションは4-4-2だ。スタメンはGKが波多野豪。最終ラインは右から内田宅哉、渡辺剛、ジョアン・オマリ、小川諒也。

 中盤は右から東慶悟、森重真人、安部柊斗、田川亨介。2トップはディエゴ ・オリヴェイラと永井謙佑である。

完全なフリーでオナイウが押し込む

 横浜FM、オナイウの1点目は前半8分だった。横浜FMがポゼッションし、試合を完全に独占している時間帯に生まれた。

 エウベルが右サイドを突破して中へ折り返しを送る。これをオナイウはワントラップして決めた。

 このときFC東京の守備陣は全員がボールサイド(横浜FMから見て右サイド)に引っ張られ、その裏にオナイウが潜り込んで完全なフリー状態でボールを押し込んだ。

 シュートの前にワントラップする余裕があったのが何よりの証拠だ。

 このあとFC東京も失点のショックから立ち直って次第に落ち着いた。ポゼッションして尻上がりに良くなる。力が拮抗した前半だった。

 FC東京のFW、ディエゴ ・オリヴェイラにはボールがよく収まったし、永井謙佑のハイプレスも圧があった。

 ただしFC東京のハイプレスは組織立ったものではなく、選手個々の判断で仕掛けている印象だった。この点が物足りない。

横浜FMの左SBティーラトンは偽SB化する

 そして後半3分。横浜FMはマルコス・ジュニオールが右からクロスを入れ、オナイウがこれをダイレクトで後ろにいたエウベルに送る。

 ボールを受けたエウベルは待ってましたとばかりにシュートしたが、FC東京のGK波多野豪がナイスセーブで弾いた。好プレーだった。

 横浜FMの左SBティーラトンは偽SB化し、一列上がって中に絞りCMFの位置に入る。これで球出しと相手のカウンターに備える。

 一方、FWのオナイウはポストプレイが非常にいい。

 こうして後半に入り試合はだんだん横浜FMに傾いて行った。

FC東京はディフェンディングサードまで引き始める

 オナイウの2点目は後半7分である。マルコス・ジュニオールが縦パスを出し、受けたエウベルが右サイドを突破。彼はグラウンダーのクロスを入れ、これをオナイウがゴールに叩き込んだ。

 FC東京は高まる敵の圧力を感じ、いまや相手ボールになれば完全にディフェンディングサードまでリトリートして4-4-2のブロックを作るようになった。

 後半10分、長谷川健太監督は流れを引き戻そうと、メンバーチェンジを行う。しかも3枚替えだ。

 まず田川に代えてアダイウトンを入れ左SHに。また右SHの東を三田啓貴と交代させた。そしてCBのジョアン・オマリに代えてMFの青木拓矢を投入した。

 これにより中盤にいた森重を左のCBに下げ、守備を強化すると同時にパス出しする基点を後ろに変えたのだ。

後半16分にオナイウがハットトリック達成

 だがいったん横浜FMに吹き始めた風は、FC東京には戻らなかった。

 オナイウ阿道がハットトリックを達成するのである。

 それは後半16分に起こった。まずマルコス・ジュニオールがボールを左サイドのエウベルに振り、エウベルがこれをペナルティエリア左からシュート。GKの波多野が懸命に弾く。

 このこぼれ球を押し込んだのが、オナイウだった。嗅覚が決めたゴールである。

 いまや横浜FMの中盤ではセントラルMFの喜田が獅子奮迅の守備をし、エウベルはすばらしいポジショニングからナイスパスを連発している。完全に彼らのゲームになった。

横浜FMは10試合無敗の3連勝だ

 そして3点を奪って以降、横浜FMは相手ボールになれば自陣にリトリートして4-4-2のブロック守備をした。

「金持ちケンカせず」である。

 こうして横浜FMは試合を殺した。3連勝だ。

 しかも10試合の無敗記録付きである。

 一方のFC東京はこれで12試合21失点、泥沼の4連敗に。勝者と敗者がハッキリ明暗を分けた試合だった。

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【J1リーグ】名古屋のフィッカデンティ監督がコロナ陽性に

2021-05-01 10:20:51 | Jリーグ
首位決戦・2戦目でも指揮取れず

 名古屋グランパスのマッシモ・フィッカデンティ監督が、29日に新型コロナのPCR検査を受け、陽性判定が出たらしい。

 やれやれ、やっぱり予想通りだ。

 これで次の川崎Fとの首位決戦・2戦目である5月4日の試合には、フィッカデンティ監督は指揮は取れない。

 しかし1戦目の結果に関し「監督不在は敗戦に関係ない」とか言ってる人がいるけど、正気ですか? って感じだ。だったら監督なんていらない、って話になる。

 いずれにせよ、名古屋はメンタルを整え直し、2戦目に臨む必要がある。

 がんばってほしい。

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【ラ・リーガ 20/21】久保建英、アーセナル入り? オフ・ザ・ボールを改善せよ、話はそれからだ

2021-05-01 06:28:57 | その他の欧州サッカー
ズレまくるマスコミの論調

「久保建英がアーセナル入りか?」などと一部で報道されているが、まったく頭がどうかしてるとしか思えない。

 なぜならあのプレミアリーグは、フィジカルのない久保にいちばん向かない世界だからだ。

 激しい球際の競り合いで「ポーン」とカンタンに弾き飛ばされ、例によって(トランジションをまったく無視して)芝生にドーンと大の字になり、両手を広げて「今のはファウルだろ?」などと審判にアピールするのが関の山だろう。

 いつもの通りだ。

 久保は競り負けしないフィジカルと球際のデュエル、質の高いオフ・ザ・ボールの動き、機敏なトランジション、献身的な守備を身につける必要がある。

 話はそれからだ。

 オン・ザ・ボールな久保はボールをあやつるテクニックだけは十二分にあるのだから、もしこれらの要素を身につければどこへ行っても通用するだろう。

 ぜひ、ひと皮むけることを期待している。

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