この作品は1980年に公開されたオリビア・ニュートンジョン主演の映画を舞台化したもの。
ブロードウェイでは2007年7月にオープンし、2008年9月にクローズするまで512回の公演を達成している。
メガヒヨは本場で観る機会が無かったので、この来日公演はいいチャンスだった。
割りといい評判を聞いていたので。
ストーリーの大筋は映画版とほぼ同じ。
売れない画家の青年のもとに絵から飛び出してきた女神が訪れ、彼の夢「流行の発信地を作ること」を叶えようとする。
そして二人は恋に落ち、人間と女神というハードルを越えて結ばれるという話。
楽曲も映画版にオリビアのヒット曲「そよ風の誘惑」を加えるなど、耳になじんだ構成となっている。
衣装も80年代のテイスト。
ランニングと短パン、レッグウォーマーなど懐かしアイテムは、ギャグにもされている。
メガヒヨはこのたび、映画を予習がてら観た。
「DANCIN'」などいいナンバーもあったけれど、ローラースケートの人海戦術作品という感じで、正直眠くなってしまった。
当時の評判もすこぶる悪く、栄誉ある第一回ラジー賞に輝いている。
しかしながら一方で熱烈なファンを捉え、カルトムービーとして長いこと君臨し続けてきた。
舞台版はこの映画版のワザとらしい演出をあえて継承し、徹底的の笑いのネタとしている。
観に行くのなら、映画版はチェックしておいた方が絶対楽しめるはず。
人海戦術の映画版に対し、この作品はブロードウェイ作品にしてはかなり小粒で、まるでオフ作品の様。
セットもシンプルで、登場する俳優も10名しかいない。
主人公キーラは女神ミューズなので、9人姉妹の設定。
しかし女優は主役含めて5名なので、人数が明らかに不足している。
そこで男優2名がおネエキャラとして女神を演じている。
ブロードウェイではそれでOKでも、日本人から見るとゲイ率が高すぎる気も…

ちなみに残りの姉妹2名はオケバンドで演奏中ということになっている(笑)
今回のカンパニーはアメリカ国内ツアーの方々。
なんとソニー役にMAX VON ESSENの名が入っている!!
彼は2000年のブロードウェイで「ジーザス・クライスト・スーパースター」の代役ジーザスで見た。
豊かな声量でフォード・センターを圧巻していたのを昨日の様に思い出す。
演技力も豊かで、不良少年風なユダに対し金八先生の様な寛大さで振舞っていた。
今回のソニーは、少々役不足な感が無きにしも非ず。
どうせなら大規模作品のドラマティックな役で来日して欲しかった。
悪くはないんだけど、コメディ向きではないと思う。
それでも歌は変わらずの圧倒的な美声で良かった。
ちょっとだけど得意のファルセットも披露してくれた。
他にはメルポネメ役にSHARON WILKINSというのも嬉しかった!
メガヒヨは隠れた名作『SEUSSICAL』のファンなのだけど、その際サワー・カンガルーを演じていたのが彼女だったのだ。
朗々と響く歌声とともに、あの「デャハハハ」との笑い声も健在だった。
主演キーラ役のELIZABETH STANLEYは多分初めて観たかも。
ブロードウェイの定番、金髪のカワイ子ちゃん役によくはまっていた。
個性をあまり出さずに、オリビアのモノマネに徹していた事に好感が持てた。
歌もアメリカから呼ぶ位の価値があった。
役者さんに関しては満足だけど、前述の様に舞台の規模があまりにも小さいので、物足りなさは否定出来ない。
上演時間もインターミッションなしで90分だし。
それでS席12,000円は正直高いと思う…。
もちろん招聘が大変なことというのは分かるけれどね。
メガヒヨが行ったのは金曜のソワレ。
2階は分からないけれど、1階で八割ほどの入りだった。
おそらくこの演目は『CHICAGO』や『RENT』みたいに何度も来日するものではないので、ご覧になりたい方はこのチャンスを逃さない方がいいかも!