メガヒヨの生息日記

メガヒヨ(観劇、旅行、鳥好き)のささいな日常

メガヒヨ in NY2017 その11《HELLO, DOLLY!編》

2018年05月30日 | NEWYORK

またもや更新を空けてしまった。
今年のBroadway旅行に既に行ったにもかかかわらず、2017年の観劇記をいまだにupし続ける始末。
最後まで書かなきゃとばかりの執念の自己満足だが、お付き合いいただけたら幸いである。

最終日水曜マチネに選んだのはコチラ。
2017シーズンの中で最もチケ難演目であるこの作品。メガヒヨは発売日に買おうとしたけど一晩悩み、次の朝には結構売れてきていたので慌てて買った。

マチネにしたのは、主演のBette Midlerさんの主たるファン層が年輩のご婦人であるため、夜より昼の方がご本人登板の可能性が高いと推測したため。
その作戦は功を奏し、当日の公演は代役なしであった。

5月3日水曜日14:00 Shubert Theater
メザニンA16(上手中央より通路から8つ目)

レギュラープライス $189.00(事前に専用サイトで購入。手数料別)


座席からの眺め。かなり見やすい。
左に写っているPlay Billは隣の隣の方が手すりに置いていたのだけど、斜め後ろの方から「それがあると舞台が見えない」と注意されていた。
メザニンは前列の人のちょっとした姿勢とか動きで見えづらくなっちゃうんだよね。自分も気を付けなければ!


舞台は宝塚のようにオケピを超えて銀橋がしつらえてある。
Betteさんや激しい振付のダンサーが落ちないか冷や冷やした(笑)

Dolly...Bette Midler
Horace...David Hyde Pierce
Cornelius...Gavin Creel
Barnaby...Taylor Trensch
Irene...Kate Baldwin
Minnie...Beanie Feldstein
Kemper...Will Burton
Ermengarde...Melanie Moore

あらすじ
19世紀の終わりごろのニューヨーク。
旦那さんが健在だった頃は羽振りのよい生活をしていたドリー・リーバイ。今は結婚仲介業で生計を立てている。
今回の顧客はニューヨーク近郊で商売を営むホーレイス・バンダーゲルダー氏。
彼は金持ちだが、倹約家で女性を家政婦くらいにしか思っていない。
そんなホーレイスも若くて美しいアイリーンとの見合いに乗り気だ。彼女はニューヨークで帽子店を営んでいる。
意気揚々とニューヨークに向かうホーレイス。そこでドリーは企み事をする。
ホーレイスの店の従業員、コーネリアスとバーナビーをけし掛けニューヨークのアイリーンの店に向かわせたのだ。
また時を同じく、ホーレイスの姪アーメンガードとその恋人ケンパーの駆け落ちの手助けも行う。
登場人物が出揃ったニューヨークで何が起こるのか。ドリーの目的は如何に。

バーブラ・ストライサンドさん主演の映画で有名なこのミュージカル。
大スターBette Midlerにより何度目かのリバイバル上演となった。
会場は年輩のお客さんがたで、まるで日本の明治座状態。みんな大好きなBetteを観られるとあって開幕前から幸せそう。
メガヒヨも『フォーエバーフレンズ』(原題Beaches)でとても感動したので、目の前で動くBetteさんを観られることにとても興奮した。

冒頭、Betteさんが登場するやいなや会場は大盛り上がり!!
若き日のバーブラ・ストライサンドが演じたDollyとは全く違うタイプだけど、お見合いおばさんとしたらBetteさんの方がよりしっくりくる感じ。
そして存在感。第二幕で高級レストランのウェイターが「リーバイ夫人がくるぞ!!」と大騒ぎになるのだけど、確かに文句なしのカリスマを備えていた。

そしてDollyの影を感じさせる演技も良かったなぁ。一幕終わりごろ、亡き夫が営んでいた店の前で佇む彼女。そのシーンまでは快活一辺倒だったので、その後に続く♪Before The Parade Passes Byがよりこちら観客の心に染みてくる。
このミュージカルは名曲揃いで、♪Put on Your Sunday Clothesなんかも聴いててわくわくするんだけど、自分くらいの年齢になると「パレードが過ぎ去る前に」の歌詞がぐぐぐと来るなぁ。
Betteさんはこの歌を歌いながら涙をこらえている様にも見えた。
それにしてもこのシーズンはヒロインの独唱で一幕を締めるってのが多いな。『Anastasia』とか。

Dollyが影を見せるのはあくまでこの一幕ラストのみ。第二幕は快進撃を見せる。
レストランで見せるゴージャス衣装、そして店員とのダンス(♪Hello Dolly)。
食事のシーンでのコミカルな演技も素晴らしかった。Betteさん、チキンの食べマネ上手すぎ!!
それと模造ヨークシャプティングなのか、白いふわふわしたものは実際にお口に入れていた。口中の水分を持っていきそうだったけど、あんなにいくつも食べて大丈夫なの!?(笑)

その後、裁判にシーンが移っても食べ続けるメンタルの強さ、そして裁判官にまで営業用の名刺を配るずぶとさ。
DollyがBetteさんの体を借りてまるでそこに生きているようで、英語は分からずともお腹を抱えて笑った。

Betteさん以外のキャストも素晴らしかった。
コーネリアス役のGavin Creelさんは抜群の安定感。顔よし、歌よし、演技よし!!この役は映画ではマイケル・クロフォードさんが演じていたんだよね。
映画では当時のマイケルさんの年齢に近くして28歳という設定だったけど、この舞台版では33歳になっていたよ。
Gavinさんのやさしい顔立ちは、まさにホーレイスのブラック企業で耐え忍んで働く青年そのまんま。この作品でトニーの助演男優賞を勝ち取っていたけど納得。

アイリーン役のKate Baldwinさんも良かった。理知的美人で、歌声も深みがあって。
その助手、ミニーを演じたBeanie Feldsteinは斜め先をいくようなキャスティング。今『Hair Spray』をやっていたら、トレイシーに抜擢されそうなぽっちゃりさん。
彼女自体は上手でとてもいいんだけど、仮にもNYのお洒落最先端の帽子店の店員なのに衣装のせいで野暮ったく見えるのが残念だった。

ミニーとお近づきになるコーネリアスの後輩、バーナビー役はTaylor Trenschさん。
彼は小柄で身軽なダンサー。長身のGavinさんと並ぶと凸凹コンビ!
彼も設定年齢が違い、映画版は19歳、舞台版は17歳なのであった。ニューヨークに来たらクジラが観たいとはしゃいでいたから、17歳という方が納得!

ケンパーとアーメンガードもいいコンビだった! こちらは映画版とそう違わないかな。(映画版のケンパーはトミー・チューン!)
Will Burtonさんは昨年『パリのアメリカ人』で観た。長身の優れたダンサーなので、Kyleくんと役を奪い合いそうだなぁ。

そうそう、肝心のホーレイス。如何にも渋ちんのおじさん(おじいさん?)って感じでDavid Hyle Pierceさんもはまり役。
気になったのが、Dollyが紹介する遺産相続人のMiss. Moneyが47歳ってとこでドン引きするところ。
そりゃあ47も決して若くはないけど、こんなおじいさんにケチ付けられるような年齢ではないでしょ。まぁ脚本自体が50年以上前のものだから仕方ないのだろうけど。

それとこのミュージカルのアンサンブルの層の厚さにも驚いたな。
レストランの従業員のダンサーは長身、小柄、若いの、ベテラン、様々なタイプの方々がキャスティングされていた。
そんなダンサー総出でDollyを先頭に踊るシーンは圧巻。上演中のスタンディングオベーションなんて初めて見たよ。

あとは舞台装置。
名シーンのレストランの階段も豪華だけど、汽車には驚いた。あれはお金かかっただろうな。
もちろんチケットの売れ行きが好評だから、投資額は回収できたのだろうけど。

楽しかった二時間半はあっという間。
舞台がはねたら出待ちの列に並ぶよ。
係員の人が「Betteは出てきません~」と前もって言っているおかげで、それほどの混雑ではなし。


コーネリアスとケンパーのアンダースタディである、Nathan Maddenさん。
来日の舞台にも立たれている。この時も「また日本に行くよ~」とおっしゃっていたけど、どの公演だったかな。
とても感じのいい方なので応援していきたい。


そしてそして。Broadwayの白王子であるGavin Creelさん!!
(ちなみに黒王子はWill Swenson氏、トーン王子はNick Adamsくんである。)
Fanに対する優しさはデビュー当時と変わらず。
今年の夏にコーネリアス役でこのショーに戻ってくるんだよね。ああ、観に行きたい…。


<おまけ>
おまけこのShubert劇場の荷物チェックの厳しさはBroadway1,2を争う位。
ペットボトルを持っていったら容赦なく取り上げられる。
…まぁ安全のためだから仕方ないのだろうけど。

でもって水を取り上げられたメガヒヨ。のどが渇いてしまうので、バーコーナーで5ドル出して水を買った。
出されたのがコチラの写真のタンブラー。

よほど「へっ!?」って顔をしたのだろうか。店員さんが「ちゃんとしたミネラルウォーターが入っているから」と言い添えてきた。
せっかく5ドルも払ったのだから、このタンブラーを再使用しようと持ち帰ったのだけど、かなーりプラ臭くて使い物にならず。
せめてHello Dollyのロゴでも入っていたら良かったんだけどな~。 

<おまけ2>
何年か前に富山の劇場が日本版を制作したけど観に行けばよかったな~。
もし日本版が現在制作されたら…
ドリー...保坂知寿さんもしくは島田歌穂さん
ホーレイス...市村正親さん
コーネリアス...山崎育三郎さん(転職サイトの広告を見て、ブラック企業で耐え忍んでいるイメージがついちゃったので)
バーナビー...工藤広夢さん(身の軽さであのダンスを踊ってほしい)
アイリーン...和音美桜さん(Ribbon Down My Back歌ってほしい)

古典ミュージカルだしストーリー展開に無理もあるけど、一つ一つの楽曲が素晴らしいのできっと受けると思う。
Broadway版もクローズなので、ぜひあの機関車を買い取って上演していただきたい。