6月9日土曜日ソワレ。
プリシラ上演中のパレス劇場よりBroadway越しの向かいにある、マーキース劇場にて『EVITA』を観る。
チケットの売れ行きが好調らしく、劇場は大混雑。
メガヒヨがチケットを取ったときは、一切のディスカウントは無かった。
それにこのリバイバル版はあまりいい評判を聞かなかった。
高いチケット代を払うくらいなら、PRISCILLAをもう一回観た方がいいかなぁとも思い始めてもいた。
しかし日本に住んでいては、ミュージカルのEVITAは劇団四季が上演するものしか観ることが出来ない。
せっかくBroadwayに来ているし、しかもここでの上演は久々とのことで、これは貴重なチャンスだと考えた。
そんなわけで観に行くことを決めたのだけど、センターブロックはかなーり後ろの方までプレミアムシート扱いになっていた。
でもって選んだのは最前列の見切れ席。
こちらのシート、A列6番は一般のオーケストラ席定価より10ドル安かった。
その割にエヴァが♪Good night and Thank youのベランダで男を取っ替え引っ替えするシーン以外、見切れはほとんど無かった。
それどころかRicky Martinがしょっちゅう目の前に来たので、かなりお得な席だった。
主役の面々。
チェ役のRicky Martin。
当初、の名前を聞いても、「はぁ…。で、どちらのRickyさんで?」てな感じでよく知らなかった。
「郷ひろみが歌ったGOLDFINGER'99のオリジナルの人ですよ。」と教えていただき、「ああ、あのアチチの歌の!!」とやっとこさ分かった。
実はこのメガヒヨ。誰もが知っている有名人について、かなり疎かったりする
ところでRickyはB'wayの舞台に出演経験がある。1996年にレ・ミゼラブルでマリウスを演じていた。
実力の裏打ちがあるスターということもあって、歌もダンスも問題なくこなす。
といいつつ、メガヒヨは映画版のAntonio Banderasのイメージが強くて、このリバイバル版も彼が出ていたらなぁとため息をついた。
チェ役の俳優さんは、彼のようにフェロモンムンムンな人が第一条件だと思う。
女性として最強であるエヴァに立ち向かっていくには、『nine』の時の彼のように1人で16人の女性を相手に出来る位のunequaled energyが無いとダメだもの。
もちろんRickyも、高い目線でエヴァを語るところは良かったのだけれどね。
エヴァにはElena Roger。
彼女はWestEndで活躍中のアルゼンチン出身の女優さん。
今回がB'way Debut。
写真をご覧の通り、彼女は超美人。
しかし体はとても小柄。
Kristin Chenoweth様の様に低身長でもグラマーな人はいるけれど、彼女はまるで少女のような体つき。
ゴージャスな顔立ちの下には、あどけない体型。
ぱっと見、合成写真のような違和感を覚えるけれど、それが妙な色気を感じさせる。
実在のエヴァもかなり小柄だったという話。
史実に近いキャスティングが行われたのね、きっと。
歌声については、Bernadette Petersに近い部類。
少々鼻とノドに引っ掛かりつつ、斜めの方からやってくるセクシーな声。
決して正統派のクリスタル・ボイスではないけれど、独特の魅力が感じられる。
四季では絶対こんなエヴァは聴けないな。
そうそう。♪I'd Be Surprisingly Good for Youのシーン。
四季版だと、
「束の間の一夜に
愛をわかちあうより
二人が求めるのは
もっと大きな願い
私をどうか分かってね
あなたのための女」
と、エヴァは本気モードでしおらしく歌う。
しかしこの舞台では、
「I'm no talking of a hurried night
A frantic tumble and a shy goodbye
Creeping home before it gets too light
That's not the reason that I caught your eye
Which has to imply I'd be good for you
I'd be surprisingly good for you」
と、いけしゃあしゃあというか、露骨なまでの猫かぶりな様子で歌っていた。
この演技に観客は爆笑!
メガヒヨもこちらの方が腑に落ちた。
これぐらい腹黒くなきゃ、田舎娘が大統領夫人まで成りあがれないしね。
そして♪Don't Cry for Me Argentinaの後の、権力行使発動でエヴァが態度を切り替えるところも良かった。
全ては国そのものを自分の意のままにするために、ここまで執念をもって上り詰めたのかと。
もちろんその政策は評価された部分はあれど、大抵は行きあたりばったりのものだったのだけどね。
ペロン役には、文字通りのBroadway StarであるMichael Cerveris。
ASSASSINSのブース役が好きだったなぁ。
歌の巧さに関しては語るまでもなく。
持ち歌が少ないのが本当に勿体ない!!
同じことを映画のJonathan Pryceのときもそう思った。
劇中の中では、♪The Art of the Possibleのとっくみ合いが好き。なんか相撲みたいで(笑)
それから、マガルディにはMax von Essenがキャスティングされていた。
チェのアンダースタディも務めているとのこと。
正直、メガヒヨはそっちを観たかったかも。
彼のことは、2000年のJCSでジーザスの代役だった頃から好きだったもの。
あのときは、不良少年のTony Vincentを優しく説き導く金八先生の様なジーザスだった。
その貫禄からして当時はまさか20代と思ってなかったけど、化けていたのね(笑)
さてさてそれでは動画をどうぞ♪ こちらは公式トレーラー。
こちらは2012年度のトニー賞パフォーマンスの♪Money Kept Rolling In
賞関係には振られてしまったけれど有名人の出ている話題作ということで、劇場にはメガヒヨを始めとしたおのぼりさんが大勢来ていた。
さらに様々な人々が集まる土曜ソワレの弊害か、「しゃべり続けていないと死んでしまう方々」も大勢その場に来ていた。
メガヒヨの隣、上手側に座っていたカップルもその類で、幕が上がっても会話を続行していた。
口に指を添えて「シー」のジェスチャーをしたら、何とか止めてくれたけどね。
でも他にも騒音源はいて、中東系らしきスカーフを巻いたご婦人も英語以外の言葉でしゃべり続けていた。
芝居に感激して、つい言葉を漏らしちゃいましたなんてレヴェルじゃない位の長話。
身の上話でもしているんじゃ?とか思ったよ
迷惑この上ないのだけれど、それにしても不思議に思う。
芝居をそっちのけにしてしゃべる人々って、高いお金を払って何しにきているんだろう?
その予算と時間を使って、景色の素敵なレストランにでも行ったらどうなの?
そこではいくらしゃべっても怒られないはずだし。
ところで…。
Rickyはチェの衣装としてヘンリーネックの白いシャツを着用していた。
そして髪型は七三。
これらの要素って、どこかでみたことあるよね。
ほら、あの国民的マンガの主人公をほうふつとさせてくる。
そう。メガヒヨは彼のことが、パカボンのパパに見えてしょうがなくなってきた。
さらに腹巻と鉢巻きをつけたら、それ以外の何物でもないってば!!
彼が何を歌っても、頭の中でバカボンのパパの口調に変換してしまう。
「まるでサーカス、まるでショーなのだ!!」
「聖エビータとはだーれなのだ!?」
「こにゃにゃちわでありがとうなのだ!!」
しかも彼、来年には41歳の春をむかえるしね♪
雑念は色々湧けど、日本とは桁違いのラテンの雰囲気漂う『EVITA』を楽しめた。
重ねがさね言うけれど、四季版とはまったくの別作品でこれを観られるのは日本人にとって貴重な機会。
現地においでの際は是非ともおすすめしたい。