今までブロードウェイ版、日本語翻訳版とアナスタシアを観てきた。
そしてこの度は昨秋上演の宝塚大劇場、年明けの東京宝塚劇場において宙組版「アナスタシア」を観るチャンスに恵まれた。
メガヒヨの初宝塚観劇は91年の涼風真世さん主演のベルサイユのばらなのだけど、宝塚大劇場いわゆる"村"を訪れるのは初めてだった。
というか行ってみてびっくり。駅から劇場まで赤い屋根の建物で統一されていてまるでテーマパークの様!
劇場の建物内に入ってみてもチケット改札はずっと奥で、そこまで売店やレストランなどの商業施設エリアがしばらく続いていた。
お菓子やグッズも様々な種類があり、これは周辺の経済を大きく支えていそう。
ブロードウェイも顔負けのグッズの数々!
この度大劇場に連れてきて下さったKさんのご厚意でメザニンど真ん中で観劇することがかなった。ありがたや。
今回の宝塚上演版は、男役スター真風涼帆さん演じるディミトリを主役に立てた独自演出。(潤色/演出 稲葉太地氏)
かなり変更があると思いきや、作品の軸はぶれずシーンも想像以上にブロードウェイ版を踏襲していた。
中にはこのアイディアはさすがと思うものも有ったり。
気になったシーンをピックアップするね。
♪Once Upon A December
冒頭の皇太后と少女時代のアナスタシアのデュエット。ほぼ変更なし。
皇帝役の瑠風輝さんが少女アナスタシア役の天彩峰里さんを軽々姫抱っこしている。久々の宝塚観劇だけどリフト振付が増えた印象。
その後のロシア革命への流れだけど、貴族の人数多っっ!! 豪華だ…。
撮られる写真も団体写真である。
そうそう。オリジナル版では冒頭のアナスタシアは子役で、ロシア革命前の舞踏会は本役とは別の女優さんがヤングアナスタシアを演じていた。
でも宝塚版ではその設定はなく、星風まどかさんがドレスを着て登場している。
♪A Rumer In St. Peterburg
このシーンはキャスト総出?圧巻のコーラス。
しかしこれでもコロナ対策で人数を減らしている。フルの人数だったらさらに凄かっただろうなぁ。
♪She Walks In
Stephen FlahertyさんとLynn Ahrenさんによる新曲。
二幕への伏線となる歌詞で、宝塚らしいバラード調の素敵なナンバー。
♪Once Upon A December(Emsemble)
アーニャとディミトリのデュエットになっていて驚き。でも違和感なし。
皇后がスキャットで歌っているのもいいな。影コーラスも厚い。
そういえば気になっていたんだけど、ブロードウェイ版のこのシーンってコーラスは生歌だったのかな?
姫4名と貴公子4名はあの振付では歌えないだろうし、皇帝、皇后、侍従二名、侍女二名、舞台裏のリリーとヴラドと皇太后という少人数であのボリュームは出せるものなのだろうか。
気になっていたもので少々話が脱線してしまった・・・。
♪Journey To The Past
歌い出しがディミトリだ。こちらも違和感なし。
本来はヒロインによる一幕ラストソロナンバーだけど、エリザベートで♪私だけにをトートが締めてしまうレベルの宝塚アレンジ。
♪Paris Holds The Key
二幕の冒頭を彩るこのナンバーは宝塚ならではの豪華さ。一幕とは違ってキャストさん達が色とりどりの衣装をまとって踊り歌う。
宙組は美形揃いと聞くけどまさにそう。こんなに綺麗な人たちが舞台いっぱいちりばめられているなんて、本当に贅沢だ。
♪Close The Door
寿つかささんは普段男役だし、年齢もまだ40代後半くらいなのに皇太后としての威厳がすごい。演技力が高い方なのだな。
遠目だと本当に麻美れいさんやMary Beth Peilさんと並ぶかのように見える。
♪Quartet At The Ballet
ブロードウェイ版ではメガヒヨ大贔屓のKyle Brownくんがジークフリート王子を踊ったこのナンバー。
宝塚版ではロットバルト役の優希しおんさんが抜群の舞踏センスを披露していた。
大劇場で11月に観劇した際は、オリジナル版でオデットに振り付けられていた32回転をロットバルトが回っていたのが衝撃だった。
東京ではそれほど多くターンしていなかったし、早くはけた様な気がしたので振付が変更したのかな?
そうそう。Kyleくんの振付とは違うけど、宝塚のジークフリート王子もオデットをリフトしていたよ。カッコいい!
♪Still/The Neva Flows(Reprise)
ディミトリが主役と聞いていたから、ラストのグレブとアーニャの対決シーンは彼が割って入ってくるかと思っていたよ。(そんな事は無かった)
♪Once Upon A December(Reprise)
ドレスのまま駆け落ちするのはオリジナル版と一緒。
ラストに亡くなった家族に見守られて二人で旅立つのも同じなんだけど、記念写真にディミトリが加わる演出は気持ちが温かくなった。
久々の宝塚観劇(2014年の伯爵令嬢以来)なもので真風涼帆さんと星風まどかさんを初めて拝見したのだけど、とても素晴らしいコンビだった。
真風さんとグレブ役の芹香斗亜さんのPR動画を観た際には配役は逆の方が良いのではと思ったけど、ディミトリの少年っぽさや健気な様をよく表現されていた。
星風まどかさんは歌も上手く、お顔も可愛らしいので最高のアーニャだった。いずれ梅芸版でもこの役を演じてほしいなぁ。
芹香斗亜さんは♪Stillや♪The Neva Flowsなどの難歌を歌いこなして大拍手だったし、ヴラド役の桜木みなとさんも髭をたくわえた中年男性という役を健闘されていた。(フィナーレのソロ歌手と同一人物とは全く気付かなかった。)
フィナーレといえば、大輪の花みたいな娘役がいると思ったらリリー役の和希そらさんだった。普段は男役の方とのことで、真風さんと長身同士のペアダンスは見ごたえが有った。
終演後にチケットでお世話になったKさんと宝塚に詳しいSさんに色々話を伺った。
なかでも印象に残ったのは、自分が年齢を重ねても宝塚には感情移入しやすいということ。
それはメガヒヨも大いに頷けた。
ブロードウェイ版のDerekさんや日本版の三人のディミトリも素敵だけど、自分がアーニャになりきってときめくのには遠慮してしまう。
だって本物の若い男性だから。
真風さんも雲の上の人という意味では同じなんだけど、舞台では美青年でもそれは虚構の世界でのこと。正体は涼しげな目元の美女だからね。
作り上げられた世界に付き、いい大人の当方も思いっきりその世界に浸れるということなのだ。
この度はチケット入手難の宝塚を観劇できて本当に幸運だった。
また大劇場に来られたらいいなと思う。