メガヒヨの生息日記

メガヒヨ(観劇、旅行、鳥好き)のささいな日常

メガヒヨ in NY2017 その4《Amelie編》

2017年08月28日 | NEWYORK

2001年のフランス映画の舞台化作品。
カリフォルニアでのトライアウトを経て、主役アメリ役を『Hamilton』のPhillipa Sooさんに置き換えてのBroadway上演。

メガヒヨはPhillipaさんも大好きだけれど、ガラス男/八百屋さん役のTony Sheldon先生がご出演ということで発売日に張り切ってチケットを購入した。

4月30日日曜日15:00 Walter Kerr Theatre
オーケストラK10 (上手端から5つ目)
レギュラープライス $159.50(事前にチケットマスターで購入。手数料別)

購入したときはこの席がレギュラープライスで買える一番いい席で、中央寄り隣のE8はプレミアム扱いになっていた。
しかし当日、隣に座った女の子の持っていたチケットの額面は50ドル台…。メガヒヨの席の三分の一の値段じゃん!!
おそらくラッシュチケットとして放出された模様。

自分は新作を中心にレギュラープライスで買うことが多いのだけど、気が付いたこと。
この作品に限らず全般的にプレミアム席の設定範囲が年々広くなり、レギュラープライスで買えるのは端っこばかりになってしまっている。
それでプレミアム席が埋まらないとなると、直前に格安で放出するパターンを繰り返している感じ。

空席にするよりかはいいと思うのだけど、だったら最初からその良席をレギュラープライスで買う客の方に割り当ててほしい。
早めにチケットを購入して作品を支えるファンをもっと大事にするべきだと思った。


さて作品の方に話を戻すよ。

このアメリも緞帳にプロジェクトマッピングを採用。
この写真だと見づらいのだけど、幕全体が織物のような模様になっている。
よくみていると柄の小鳥やリス、蝶が動いている! なんて可愛らしい。
そして開幕時間が近づくと彼らは一斉に退散するのだ。

Amelie...Phillipa Soo
Nino...Adam Chanler-Berat
Collignon/Dufayel...
Tony Sheldon

あらすじ

医師である父、教師である母との間に生まれたアメリ。
幼少の頃に緊張して脈拍が乱れたのを心臓病と誤解した父親は、彼女を学校に通わせずに母親による家庭教育で育てる。

世間から切り離された子ども時代。
唯一の友達は金魚のフラッフィー。しかし彼が水槽から飛び出す騒ぎを起こしたので、川に放流する羽目に。
しばらくしてノートルダム寺院に礼拝に訪れた際、不幸にも塔から身投げした旅行者が母親の頭上に落ちてしまう
間近でそれを目撃したアメリはますます心を閉ざすことに。

自分の空想の世界で育ち、大人になった彼女。
父親の住む実家をはなれ、パリのカフェで働き始める。
ある日アパートの自室で偶然に古い小箱を見つけた。そこから小さな新しい冒険が始まるのだった。

中国系と欧州系の両親を持つPhillipaさん、映画版のAudrey Tautouとはちょっと違うイメージを持っていた。
しかし下から見上げる強い視線など、表情の作り方をかなり似せている。
有名な映画が原作だとオリジナルの人のイメージにどこまで歩みよるかが問題だと思うけれど、Phillipaさんは映画ファンの期待にも沿うようにしていた。

あとアメリが恋に落ちるシーンはすごく可愛かった。街中の通行人までがアメリの胸の高鳴りを表現する、フラッシュ・モブみたいな演出。
これは舞台ならではだね。

ニノ役のAdam Chanler-Beratさんは堅実な演技でPhillipaさんを引き立たせていた。
他人の証明写真を集めるなんて相当の変人の役だから、安定感のある役者さんでないと務まらないものね。

そしてTony Sheldon先生。
『Priscilla』のバーナデット役以来、待ちに待ったBroadway作品ご出演。
その間にも多作品に出演されており、『My Fair Lady』のピッカリング大佐、『Ever After』のレオナルド・ダ・ヴィンチ役などヒロインを助ける重要な役どころを演じてこられた。
この作品においてもアメリに重要な助言をする画家のガラス男Dufayelとして登場。
物語の大きな要となっていた。

原作の映画には根強いファンがいるので、気になるシーンも色々とあるかと思う。
この舞台には様々なエッセンスが詰め込まれていた。

まず金魚のフラッフィー。これは役者さんがかぶりものでの体当たり演技。
(今シーズンは『Groundhog Day』や『チョコレート工場』など、かぶりものの当たり年でしたな。)

それからノートルダム寺院から飛び降りる観光客。これも再現(!)。
クローズしちゃったから言うけど、ビニール製の風船人形を落とすというやり方。曲に乗せてだったからあまり深刻じゃない演出。

あ、でも意地悪な八百屋さん(これもTony先生の二役)にイタズラを仕掛けるシーンは無かったな。
他人の家に侵入するのは犯罪だし、配線を切るのも危険だからね。

この作品についてメガヒヨは結構気に入っていたのだけれど、Tony賞のノミネートに一つも引っ掛からなかったせいか残念ながら開幕まもなくクローズとなってしまった。
やっぱり90分の一幕ものというのも一因かなと察したり。
上演時間が短いけど他作品と値段は変わらないし、それにみんなの大好きなインターミッションが無いしね。
だからって尺を伸ばすのも難しいだろし。う~ん、作品は良かったんだけどね…。

Broadwayでは残念な結果となったけれど、日本ではきっと受けるかもと思う。
こういう可愛らしい日常の作品って好きな人いそうだものね。

シアタークリエあたりで上演したらいいんじゃないかな。あまり大きくない劇場で。

子ども時代のアメリのSavvy Crawfordちゃん。子役ながら単独キャスト!
上手いなぁこの子と思っていたら、『Annie』や『Into the Woods』のLilla Crawfordさんの妹さんだった。
いずれエル・ファニングの様にお姉さんの前に立つ日も来るかも!?


主役アメリのPhillipa Sooさん。
『Hamilton』のときには出待ちもすごい人だかりだったので、今回やっとサインをいただけて嬉しい!!
「写真も撮っていいですか?」とカメラを向けると、「私一人を撮るつもりなの?」とのお言葉。 


「ほら、一緒に写りましょ。」と優しく声を掛けてくれて、ツーショットでもう一枚撮らせていただいた。
なんて優しいんだろう

この日はイベントがあったらしくTony先生には会えなかったのだけど、Phillipaさんの温かい対応がとてもありがたかった。
舞台そのものもアメリが一歩を踏み出すとても前向きな話だったし、とても幸せな気持ちで劇場を後にしたのであった。

ショーはクローズしちゃったけど、CDは絶賛発売中。
軽やかな楽曲に乗せて、Phillipaさんの綺麗な声が響き渡っているよ。


メガヒヨ in NY2016 その8《ショーのやっつけ感想・後編》

2017年08月25日 | NEWYORK

マチネでハミルトンを観劇した日のソワレには『巴里のアメリカ人』を観に行った。
もともと観劇リストにはない作品だったけど、メガヒヨが数年前から追っかけているダンサーのKyle Brownくんが帰還兵/ヒロインのバレエパートナーとしてリプレイス登板することになったので急きょチケットを取ったのだ。


登板二日目のKyleくん、出演はすれどバレエパートナーのパートは他の人が演じる模様。
引き継ぎが完全に終わってなかったのかな?


直前に取ったチケット、しかも土曜夜なものでいい席はすべて埋まっていた。ついてはメザニン8列目を購入。

サイドの席で見切れるより、全体を観たいと思ったのだけどやっぱり舞台が遠い…。
もちろん劇場によって様々なのだけれど、メザニンは4列目以内で購入すべきかも。
二階席って1列後ろでだいぶ視界が違うからね。

座席にまつわる残念なお話もうひとつ。
アメリカの劇場ってロビーとの間に扉がないことが多く、このパレス劇場もそう。
2Fのバーで延々とおしゃべりしている人がいたらしく、その声が客席にまで響いてセリフの邪魔をして参った。
痺れを切らした紳士が注意してくれたから良かったけどね。

さて本題。
ヴィンセント・ミネリ監督、ジーン・ケリー主演の有名な映画の舞台化。
しかし設定とストーリー展開が少々違う。

ヒロインのライザは映画では空想の世界で踊るのみだったけれど、この舞台ではモダンバレエのダンサー。
主人公ジェリーの恋のライバルであるアンリはバレエ団のエラい人の息子。

ジェリーがライザの気を引く香水売り場のシーンは、舞台ではドタバタした展開。

クライマックスの♪An American in Parisはライザが出演するバレエ公演のシーンとなっている。

…あとはゴメン。Kyleくんばっかり観てたから内容はあまり記憶にない(笑)


(WickedぶりのKyleくん。Priscillaで以前パレスの舞台に立ってたときもバレエダンサー役だったなぁ。感慨。)

そういえば。
メガヒヨは、「このショーはきっと宝塚で上演されるはず!! 若い男性役で一番手、二番手、三番手って配役できるしヒロインは可憐だし。」って思っていたけれど見事に外れた(笑)

劇団四季で上演するんだってね。観に行くかどうかは分からないけど、劇場が会社から近いから迷うな。


さてお次は『The Color Purple』 
ピュリッツアー賞受賞の原作小説、ウーピー・ゴールドバーグさん主演の映画で日本でもおなじみの作品。
生Jennifer Hudson見たさに張り切ってセンター前方のチケットを取った。 


しかしながら該当の公演(日曜夜)はキャンセル。
日曜昼に振替となったが、空いていた席は最前列端っこ。

舞台はものすごく近かったんだけど、見切れるものも多かった。
目の前に小道具を置かれてしまうと視界の半分くらいが遮られて。
思わず、「自分はこのカゴを観に来たんじゃない~~~!!!」と叫びそうになった。

しかし手を伸ばせば触れそうな位置においでになったシャグ役のJennifer様には感動。スタイルがハンパなく抜群!! 脚ながっっ!!
さらに初めて拝見した主人公・シリー役のCynthia Erivoさんの歌声に圧倒された。
それと三人目のヒロイン、ソフィア役のDanielle Brooksさんの演技力にも。
怒りに震えるシーンなんて、目をむき出しにして迫力満点だった。

ほかにはスクィーク役のPatrice Covingtonさんも、アニメ声全開でDanielleさんと対をなして存在感抜群だった。
物語の進行役を担う三人組、Chrurch Ladyも素晴らしい歌唱力だった。
その一人、Bre Jacksonさんはツアー版のPriscillaのDivaだったりして、より愛着が湧いてしまった。

あ、ハルポ役のKyle Scatliffeさんを今回も観られなかったな。前回にレミゼを観たときは夏休みだった。
いつか、遠近感が狂う長身ぶりを拝見したいものだ。

キャストも良かったのだけれど、演出も洗練されていた。
大道具やシーンの切り替えはなく、布や椅子を駆使しつつ観客の想像力を誘う。
この作品のツアー版、日本に来てくれないかな~。もう一度観たい!!


さてさて。最後の作品は『Finding Neverland』

ジョニー・デップさん主演の映画の舞台化。
ピーターパンの作者が以下にしてこの作品を作り上げたかという話。

この作品はチケットを当日の午前中に買ったのだけれど、運よくラッシュチケットが残っていた。
端だけどオーケストラ2列目を37ドルで買えてラッキー!! しかも前の列には人がいなかったし。

といったものの、主人公とヒロインが代役。
でもお二人とも素晴らしいパフォーマンスを披露してくれた。

特に一幕最後、バリーが歌う♪Strongerは体が揺さぶられるような衝撃。
ヒロインのシルビアが天に召されるシーンは目に焼き付くほどに美しかった。
(本来ならここは何も知らずに劇場に行くのがいいのだけど、来日版のポスターでこのシーンのネタバレを盛大に行っていた。残念!)

もちろんこの作品でも子役が大活躍。6名の少年たちが4人兄弟を日替わりで演じる。
ということは一人の子が日によって長男だったり次男だったりする訳なのだけれど、長男から四男まで全部にキャスティングされている子もいたりして!!
自分が観た日のピーター役はAlex Dreierくんだった。幼いながらもBilly Elliotなど数々の作品に出演しているベテラン。さすがに上手かった。

いっぽう劇中劇のピーター・パン役はAmy Yakimaさん。彼女は健康的なボディの若い女優さん。
榊原郁恵さんのピーター・パンってこういう感じだったんだろな。
フライングではなく、男性役者によるリフトでウェンディとともに舞台を飛びまくる。

そうそう。この作品も石丸幹二さん主演で日本版上演決定だってね。
シルビア役は誰になるんだろう。
Broadwayで観たときはその儚さから花總まりさんが思い浮かんだけれど、石丸さんとはThe Secret Gardenでコンビを組むから可能性は低そうだし。
(それに継ぎ当ての衣装はお花様には似つかわしくないし(笑))
座長のFrohman氏役も含めて、楽しみながら想像している。


さて、駆け足ながら2016年の観劇記はこれにて終了。
この年はとても寒くて、出待ちも『巴里のアメリカ人』でKyleくんにお土産渡したときだけだったな。
今後書く2017年版の観劇記はメガヒヨのミーハー魂がさく裂するのでご期待あれ!!


ヤングフランケンシュタイン日本版観てまいりました

2017年08月14日 | 国内エンタメ

制作発表があった際には「まさかこの作品を日本で上演するの?」とびっくりしたこの作品。
演出が福田雄一さんと知り、「じゃあ面白くなりそうだね。だいぶいじられそうだけど。」とチケットを取ることにした。
2008年に観た際の観劇記はコチラ

主演のフレデリック役、小栗旬さんはいわずと知れた人気俳優。
自分はカード会社の貸し切り公演で運よくチケットが買えたけれど、限りあるチケットに彼のファンが殺到し争奪戦になったとのこと。

小栗さんは普段からいい役者さんだな~と思っていたけれど、ミュージカルの舞台における歌唱力には正直期待していなかった。
しかし予想をいい意味で裏切り、かなり聴かせてくれた。

もともと歌が上手い人ならCDも出しているだろうから、今回の舞台のために猛特訓したのではないだろうか。
きっとプロ意識が高い人なんだろうな。

アイゴール役の賀来賢人さんについては、この方はイケメンなのでこの役にどうなの?と思っていた。
でも観ているうちにイケメンということを忘れてしまった。(最上級で誉めてます。)

すっかり福田組の常連な保坂知寿さんははじけつつも変わらずの安定感。
2008年にBwayでこの作品を観た際はエリザベス役はぜひ知寿さんと思っていたのだけど、ブリュッハー役も良かった!!
この役は演じられる人が限られるものね。
作中、福田さんによる日本独自の演出で「時の人」を演じる場面があるのだけど、これがまたハマってて笑わせてくれた。
お掃除の棒の小道具も出たりして(笑)

エリザベス役を演じた瀬名じゅんさんもこれまた別の「時の人」を演じる場面が有り。
彼女も実に上手い!! プロが歌うとあの「時の歌」もああなるのだなぁと深く感心した。
そしてピンクのスーツも美しい人が着るとやっぱり見栄えがするものだなぁ。

そして影の主役、ムロツヨシさん。
この方はBwayのケンプ警部/ハーミット老人役に比べて断然に忙しい。
ヒルトップ氏のほか、オリジナルではジギー役の役者さんが演じたちょっとした役でも登板されているのだ。
あまりの忙しさに声がかすれてしまったのことで二幕では禁断のアレをしてしまうのだけど、それも笑いのネタにするくらいの無敵のアドリブ力だった。
(メガヒヨは運よくムロさんとハイタッチ出来たよ♪ 上手端の席の方は期待していいかも!)

他にも宮川浩さんなど実力派の役者さんで脇を固めてあり、小栗さんやムロさんが多少暴走しても安定感がある舞台だった。

先述のとおり数多くの時事ネタがあったのだけれど、なかでも小栗さんの女好きをイジられるネタではご本人を前に大きく笑わさせていただいた。
どこまで本当か分からないけれど、業界において小栗さんほどの立ち位置の方なら誘惑も多そう(笑)
実際にインガ役の滝本美織ちゃんなんてすっごく可愛かったんだけど、それくらいの美女達に囲まれて毎日仕事している訳だからね。

ところで今回の舞台で唯一残念だったのは、スーザン・ストローマンさんの振付でなかったこと。
でも所々似ているというかそのまんまコピーしているシーンもあるんだよね。
Listen to Your HeartとかTransylvania Maniaとか。これは問題ないのかな?
それともいわゆるオマージュ!? (便利な言葉だ。)

かなーり日本仕様になったこのヤングフランケンシュタイン。
でも福田雄一さんがMel Brooks先生のオリジナルをリスペクトして作り上げているもので、コアの部分は変わらずだったから観客のこちらも楽しめた。
いずれまた「Something Rotten」、「Groundhog Day」はたまた「The Producers」再演など、どんどん舞台を作り続けていただきたい。


タイムスケジュールはこんな感じ。実際13:00開演で終了は16:15でした。
(やっぱりアドリブで尺が増えてるのかも(笑))


<余談>
東京フォーラムの売店は帝国ホテルが入ってるよ。
値段はお手頃、ソフトクリームやコーヒーが350円。
Broadwayのシューバート劇場にて入り口でペットボトルを没収され売店の水を5ドルで買う羽目になったこの身には、とてもありがたい場所に感じた。


メガヒヨ in NY2016 その7《ショーのやっつけ感想・前編》

2017年08月01日 | NEWYORK

日本版ビリーエリオットの記事を書いたので、2017年のNY観劇記が一旦ストップ。
そのついでにお蔵入りになっていた2016年のNY観劇記を書いちゃうね。


SHUFFLE ALONG
Or The Making of the Musical Sensation of 1921 and All That Followed

2016年4月29日金曜日20:00 THE MUSIC BOX劇場

Broadwayを代表するスター、Audra McDonaldさん、Brian Stokes Mitchellさん、Billy Porterさんが集結した舞台。
長いタイトルの通り、1921年に黒人が中心となって上演されたアメリカ史上初のショー「SHUFFLE ALONG」の経緯とその舞台の再現がされたいわゆるバックステージものである。

役者目当てでチケットを買ったものの、ほとんど話についていけなかった…。事前に予習できる資料が無かったもので。

それでもAudra様のパフォーマンスは素晴らしく、歌、タップなど余す才能をこれかとばかりに披露されていた。
こころなしか体の線が『Porgy and Bess』のときよりふくよかになったな~、でも4年も経ってるしなんて思ってたところ、この観劇から数日たった頃にご懐妊だったと知ってびっくり!!
この時Audra様は45歳だったからね。二人目のお子さんとはいえ、妊婦があんな激しいタップを踏んでいいものかと心配してしまった。
でもその後無事に可愛くて元気な女の子をご出産されたとニュースで見て一安心。やっぱりBroadwayの女王はスケールが違うなぁと感心したのであった。

内容がよく分からなかったというのは先述のとおりなんだけど、Billy Porterさんが舞台上で黒塗りをするシーンは印象に残った。
「僕の父が…」というセリフと共にだったので過去を振り返っての黒塗りだったと思う。
黒塗りなんて黒人にとっては屈辱そのものだろうに、粛々と作業を進める様子は見ていてじーんときた。

そうそう、Brandon Victor Dixonさんも出演されていた。
この方が『Hamilton』に出演した時にトランプ政権のエラい人が観に来てて、終演後に語り掛けをした様子は日本でもニュースになったよね。

お次はこちら。


HAMILTON
2016年4月30日土曜日14:00 RICHARD RODGERS劇場

10ドル札の肖像画のモデルである、アメリカ建国の父アレクサンダー・ハミルトンの生涯を描いたミュージカル。
彼と同じくカリブにルーツを持つLin-Manuel Mirandaが作詞・作曲・主演を一手に引き受ける。

2015年秋、翌年GWにNYに行くことをクワストさんにお話ししたらHAMILTONのチケットを取ることを勧められた。
前作の『In The Heights』も観ていないのでそれほど興味は無かったけど、歴史ものということで観てみようかと思った。
チケットが手数料込み190ドルもしてぎゃふんという感じだったけど、今振り返ると破格のお値段だったな。

その後チケットは完売し、リセールのチケットのみ出回るようになった。
メガヒヨの座席の後ろの席も1500ドル以上の値がついていた。


そして当日。
夜の部より10ドル安い昼の部にしたため、主役のハミルトンと準主役のアーロン・バー、息子のフィリップが代役だった…。


当日の視界はこんな感じ。前が通路なので何も遮らないかなりいい席。
舞台に緞帳はなく、シンプルな木製の装置で物語が進行していく。衣装替えもそれほど無いので利益率すごく高そう(笑)

もともとLin-Manuel Mirandaさんに思い入れは無かったのだけど、CDで予習するうちにその癖のある声にとても愛着が湧いてきた。
しかもどっかで聞いた声なんだよね。
考えるうちにベテラン声優の中尾隆聖さんの声にそっくりだと気付いた。
ばいきんまんやフリーザ様ではなく、にこにこぷんのぽろり限定で。
ノドの奥で響くその声はとても親しみやすい。

そんなんでLinさんの独立戦争をぜひ見てみたかったのだけど、残念ながら彼は見られず。
アルタネイトのJavier Munozさんは前作でもLinさんの役を引き継ぐなど外見はよく似ているのだけど、声はいたって普通の格好いい声だった。

代役ラッシュながらも、CDで気になっていた俳優さんは観られたので良かった。
一幕では戦友ラファイエット、二幕では政敵トマス・ジェファーソンを演じるDaveed Diggsさん。
この方は3秒間に19語発することが出来るという、少年漫画のラスボスの様な俳優さん。

早口といえば、アンジェリカ役のRenee Elise Goldsberryさんも負けてはいない。
『Satisfied』なんてメガヒヨは3回生まれ変わっても歌えなさそう

主人公の妻であるイライザを演じるのはPhillipa Sooさん。
CDでは透き通りながらも凛とした歌声に、ある程度のキャリアのある女優さんなのかなと思っていたらとても若かった。(90年代生まれ)
ジュリアード音楽院の演劇科を卒業した直後『戦争と平和』に主演したときに、Linさんにスカウトされたとのこと。
そりゃあ引き抜きしたくなるだろうなと納得するほど魅力のある女優さんだった。

あ、メガヒヨはこの作品の予習のためにどエラく厚い本を上・中・下と三冊も読んだ。
ザ・フェデラリスト・ペーパーズの章なんて、ひいひい言いながら読んだ。
だけどこのミュージカルはフェデラリストについてはアーロン・バーの二言、三言で終わってしまう。無駄な努力、涙目。

物語の展開はとても早く、登場人物全員が全力疾走しながら一人の偉人の人生を顧みるミュージカル。
相変わらずチケット価格は高いし入手も難しい。
でもいつかは見やすくなる日も必ず来るはず。
メガヒヨも是非二回目、三回目を観たいと思っている。

(5作品の感想を詰め込もうと思ったけど長くなっちゃったので、残りは後編にまわすね。)