2001年のフランス映画の舞台化作品。
カリフォルニアでのトライアウトを経て、主役アメリ役を『Hamilton』のPhillipa Sooさんに置き換えてのBroadway上演。
メガヒヨはPhillipaさんも大好きだけれど、ガラス男/八百屋さん役のTony Sheldon先生がご出演ということで発売日に張り切ってチケットを購入した。
4月30日日曜日15:00 Walter Kerr Theatre
オーケストラK10 (上手端から5つ目)
レギュラープライス $159.50(事前にチケットマスターで購入。手数料別)
購入したときはこの席がレギュラープライスで買える一番いい席で、中央寄り隣のE8はプレミアム扱いになっていた。
しかし当日、隣に座った女の子の持っていたチケットの額面は50ドル台…。メガヒヨの席の三分の一の値段じゃん!!
おそらくラッシュチケットとして放出された模様。
自分は新作を中心にレギュラープライスで買うことが多いのだけど、気が付いたこと。
この作品に限らず全般的にプレミアム席の設定範囲が年々広くなり、レギュラープライスで買えるのは端っこばかりになってしまっている。
それでプレミアム席が埋まらないとなると、直前に格安で放出するパターンを繰り返している感じ。
空席にするよりかはいいと思うのだけど、だったら最初からその良席をレギュラープライスで買う客の方に割り当ててほしい。
早めにチケットを購入して作品を支えるファンをもっと大事にするべきだと思った。
さて作品の方に話を戻すよ。
このアメリも緞帳にプロジェクトマッピングを採用。
この写真だと見づらいのだけど、幕全体が織物のような模様になっている。
よくみていると柄の小鳥やリス、蝶が動いている! なんて可愛らしい。
そして開幕時間が近づくと彼らは一斉に退散するのだ。
Amelie...Phillipa Soo
Nino...Adam Chanler-Berat
Collignon/Dufayel...
Tony Sheldon
あらすじ
医師である父、教師である母との間に生まれたアメリ。
幼少の頃に緊張して脈拍が乱れたのを心臓病と誤解した父親は、彼女を学校に通わせずに母親による家庭教育で育てる。
世間から切り離された子ども時代。
唯一の友達は金魚のフラッフィー。しかし彼が水槽から飛び出す騒ぎを起こしたので、川に放流する羽目に。
しばらくしてノートルダム寺院に礼拝に訪れた際、不幸にも塔から身投げした旅行者が母親の頭上に落ちてしまう。
間近でそれを目撃したアメリはますます心を閉ざすことに。
自分の空想の世界で育ち、大人になった彼女。
父親の住む実家をはなれ、パリのカフェで働き始める。
ある日アパートの自室で偶然に古い小箱を見つけた。そこから小さな新しい冒険が始まるのだった。
中国系と欧州系の両親を持つPhillipaさん、映画版のAudrey Tautouとはちょっと違うイメージを持っていた。
しかし下から見上げる強い視線など、表情の作り方をかなり似せている。
有名な映画が原作だとオリジナルの人のイメージにどこまで歩みよるかが問題だと思うけれど、Phillipaさんは映画ファンの期待にも沿うようにしていた。
あとアメリが恋に落ちるシーンはすごく可愛かった。街中の通行人までがアメリの胸の高鳴りを表現する、フラッシュ・モブみたいな演出。
これは舞台ならではだね。
ニノ役のAdam Chanler-Beratさんは堅実な演技でPhillipaさんを引き立たせていた。
他人の証明写真を集めるなんて相当の変人の役だから、安定感のある役者さんでないと務まらないものね。
そしてTony Sheldon先生。
『Priscilla』のバーナデット役以来、待ちに待ったBroadway作品ご出演。
その間にも多作品に出演されており、『My Fair Lady』のピッカリング大佐、『Ever After』のレオナルド・ダ・ヴィンチ役などヒロインを助ける重要な役どころを演じてこられた。
この作品においてもアメリに重要な助言をする画家のガラス男Dufayelとして登場。
物語の大きな要となっていた。
原作の映画には根強いファンがいるので、気になるシーンも色々とあるかと思う。
この舞台には様々なエッセンスが詰め込まれていた。
まず金魚のフラッフィー。これは役者さんがかぶりものでの体当たり演技。
(今シーズンは『Groundhog Day』や『チョコレート工場』など、かぶりものの当たり年でしたな。)
それからノートルダム寺院から飛び降りる観光客。これも再現(!)。
クローズしちゃったから言うけど、ビニール製の風船人形を落とすというやり方。曲に乗せてだったからあまり深刻じゃない演出。
あ、でも意地悪な八百屋さん(これもTony先生の二役)にイタズラを仕掛けるシーンは無かったな。
他人の家に侵入するのは犯罪だし、配線を切るのも危険だからね。
この作品についてメガヒヨは結構気に入っていたのだけれど、Tony賞のノミネートに一つも引っ掛からなかったせいか残念ながら開幕まもなくクローズとなってしまった。
やっぱり90分の一幕ものというのも一因かなと察したり。
上演時間が短いけど他作品と値段は変わらないし、それにみんなの大好きなインターミッションが無いしね。
だからって尺を伸ばすのも難しいだろし。う~ん、作品は良かったんだけどね…。
Broadwayでは残念な結果となったけれど、日本ではきっと受けるかもと思う。
こういう可愛らしい日常の作品って好きな人いそうだものね。
シアタークリエあたりで上演したらいいんじゃないかな。あまり大きくない劇場で。
子ども時代のアメリのSavvy Crawfordちゃん。子役ながら単独キャスト!
上手いなぁこの子と思っていたら、『Annie』や『Into the Woods』のLilla Crawfordさんの妹さんだった。
いずれエル・ファニングの様にお姉さんの前に立つ日も来るかも!?
主役アメリのPhillipa Sooさん。
『Hamilton』のときには出待ちもすごい人だかりだったので、今回やっとサインをいただけて嬉しい!!
「写真も撮っていいですか?」とカメラを向けると、「私一人を撮るつもりなの?」とのお言葉。
「ほら、一緒に写りましょ。」と優しく声を掛けてくれて、ツーショットでもう一枚撮らせていただいた。
なんて優しいんだろう
この日はイベントがあったらしくTony先生には会えなかったのだけど、Phillipaさんの温かい対応がとてもありがたかった。
舞台そのものもアメリが一歩を踏み出すとても前向きな話だったし、とても幸せな気持ちで劇場を後にしたのであった。
ショーはクローズしちゃったけど、CDは絶賛発売中。
軽やかな楽曲に乗せて、Phillipaさんの綺麗な声が響き渡っているよ。