メガヒヨの生息日記

メガヒヨ(観劇、旅行、鳥好き)のささいな日常

メガヒヨ in NY2017 その5《SWEENEY TODD編》

2017年09月04日 | NEWYORK

今回、チケット取りに一番多大なエネルギーを使った演目。

Norm LewisさんがOff BroadwayのSweeney Toddにご出演されるという話を聞きつつも、普段からPlaybill.comしかチェックしていないメガヒヨは情報を得られずにいた。
やっとショーの詳細を知ったのは渡米一か月前。時は遅し、自分の行ける日は既に完売した後だった。

だけどチケット発売状況をよく見てみると、上演日の一週間前になるとリターンチケットの販売がある模様。
これに賭けてみることとし、旅行一週間前になった日からサイトを執念深くチェックし続けた。

作戦は功を奏し、二階席ながらも無事チケットを確保。
晴れて観られることになったのである。

Barrow Street Theatreはワシントンスクエアパーク近くにあるオフの劇場。
この看板が無かったら劇場と認識できないような建物。



Norm LewisさんにCarolee Carmelloさん、さらにBrad OscarさんにMatt Doyleさん…はぁぁ眩暈が。
こんな豪華メンバーを小さい劇場で観られる贅沢なショーチケットは、転売防止目的のためかすべて当日受け取りとなっている。 


2階席から見下ろした劇場はこんな感じ。
ショーの前に希望者は、オバマ前大統領御用達の職人さんのパイを食べられるよ。
とても美味しいと後から聞いて、メガヒヨは頼まなかったことを大いに後悔した。

さて本題のショーのはなし。

4月30日日曜日19:00 Barrow Street Theatre
メザニンAA-101(2列あるうちの1列目、中央)
レギュラープライス $125.00(事前に専用サイトで購入。手数料別($6))

Sweeney Todd...Norm Lewis
Mrs Lovett...Carolee Carmello
Beggar Woman/Pirelli...Stacie Bono
Anthony Hope...Matt Doyle
Johanna...Alex Finke
Tobias...John-Michael Lyles
Beadle Bamford...Brad Oscar
Jadge Turpin...Jamie Jackson

あらすじ

ヴィクトリア時代のロンドン。美しい妻に横恋慕した判事の陰謀で無実の罪を着せられた理髪師のバーカー。
流刑地のオーストラリアから十数年ぶりに戻ったが、隣人のパイ屋の女主人ミセス・ラベットから聞いた話に衝撃を受ける。
妻ルーシーはかの判事ターピンから言い寄られて自害し、現在娘のジョアンナは養女としてその手に落ちたとのこと。
復讐の炎に身を焦がすバーカー。彼はスウィーニー・トッドと仮の名を名乗り、理髪業を再開する。
しかし街で偶然出会った昔の弟子ピレリに正体を見破られ、後日金銭をゆすられる。
追い詰められたスウィーニー(バーカー)は剃刀でピレリの喉元を切り、殺害してしまう。
自分の身は守れど、この死体はどうすればよいのか。
その光景を見ていたミセス・ラベット。スウィーニーにとんでもない話を持ち掛けてきた。
ロンドンでは肉の値段が高騰している。死体の処理も兼ねて、ミートパイの材料にこの人肉を使い一儲けしようと。

2階席1列目はほぼ問題なくよく見えた。ただ1列目の人が身を乗り出すと2列目の人は見えなくなってしまうのは他の劇場と同じ。

劇場係の方が上演前に注意をしてったけど、結構多くの人が身を乗り出してたな。自分は気を付けてたつもり

このプロダクションは写真をご覧のとおり舞台らしきものはなく、観客と同じ高さで演者が語り、歌う。
バンドも最小限。ピアノとバイオリン、そしてクラリネットの三名のみ。

そして何がすごいかって、キャストの皆さんはマイクを使わずに生の声で演じられるのである。
いくら小さい劇場だからって、何たる贅沢!!
特にNormさんがあるお客さんの顔を鷲掴みにして、間近からバズーガヴォイスを浴びせていたのには痺れた!!
(その人が音波か何かでやられてないか心配(笑))

2Fからその様子を眺めていたメガヒヨ。自分のところにも乞食女/ピレリ役のStacie Bonoさんがやってきてガン見で歌われた。
綺麗な女優さんに間近で歌われて、同性とはいえ照れてしまった(すごい目力だった!!)

それにしてもこの建物の作りを上手く利用した演出だったなぁ。
階段の向かって左に楽屋に通じるドアがあるのだけれど、照明を上手くつかってこれを巨大オーブンに仕立てている。
演出、そして役者の演技が観客の想像力をこれぞとばかりに膨らませてくれた。
ちなみに演出はでロンドンで活躍されているBill Buckhurstさん。このプロダクションはもともとウエストエンド発だからね。 

終演後。出待ちの場所に迷ったけれど、ロビーでファンの人達が残っていたのでそのままそこで待たせていただく。
そしてNorm氏のご登場。メガヒヨ、テンション上がりまくり!!

Norm氏はメガヒヨを見るなり、「やぁ君じゃないか!!」との第一声。
向こうも気を遣って優しく声を掛けて下さったか、誰かと間違えたかなのだろうけど嬉しいご対応。
そして「ボク、怖かった!?」のお言葉。
それに対し「いえす、いえす、いえす!!」とぶんぶん頷く。

そりゃそうだろうな~。数あるミュージカル作品のうち、歌唱力の最難関といわれるこのスゥィーニー役。
といえどもNorm氏は歌は難なくクリア。課題はその優しい顔でもってどう殺人鬼に変身するかだったんだろな。(お察しします。)

もちろんNorm氏の演技は恐ろしかった。これは本当。
ただラベット夫人と歌う♪A little Priestでは強面の仮面を外し、いつものニコニコ顔で嬉しそうに歌ってらした。
思わず『オペラ座の怪人』でのぴょんぴょんはしゃぐファントムを思い出したなぁ。

横にいるのはNorm氏の隠し子ではなく(笑)、Tobias役のJohn-Michael Lylesさん。
彼も素晴らしい役者さん。歌も聴かせてくれた。
Broadway Debutはまだみたいなので、将来楽しみ!!


ミセス・ラベット役のCarolee Carmelloさん。
Broadway屈指の大女優ともお話し出来た!
舞台上ではAngela Lansburyさんバージョンを踏襲する形でのダブルお団子頭。
その存在でまわりの空気さえヴィクトリア時代の下町に変えてしまうのがすごい。
もちろん歌唱力でもNormさんとタメを張っていた。 

そしてこの方も大好き! Brad Oscarさん。
『The Producers』ではマックス役、フランツ役両方観た。2016年にも『Something Rotten』のノストラダムス役で影の主役を張られていたっけ。
このプロダクションでは判事の手下のバムフォード役という贅沢な配役。
いつものスケール感は封印し、子悪党に徹していた。それでも豊かな声を響かしていたよ。

Anthony Hope役のMatt Doyleさん。
ステージドアから最初に出てきた彼。
このプロダクションのプレイビルは白いところがないので、メガヒヨは銀色のペンを持参していた。
Mattさんにサインを書いてもらおうと差し出したところ、折悪くインクが出にくくなってしまった。
それでも彼はぐりぐりと懸命にサインを書こうとしてくれた。なんて優しいの…。
姿や歌声でだけでなく、振る舞いも美しい。ファンに親切なMattさんでした。

 左下のこれね。

そしてそして。乞食女とピレリの一人二役のStacie Bonoさん。
乞食女役の高く深く響く声、そして女性ながら付け髭でピレリを演じるその役者魂。
身のこなしも軽やかで、ダンスもきっと得意だと思う。
彼女のような逸材がBroadway Debutがまだだなんて信じられない。(ニューヨークの役者の層の厚さ、恐るべし!!)
でもきっと近いうちにOn Broadwayの舞台の真ん中できっとこのStacieさんを観るんだろうな。
すっかり彼女のファンになってしまったので、その日を待ち焦がれるのであった。

この『Sweeney Todd』で稀有な演劇体験をさせていただいたメガヒヨ。
今まで観た舞台の中でも最高のものだった。
本当、自分が死ぬ直前に走馬燈の1シーンとして出てくる位に心に残った。
これだからどんなにお金がかかっても、どんなに休日のやり繰りが大変でもニューヨーク通いは止められないのね。

今はキャストの半分が変わっているけれど、Carolee CarmelloさんやStacie Bonoさんはまだ残っているから機会のある方にはぜひご覧いただきたい。
チケットも2018年2月まで販売されているしね。(どうやら延長した模様。めでたし。)