令和3年12月19日(日)
五月二十七日、立石寺の宿坊に
泊まる。
「山形領に立石寺といふ山寺あり。
「山形領に立石寺といふ山寺あり。
慈覚大師(平安初期天台宗の僧)の開基にして、
ことに清閑の地なり。
一見すべきよし。
人々のすすむるによりて
尾花沢よりとって返し、
その間(あい)七里ばかりなり。
日いまだ暮れず。
ふもとの坊に宿借りおきて、
山上の堂にのぼる。
岩に巌を重ねて山とし、
松柏年旧(ふ)り、
土石老ひて苔なめらかに、
岩上の院々扉を閉ぢて、
物の音きこえず、
岸をめぐり、
岩を這ひて、
仏閣を拝し、
佳景寂寞として、
心澄みゆくのみおほゆ。
閑さや
閑さや
岩にしみ入
蟬の声