芭蕉のため息
令和3年4月30日(金)
4月もあっという間に去って
いく。
月いづく
鐘は沈める
海のそこ
月は何処へ行ったのだろう。
そういえば、伝説知られる鐘も
海の底に沈んで音を聞くことは
できないのだが、の意。
元禄二年作。
「俳諧四幅対」では、
同じ十五夜の亭主の話として、
鐘が逆さまに沈んだため、
引き上げられず、今もそこにあると
記した上で掲載。
◎ 芭蕉は沈める鐘を思って
雨の夜を過ごす。
親爺は得意になってその高価な鐘
の話をする。
芭蕉が
「鐘を引き上げればよいではないか。」
と言うと、親爺は、
「それができませんのです。
何しろ竜頭が下になっているので、
縄を掛けて引っ張り上げることがで
きません。」
「国主が引き上げようと海女に命じて
調べさせたところ、竜頭が下では
仕方がないとあきらめたそうです。」
と話す。
芭蕉は仕方がないと、
ため息をつくばかり・・・・。