貢蕉の瞑想

青梅庵に住む貢蕉の日々のつぶやきです。

隠士等栽の家に、二泊して・・・敦賀へ!

2022-01-23 13:50:51 | 日記
令和4年1月23日(日)
 等栽という人を訪ねる。
「いづれの年にか、江戸に来たりて、
 予を訪ぬ。
 はるか十(と)年(とせ)あまりなり。
 いかに老いさらぼひてあるにや。
 はた死にけるにや、
と人に尋ねはべれば、
いまだ存命して、「そこそこ」と教ゆ
(そこそこというのが面白い。)
市中ひそかに引き入りて、
あやしの(ふうがわりな)小家に
夕顔・へちまの延へかかりて、
鶏頭・帚木に戸ぼそを隠す。
 さてはこのうちにこそ、
と門をたたけば、
侘しげなる(こころぼそげな)女の出でて、
「いづくよりわたりたまふ道心の御坊
(修行中の坊さん)にや。
 あるじはこのあたり何某といふ者の
かたに行きぬ。
 もし用あらば訪ねたまへ。」
と言ふ。
 かれが妻なるべしと知らる。 
 昔物語にこそ、かかる風情ははべれと、
やがて訪ね会ひて、
その家に二夜泊りて、
名月は敦賀の港に、
と旅立つ。
 等栽も共に送らんと、
裾をかしからげて、道の枝折りと
浮かれ立つ。」
 名文である。
 そのままで現代の文章として読める。
 一風変わった等栽という人物が
彷彿と描き出されている。