雨の夜と下弦の月

毎日を静かに、穏やかに生きていきたいと思う日々。
そのわりにはジタバタと暮らすワタクシの毎日を綴っております。

「小林秀雄の恵み」読了。

2011-05-27 22:47:25 | books&magazine
2か月半近くかけて、ようやく「小林秀雄の恵み」を読了しました。文庫本で500ページちょっとなので、普段のワタクシなら2日もあれば読んでしまえるような量なのですが、柔らかいものしか食べなくなった現代の日本人と同じで自分に理解できるような本ばかり読んでいたことの証拠でもあります。こういう歯応えがあってよく噛まないと消化できないような本もたまには読んでおかないと、顎ではなくて脳がどんどん退化していきそうな気もします。読み終えて理解できたのは「物のあはれ」とは心が動くということで、小林秀雄を代表とする近代のインテリ層はそのことに重きを置かなかったらしいということだけです。これでは読書感想文も書けないですけど。あまりにも理解できなくて橋本治センセイの罠にまんまとはまったのが悔しいので、明日からもう一度読み直そうと思っております。

ワタクシは、基本的には一度読んだ本は理解できているか否かを問わず、再読することは滅多にありません。読んだら読みっぱなしで文庫本が部屋中に積み重なっています。その中で村上春樹と橋本治は例外中の例外とでもいえばいいのでしょうか、するめのように何回も噛んで味わいたい本が多いのです。ワタクシの人生に影響を及ぼした作家を挙げろと言われると、まずはこの二人は当選確実ということになります。意外と言えば意外なのですが、お二人はほぼ同年代で、いわゆる団塊の世代真っ只中に生まれています。両極を走っているような二人ですが、ワタクシの中ではどちらが欠けても不安定になるような気がします。若い頃からほぼオンタイムで作品を読んできたということもあり、二人とも還暦を過ぎていらっしゃいますが、ちょっと年上の先輩という感じで今日に至ります。

「小林秀雄の恵み」を読んで小林秀雄の書いたものが読みたくなるかと言えば、頭の悪いワタクシには敷居が高すぎてより一層読む気が無くなったというのが正直なところです。それは作家の意図に反しているのかもしれませんが、この本の中では「考えるヒント」は提示するからそれをどうするかは読者次第なのだとも書かれています。頭の悪い人間が、理解するためにもう一度読み直すのも自由だということだと解釈しているのですが。