井の中の蛙、カイラス山巡礼に挑む!

夢のカイラス巡礼を終え、登山を再開しました。山岳信仰の延長上に四国遍路、カイラス山巡礼があり、原点の登山に戻ります。

ピオレ山の会の皆さんと再度余市岳へ!

2015-03-04 18:41:42 | 札幌近郊の山
 ピオレ山の会の人達と2週間前に余市岳へ来た時は、風が強く吹雪模様のためゴンドラが運休していました。
このため余市岳には登れず、ホテルピアノ裏でスキーを楽しみました。
しかし、これでは物足りず、再度、余市岳での山スキーを試みるべく集まりました。
前回のメンバーと新たに参加する人を加え7人の方達と一緒に楽しむことになりました。

 3月1日(日曜日)

 9時にキロロスキー場に集合。
いろいろな人でごった返すセンターハウスのロビーに集合。
さっそくゴンドラに乗り込み山頂駅に向かいます。

 山頂駅に着くと沢筋から強い風が吹いています。
しかし、視界はあり、余市岳の山頂部が下半分見えています。
この状態ならば何とか歩けると判断してハイクに入ります。
歩き出してみると思った以上に右手から吹く風が強く、顔を向けることができません。
顔を風下側に向けて何とか歩きます。

 私が先頭を歩きルートを外さないようにします。
時折後ろを振り返り、メンバーの様子を確認します。
何か人の数が多いような気がします。
   
   人数を数えてみると9人います。

 今回のメンバーは私を入れて8人です。
どうやら私達の後に2人が付いて歩いているようです。
どこまで行くのか分かりませんが、黙って後を付いてくるのはどうかと思いましたが、風が強く言葉を掛ける余裕もないのでほっておきました。

 余市岳のコルに向かうには、ゴンドラの駅から大きく右に曲がりながら歩けば良いのです。
強い風のため鼻の頭の右側が感覚麻痺を起こしてきます。
このままでは凍傷になるのでジャケットのフードを被り直して鼻を守ります。

 20分ほど歩くと幾分風邪が和らいできます。
しかし、それもつかの間、コルに近づくと今度は反対側の左から強い風が吹いてきます。
今日の天気予報では、「南よりの風が吹く」という予報です。
今度は鼻の頭の左側が感覚麻痺を起こします。
全く右の次は左と忙しいものですが、ここは辛抱してフードの調節で凌ぎます。

 さて、コルの真上までやってきました。
コルから山頂部を見ると、何と雪庇が北側に出来ているではありませんか。
通常ですと北から風が吹くので雪庇は南側に出来ます。

 今も吹いている強い南風によって雪庇の向きがすっかり変わっているのです。
南東の斜面を見ると雪が吹き飛びシュカブラが一面に覆っています。
これではスキーで滑るどころではありません。

 コルを目指して堅いシュカブラに足を取られないように降ります。
全員が降り終えたところで集まってもらい、南東側の斜面はシュカブラがひどく滑るのは無理な状態であることを話します。
そして、雪庇を越えて北斜面に移動すること話し了解を得ます。
風が強いのさっそくコルから少し登った所にある亀裂から雪庇を乗り越えることにします。

 雪庇を乗り越えるとそこは天国でした。
今まで吹いていた強い風がグンと弱くなっているのです。
やっと落ち着いて話も出来ます。

 コルの上を見ると2人の人影が見えます。
どうやら私達の後ろを歩いていた2人のようです。
「あなた達はそこからどこへ向かって歩くの?」と思いましたが、声が届くわけではありません。

 北斜面をトラバース気味に歩き、沢状の場所に出ます。
ここから滑ることにしてシールを外し滑降の準備をしてもらいます。
沢筋の雪は少し波打っているもののシュカブラなどはありません。

 皆さんが準備できたのを確認して私が先に滑ります。
滑り出してすぐにこの雪質なら大丈夫だと思いました。

 重い雪ですが波打っている雪面も気になるほどではありません。
残った人達にも滑ってもらうように声を掛けてカメラの動画を使います。
次々に滑ってくる人を撮影して1本目を終了します。

 皆さん満足げな顔をしていますのでもう1本登り返します。
今滑り降りた斜面を右に移動して新しい斜面を滑ろうと思います。

 20分ほどで2本目の滑り出す地点に到着。
   
 
   
 
   
   めいめいが滑降の準備に入ります。

 この準備中に私達が滑ろうとしている斜面の下を数台のスノーモービルが左手から飛行場に向かって登っていきます。
こんな所までモービルが入って来るのかとちょっと不愉快な気持ちになりました。

 さあ準備が出来たので気を取り直して2本目を滑ります。
気持ちよく2本目を楽しんだ顔です。
   

   

   ここで、再度、シールを付けます。
そして、トラバース気味に少し登り、そこからスキー場のゲレンデを目指して最後の粉雪を楽しみます。
無事にゲレンデに到着です。
後はセンターハウスめがけて思い思いにゲレンデを滑ります。

   
   センターハウス前で記念写真を写してもらいました。


 それでは、ピオレ山の会の皆さんの滑りを動画で見てください。
   
    


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余市岳で遭難事故発生!!
 
  私達が余市岳の北斜面でスキーを楽しんでいるまさにその同じ時間帯に遭難事故が発生していました。
 その遭難について私が感じたことを書きます。
  

 私達が烈風吹き抜ける通称飛行場を歩き余市岳のコルから北斜面に向かっているときに
スノーモービルが走り回るエンジンの音を聞いていました。
実際に北斜面の板にも数台のスノーモービルが走っていたのも目撃していました。

 私達が北斜面を滑っているまさにその時間にスノーモービルに飛行場を乗せて
運んでもらい南東斜面を滑っていた人達がいたのです。
この人達が遭難事故を起こした人達でした。

 彼らはスノーモービル2台を使いキロロスキー場のゴンドラ山頂駅から客を3人連れた
2人のガイドです。

 彼らは飛行場の南側の縁から南斜面を滑るために来たのです。
通常ですとこの斜面に粉雪が降り積もっているのですが、この日の南斜面は私達が見たとおり
粉雪は吹き飛びクラスタしたシュカブラで覆われ、スキーにならない斜面でした。

 それでも、彼らはこの斜面を滑り降りたようです。
しかし、予想した粉雪はなく、また、強風にさらされた斜面でしたのでお客が帰るといったのでスノーモービルで2人の客をゴンドラ山頂期まで運びました。
しかし、この2人の客を運び終えたあたりから飛行場全体が雲に覆われ視界が無くなってしまいました。
この事態によりスノーモービルで残った3人を迎えに行くことが出来なくなりました。
(この時間、私達は北斜面で2本目を滑っていたのです。)

 雲が晴れず日が沈んできます。
日の沈んだ6時少し前にガイドの友人が110番通報して遭難事故が明らかとなりました。
遭難者3名は雪洞を掘ってビバークせざるを得ない状況になったわけです。
8時半頃にガイドがラインに「雪洞を掘ってビバークしているから大丈夫。」との書き込みをしました。

 翌2日は吹雪です。
北海道警察の山岳救助隊が昼過ぎに出動しましたが発見できずに1日が終わりました。

 3日は吹雪が収まり朝からいい天気です。
自衛隊が40名、7時半にゴンドラ山頂駅から捜索に向かいました。
雪洞近くにいた3人を発見、救助して雪上車に乗せキロロスキー場のセンターハウスまで運びました。

 ガイド達は、テレビのインタビューで「天候が昼過ぎに悪化したため、体力を温存するため雪洞を掘ってビバークした。」といっていました。
1日は朝から一日中南風が吹き荒れていましたので正午過ぎに特に悪くなったといった感じはしませんでした。
飛行場の視界もお昼頃まではありましたが、昼を過ぎた頃から雲が低くなってきたので飛行場の辺りは視界が無くなったと思っていました。

 この日の天気予報では、昼から崩れるとの予報でしたので私達は予報どおり崩れて来たなと思ったわけです。
その崩れを予想していましたが、北斜面では視界もありそれほど天候が悪くなったと感ずるほどではありませんでしたが、速やかに下山しました。

 さて、ガイドは「天気が予想以上に早く悪化したため遭難した。」といっていますが、天候が悪化しても比較的安全に飛行場から下山するルートがあります。
このルートは私達が使っていたルートと同じものです。
どうも、このガイドはこのルートの存在を知らなかったようです。
このルートを知っていれば彼らが滑っていた飛行場の南の端から北側に避難するのに10分も歩けば風の当たらない場所に避難できたはずです。
そうすればこの遭難事故そのものが起こらなかったのです。

 彼らの最大の欠点は、スノーモービルを使って移動するという手法におぼれて、万が一スノーモービルで移動できないときにはどうするかというバックアップを全く考えていないことです。
そして、このことが今回の遭難事故を起こした最大の原因と思われます。

 最近は、バックカントリーを手短に楽しみたいということでスノーモービルを移動手段に使うことが増えているようです。
しかし、バックカントリースキーは歩いてハイクすることと滑ることが一体となったものだと私は思っています。

 万全を期して山に入る。
この姿勢無くしてバックカントリーを楽しむというのは邪道だと思います。

 今回の遭難事故は、ガイドの判断ミスと情報不足、さらに装備の不備が招いたものだと私は思います。
 


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