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キース・ジャレットによるヘンデル

2022年10月30日 23時48分00秒 | ヘンデル
私事ですが、来年度から新しい仕事を依頼されました。もう20年前にも6年間ほどさせていただいていたことで、もう一度やりたい仕事なので受諾しようとしたのです。しかし、今の勤務先には兼業についての規則があり、そう簡単にはいかないみたいなんです。勤務時間外の仕事なんで、前の勤め先では、許可が下りたのですが…。勤務には影響ないのでなんとかなりませんか、とお願いしておりますが、なかなかそうもいかないみたいで、世の中は難しいですねえ、ほんと。

そんなこんなで、今回もヘンデルであります。ヘンデルの鍵盤楽器による曲と言えば、あの「調子のよい鍛冶屋」の含まれるチェンバロ組曲があります。この曲、チェンバロで演奏するかピアノ(フォルテピアノやモダンピアノ)かで、曲名が変わります。後者の場合は、グラヴィーア組曲またはキーボード組曲などと言われています。このあたりの事情は、バッハの鍵盤楽器の曲と同じですねえ。

このヘンデルの組曲は、第一巻と第二巻があります。第一巻は、1720年に出版された8つの組曲。そして第二巻は、1733年に出版された7つの組曲と2のシャコンヌの9曲から構成されています。その他にも、HWV426~455あたりには、この他の同様の組曲がけっこうあります。曲の規模や内容からいうと、バッハのイギリス組曲やフランス組曲、パルティータなどに匹敵するのもだし、これらのバッハの鍵盤曲にも勝るとも劣らないな、と思います。

とはいうもののバッハの曲に比べると、CDはそれほど多くありません。モダンピアノですが、スヴャトスラフ・リヒテルとアンドレイ・ガヴリーロフがふたりで演奏したものが最も有名でしょうか。チェンバロでのものになると、スコット・ロスなどやイゾルデ・アールグルリムなどのものもあります。そして、今回取り上げるのは、ジャズ・ピアニストであるキース・ジャレットによる演奏です。1993年9月ニューヨークでの録音です。収録曲は、1巻の1.2.4.8番、2巻の7番、そしてHWV447,452で、合計7曲となっています。

キース・ジャレットは、学生のころジャズ好きのFくんからローザンヌやケルンのコンサートのレコードを借りて聴きました。こんなもんか、くらいしか思わなかったですし、その後もいくつかCDを聴きました。ケルンコンサートはよく聴きましたが、それ以外は…。また、バッハの演奏も平均律の1巻は聴きましたが、それ以外は未聴でありました。平均律もそれほどの印象はなかったのでありました。その他のクラシックを演奏しているのですが、未聴でした。

それで、このヘンデルにたどり着きました。このヘンデルの曲は、まずチェンバロ版はどうもチェンバロが苦手で…。やはりピアノ版ですね。リヒテルとガヴリーロフのは、この作品の個性を際立たせた演奏であり、二人で演奏するために、二人の異なった個性が出て、そういう意味ではけっこうおもしろい演奏なんです。これに対して、ジャレットの演奏は、最初聴いたときにはどの曲も同じに聞こえ、これはなかなかしんどいなあ、と思っていましたが、よくよく聴き込んでいくと、なかなかヘンデルの曲に魅力が現代的に最大限に引き出されているなあ、と思うのであります。ただ、ヘンデルの曲というより、なんだかジャレットの個性の方が優っているようにも思います。とは言え、音の輪郭が非常に明確であり、美しいピアノの音色です。7つの組曲が淀みなく、それぞれの魅力溢れる旋律が歌われながら、流れていきます。どの曲も宝石のように光っています。際だった曲の個性を引き出すより、曲の流れを重視していることから、どれも曲の美しさが心に染み込んできます。その美しさは、バロックの曲というより、現代的な感性を感じさせるのでありました。それが魅力でもあるんでしょうね。私的には、HWV429の1巻4番の演奏が最もきにいっています。Fugaから始まって、5曲現代的なピアノが美しく響きます。中でもCouranteの美しさは光っています。ヘンデルの曲、新しさを実感しますねえ。

もう11月になります。めっきり寒くなってきた昨今ですね。手先に冷えを感じますし、あったかものが欲しくなります。もうウィスキーの水割りは冷たく、焼酎の湯割りがいいですねえ。
(ECM UCCE-9521 1995年)

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2 コメント

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ヘンデルの組曲 (老究の散策クラシック限定篇)
2022-11-03 11:01:18
はじめまして
特にヘンデル作品等、時をおき記事を拝覧させていただいている後期高齢者に差し掛かった者でございます。
ヘンデルの組曲ピースには一時期とり憑かれチェンバロ、ピアノソロで6セット揃えたぐらいです。
リヒテルや挙げられたジャレットも購入対象として悩んだ経緯もございます。
バッハの平均律やイギリス組曲以上にこの第1集、2集の魅力はモーツァルトのソナタと同様強烈なものだと一人盛り上げっていた時期があります。
https://ameblo.jp/neoros2021/entry-12716016874.html?frm=theme
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コメントありがとうございます。 (mikotomochi58)
2022-11-06 22:43:11
老究の散策クラシック限定篇 さま、コメント感謝です。また、今後ともよろしくお願い申し上げます。ヘンデルについては、これまであまり聴いたことがなかったものが多く、初心者であります。組曲についても同様であります。今後ともよろしくご教示のほど、お願い申し上げます。
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