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森麻季さんがヘンデルを歌う

2023年11月12日 23時59分00秒 | ヘンデル
今年も正倉院展に行ってきました。今年も時間指定の予約が必要だったので15時からにしました。それまで、まず海龍王寺に行って、十一面観音像を、そして東大寺三月堂では良弁僧正座像が、特別拝観中だったので、見てきました。ともに立派でしたねえ。そして正倉院展も『駿河国正税帳』のほか、スッポン形のふたものなど、いろいろよかったです。しかし寒くなりました。奈良はたくさんの人でしたが、大半は外国人でした。ほんとに多くの大国人であります。

今回は、森麻季さんのCD(正確にはSACD)です。『森麻季 麗しき瞳よ~ヘンデル。アリア集』です。2009年9月7~9日岐阜のサラマンホールでの録音です。過日、中古やさんで森さんのCDを何枚か見つけました。480円ほどのが多かったし、SACDのもあったので、何枚が買いました。その中の一枚であります。ただし、このヘンデルは980円で最も高かったです。とはいうものの安かった。値段のことばかり言うのは、いけませんねえ。なんとも小市民でありますねえ。

そもそも、森麻季さん、名前を聞いたことがあるくらいでした。数年前NHKの『坂の上の雲』のメインテーマを歌ってられました。それくらいしか印象はなかったのです。それがなぜ今か、というと、それは西宮の芸文での『ジュリオ・チェーザレ』のクレオパトラを聴いたからでした。このクレオパトラは、よかったですねえ、それでもう少し聴きたいな、と思ったのでありました。いやいや華があったし、声もよく通っており、美声でありました。

わたくし、以前は日本人の歌唱にはあまり興味がありませんでした。やはり外国人の方がいいと思っていたからですね。だから日本人によるオペラ上演などもほとんど見ませんでした。そんな中で、生のオペラを見ると、日本人でも実にいい。生で聴く歌唱はほんとにいい。メディアで聴くのとは月とスッポン。そんな当たり前のことを認識してからは、日本人によるオペラも積極的に見るようになり、日本人歌手のよさも知るようになったのでありました。

それで、今回の森さんのヘンデル。まず「オンブラ・マイ・フ」「涙の流れるままに」の超有名曲が収められていることも嬉しいことですね。全15曲中、5曲は伴奏の寺神戸亮さんとアンサンブル・レ・ボレアードの演奏による『ロデリンダ』の序曲・メヌエット、シンフォニアBWV339から第1楽章、4声のソナタBWV404です。このレ・ボレアードは古楽器オーケストラですが、その分野の有名人によって構成されており、それほど目立たないのですが、堅実な演奏であります。これらの伴奏によって森さんの歌唱もたいそう締まっているのでありました。日本人のアンサンブルの底力でありましょうかねえ。

そして、森さんであります。『ロデリンダ』の「私の愛する人よ」「影よ、草木よ、悲しき墓よ」、『ガウラのアマディージ』の「ああ!無慈悲な人!」、『ジュリオ・チェーザレ』の「つらい運に涙はあふれ」「麗しき瞳よ」、『セルセ』の「オンブラ・マイ・フ」、『アレッサンドロ』の「なにかしらまた分からない」、『アタランタ』の「愛しい森よ」、『リナルド』の「勇者として戦ってください」「涙の流れるままに」などから10曲のアリアが歌われています。森さんのソプラノ、美声ですねえ。伸びやかで明るく、クセのない歌声。非常に素直にストレートにヘンデルのアリアが耳に入ってきます。高音になると、力んでの発声は、少々気になるところもあったが、慣れてくると、それが却って心地よくなって聞こえる。ヘンデルのアリアには、理想的な声のようにきこえてきます。「オンブラ・マイ・フ」のようなゆったりして、それほど高音がない曲は、とてもいいですねえ。10曲はどれも聴きやすいのでありました。私がもっともお気に入りは、『アタランタ』の「愛しい森よ」でありました。森さんもいいですが、低弦の伴奏がこれまたいいです。

しかし、急に寒くなりましたね。明日は最高気温が神戸は14度とか。どんな服装で行こうか、迷ってしまいますね。ダウン着てもなんらおかしくはない気温ですが、いきなりは躊躇していまいますねえ。
(AVEX AVCL-25477 2009年)

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