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ロバート・カーセンによる『リナルド』

2024年01月07日 23時52分00秒 | ヘンデル
新年あけましておめでとうございます。元日の能登での大地震、被災された方々に心よりお見舞い申し上げます。1日の16時、わが家でも家族とテレビでサッカーが終わったなあ、ってところでの緊急地震速報。二度目の速報のあとの揺れが神戸でもかなりのものでした。被害の状況がわかると、やはり地震は怖いな、と改めて実感しました。あの阪神淡路を地震が起こる度に思い出します。私もできる支援活動をしようと思います。一日も早い復旧を祈念しつつ…。

そんなことで、正月気分も吹き飛んでしまいましたが、とりあえずは音楽。20241年の最初は、やはり去年から聴き続けているジョージ・フレデリック・ハンデルであります。まあヘンデル。やはり、ヘンデルの本領はオペラとオラトリオですねえ。今年も、このふたつにいろんな作品を聴きたいし、観たいし、いい音楽を知りたいと強く思っています。と言ってもなかなか舞台を観るのはその機会がありませんねえ。それが辛いところであります。

最も良いのは、日本語訳のついてる映像ですね。でも市販されているビデオは、輸入物が多く、それには日本語訳はほとんどないんですねえ。まあ、それでもないよりはましなんですがねえ。それでも対訳があればそれを見ながらでもなんとかなります。一番ベストは、NHKBSなどで放送された映像。これには必ず対訳が付いていますので、音楽も非常に理解しやすい。とは言っても、なかなかヘンデルの作品などはそれほどやってくれないんですねえ。

そんな中、今回は歌劇『リナルド』であります。2011年にグラインドボーン音楽祭でのロバート・カーセンによる演出作品。オッターヴィオ・ダントーネ指揮エイジ・オブ・インライトゥメエント管の演奏。リナルドにソニア・プリナ(A)、アルミレーナにアネット・フリッチュ(S)、アルミーダにブレンダ・ラエ(S)、アルガンテにルカ・ピサローニ(B)、エウスターツィオにティム・ミード(CT)、ゴッフリートにヴァルドゥヒ・アブラハミャン(A)、魔法使いにウィリアム・タワーズ(CT)であります。

当時はカストラートの役が多く、ここでもアルガンテ以外はすべて女声かCTなんですね。だから聴いているだけで、これは誰かがなかなか判別しがたい。映像で見れば一目瞭然。それでも
カストラートの歌声がどうだったんだろうとたいそう興味深いが、でもカストラートが歌うのとは大分違うんでしょうねえ。それで作品の真価が伝わらないかも知れませんが、それでも、ヘンデルの音楽は魅力的で、私は大好きです。ヘンデルのロンドンでの最初のオペラ。いいですね。

カーセンの演出もおもしろい。本来は十字軍のお話を、現代の高校で虐められているリナルド少年の妄想として描く。多少の無理があるもののオペラ・セリアが喜劇のようになって、たいそうおもしろい。アルミーダのラエの妖艶さも魅力的だし、アルミレーナのフリッチェの清純さもいい。アルガンテのピサローニも楽しいし、リナルドのプリナもぽっちゃり型のいじめられっ子でいいけど、それなりに強そう。ぞれぞれの役のがうまく特徴つけられているので、お話も楽しく、そえぞれの巧い演技に引き込まれていきます。アルミーダの手下の女子高校生もなんだか日本にいそうな感じです。魔法使いも変な実験している似非科学者みたいですねえ。それでも、十字軍やイスラム勢力の軍備である剣は、その違いをしっかり押さえているし、アルガルテの服装やヒゲなどもそれらしいものでした。

やはり、演出がおもしろく舞台ばかりに目がいき、加えてヘンデルの音楽の素晴らしさに堪能していまいました。名曲「私を泣かせて下さい」も、清順なフリッチュの澄んだ歌唱はよかったし、アルミーダのラエも演技と歌唱に目と耳を奪われました。また、エウスターツィオのミードも出番は少ないのですが、充実した歌声でありました。ダントーネとオケも、古楽らしさがよくでて、満足でありました。やはり、舞台を見ながらのオペラはいいですね。

地震発生から一週間。犠牲者も毎日増えています。余震も続いています。また寒くなっています。一日も速い復旧を祈るばかりです。

私はこの舞台は、NHKBSで放送されたものを見ていますが、掲載したのは発売されているビデオを用いました。

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