少し前から、神戸の空襲について少し調べています。終戦直後の写真を見ると、三宮駅のまわりは、神戸阪急や阪急三宮駅ビルなど以外はほとんど焼けていますねえ。存外、旧居留地はビルが多かったからか、建物は残っています。元町方面は神戸モスクが残っています。戦闘機からの銃弾あとも三宮駅周辺で残っているみたいです。しかし、神戸は空襲で焼け野原になり、震災でも焼けたり倒壊したり…。震災からもう25年ですが、次第に震災時の記憶も薄らいでいますから、戦争のときのことなどは…、でありますねえ。
さてさて、そんなことで今回はモーツァルトのピアノ・ソナタです。モーツァルトのピアノ・ソナタの演奏は、案外少ないんですかねえ。全曲となるとアラウ、へブラー、クラウス、グールド、ギーゼキング、内田光子、メジューエワ、ピレシュ、ブレンデル、などが思いつきます。女性ピアニストの演奏が多いんですかねえ。それで、今回はイングリット・へブラーのよる演奏であります。
へブラーは、1926年のお生まれで、90才を超えられていますが、ご存命であられます。一昔前は、モーツァルトと言えば、この人の演奏が出て来ましたねえ。私も、LPでピアノ協奏曲第21番と第26番を持っており、よく聴きました。ロヴィツキ指揮ロンドン響だったと思います。へブラーのCDは、現在は入手困難が多く、モーツァルトとシューベルトのピアノ協奏曲やソナタなどを集めた34枚組があったらしいですが、入手できません。入手できないとなると、やたら欲しくなりますねえ(笑)。
ピアノ・ソナタは、1963~67年と1986~91年のふたつの録音があります。私は後者は持っておらず未聴です。前者は、以前にタワーさんから復刻されており、そのときの入手しました。5枚組で3600円でありました。タワーさんの復刻シリーズはSACD化とあわせて、本当に有り難いですね。シェリングとのヴァイオリン・ソナタと一緒に買いました。それで、この全集の中から、ビアノ・ソナタ第12番K.332です。1784年にK.330,331とウィーンのアルタリアから出版され、ピアノ・ソナタの中でも最も有名なもののひとつでありますね。
このへブラーの演奏は、一言で言うなら、もっとも落ち着いて聴ける演奏であります。他の演奏を聴いてみると、たいそうダイナミックであったり、表情の彫りが深かったりで、これらは演奏としては優れたものなんでしょうが、へブラーの演奏を聴くと、そんな演奏はあまりいいとは思わなくなります。もう好みの問題でしょうが、私はへブラーの演奏が好きです。つまりへブラーの演奏は、ピアノの音も非常に優しくまろやか。テンポもゆったり。淡々とした起伏のそれほどない、モーツァルトであります。でもこんな演奏によって、モーツァルトのよさが心に染み込んでくるのです。穏やかな、優しく、幸福感が一杯になりますねえ。夜も更けたときにヘッドホンで聴くのが好きです。
そして、第1楽章。私はこの冒頭が好きですが、非常なきれいなピアノの弱音の美しさ、ガッツンと来る強音もなく、淡々と進み、その中でピアノの強弱のバランスが実に巧妙。テンポの揺れも最小限で。しっとりとしたモーツァルトであります。第2楽章、第1楽章での演奏をより深く掘り下げていく。弱音は限りなく美しく、ゆったりとしたテンポで静かに語りかける。モーツァルトの緩徐楽章の美しさに極みであります。この演奏、もっともっと聴きたくなりますねえ。第3楽章、一転して弾けるような冒頭。そして中に短調ので歌い上げるところなどしっとりとした美しさにハッとする。へブラーの美音は、心に染み込む。そして軽快に曲想は移り、その中でもへブラーは優しく語りかけてくれるのでした。
年が明けたかと思ったら、もう1月も半分が過ぎようとしていますね。今日は成人の日で、来週はセンター入試。穏やかな天気が続くといいですねえ。
(DECCA PROC-1201/5 2012年 TOWER RECORDS UNIVERSAL VINTAGE COLLECTION +plus)
さてさて、そんなことで今回はモーツァルトのピアノ・ソナタです。モーツァルトのピアノ・ソナタの演奏は、案外少ないんですかねえ。全曲となるとアラウ、へブラー、クラウス、グールド、ギーゼキング、内田光子、メジューエワ、ピレシュ、ブレンデル、などが思いつきます。女性ピアニストの演奏が多いんですかねえ。それで、今回はイングリット・へブラーのよる演奏であります。
へブラーは、1926年のお生まれで、90才を超えられていますが、ご存命であられます。一昔前は、モーツァルトと言えば、この人の演奏が出て来ましたねえ。私も、LPでピアノ協奏曲第21番と第26番を持っており、よく聴きました。ロヴィツキ指揮ロンドン響だったと思います。へブラーのCDは、現在は入手困難が多く、モーツァルトとシューベルトのピアノ協奏曲やソナタなどを集めた34枚組があったらしいですが、入手できません。入手できないとなると、やたら欲しくなりますねえ(笑)。
ピアノ・ソナタは、1963~67年と1986~91年のふたつの録音があります。私は後者は持っておらず未聴です。前者は、以前にタワーさんから復刻されており、そのときの入手しました。5枚組で3600円でありました。タワーさんの復刻シリーズはSACD化とあわせて、本当に有り難いですね。シェリングとのヴァイオリン・ソナタと一緒に買いました。それで、この全集の中から、ビアノ・ソナタ第12番K.332です。1784年にK.330,331とウィーンのアルタリアから出版され、ピアノ・ソナタの中でも最も有名なもののひとつでありますね。
このへブラーの演奏は、一言で言うなら、もっとも落ち着いて聴ける演奏であります。他の演奏を聴いてみると、たいそうダイナミックであったり、表情の彫りが深かったりで、これらは演奏としては優れたものなんでしょうが、へブラーの演奏を聴くと、そんな演奏はあまりいいとは思わなくなります。もう好みの問題でしょうが、私はへブラーの演奏が好きです。つまりへブラーの演奏は、ピアノの音も非常に優しくまろやか。テンポもゆったり。淡々とした起伏のそれほどない、モーツァルトであります。でもこんな演奏によって、モーツァルトのよさが心に染み込んでくるのです。穏やかな、優しく、幸福感が一杯になりますねえ。夜も更けたときにヘッドホンで聴くのが好きです。
そして、第1楽章。私はこの冒頭が好きですが、非常なきれいなピアノの弱音の美しさ、ガッツンと来る強音もなく、淡々と進み、その中でピアノの強弱のバランスが実に巧妙。テンポの揺れも最小限で。しっとりとしたモーツァルトであります。第2楽章、第1楽章での演奏をより深く掘り下げていく。弱音は限りなく美しく、ゆったりとしたテンポで静かに語りかける。モーツァルトの緩徐楽章の美しさに極みであります。この演奏、もっともっと聴きたくなりますねえ。第3楽章、一転して弾けるような冒頭。そして中に短調ので歌い上げるところなどしっとりとした美しさにハッとする。へブラーの美音は、心に染み込む。そして軽快に曲想は移り、その中でもへブラーは優しく語りかけてくれるのでした。
年が明けたかと思ったら、もう1月も半分が過ぎようとしていますね。今日は成人の日で、来週はセンター入試。穏やかな天気が続くといいですねえ。
(DECCA PROC-1201/5 2012年 TOWER RECORDS UNIVERSAL VINTAGE COLLECTION +plus)
モーツァルトのピアノ・ソナタ、第12番は、良い曲ですね、第10番、第11番と、これらの3曲は、素敵な曲ですが、それぞれ特徴がありますね。第12番の、第2楽章は、不協和音を使った、当時としては、革新的な書法だったのではないでしょうか。
さて、ヘブラーの演奏ですが、私もCDを所有していますが、あまり、起伏をつけず、淡々と弾いていますね。モーツァルトは、これが良いのですが、なかなか、こうは弾けません。バックハウスの、数少ないモーツァルトの録音に、この曲が残っています。彼の演奏も、無骨ですが、愛情の籠もった、淡々としたものです。ヘブラーも後年の録音では、もう少し、感情を込めた、起伏のある、演奏になっていますね。そして、あの可憐な容姿も、貫禄たっぷりに、変貌しています。まあ、老いとは、そんなものでしょうね。