先日、NHKBSのプレミアムシアターで「ウィーン国立歌劇場ホーレンダー総監督フェアウェル・ガラコンサート」が放映されていました。夜中の番組なんで録画して、まああとで見たらいいや、ということでした(まだ全部は見てないのですが…)。そして、少し録画を見たのですが、その中で、プラシド・ドミンゴが、ワーグナーの楽劇『ワルキューレ』第一幕からジークムントによる「冬の嵐は過ぎ去り」を、アントニオ・パッパーノによる伴奏で歌ってました。ドミンゴさんは、お元気そうでしたが、1941年のお生まれなので、もう70才になろうとされていますね。今も、あの声は健在でした。少々しんどそうでしたが…。それで、そういえばドミンゴさん、ある時期からワーグナーを盛んに歌い出しましたよねえ。ローエングリン、パルジファル、タンホイザー、トリスタン、ワルター、エリック、そしてジークムント…。ほとんどのヘルデン・テノールの役どころを歌われました。ただ、ジークフリートだけは全曲を歌ったことはなかったのでは、と思います。また、バイロイト音楽祭にも出演されましたね。その歌声は、さすがに輝きに満ちたものでした。しかし2000年のユルゲン・フリム演出の『ニーベルンクの指環』のプレミエでジークムントを歌いましたが、そのときヴォルフガング・ワーグナーと衝突して、それ以来出演してないということです。
そのドミンゴがジークムントを歌う、といえば、バイロイトやメトで実際に見ることができたのですね。しかし、CDでそれを聴くことができるかとなると、おそらく管見の限りでは全曲盤はないのではないかと思います。ただ、第1幕だけに関しては、ベルリン国立歌劇場で1993年11月28日に演奏会形式で行なわれた『ワルキューレ』第1幕のライヴで聴くことができます。ダニエル・バレンボイム指揮 ベルリン・シュターツカペレ。配役は、デボラ・ポラスキ(ジークリンデ)、プラシド・ドミンゴ(ジークムント)ジョン・トムリンソン(フンディング)です。
まず、バレンボイムですが、オケのベルリン・シュターツカペレはライブにも関わらず、なかなか渋い音を出しています。特に、低弦の響きは格別ですねえ。 このオケはオトマール・スウィトナーが長年率いていましたが、1992年からバレンボイムが音楽監督となっていますが、ドイツのオケらしい重厚な音色であります。そうは言ってもバレンボイムは、どうも皮相的な感じがします。もっとこのオケを雄弁に語らせて欲しいな、って思いました。歌手の三人ですが、まず、トムリンソンですが、私はこの人どうも苦手で、時折聞こえる鼻に詰まったような声がどうもいけません。とは言え、堂々とした威厳に満ちたようなフンディングです。その点に違和感がないこともないですが、さすがに歴戦のバスです。そして、ドミンゴですが、やはりこの人の存在感は抜群です。少々先を急ぎすぎの感もしますが、安定した歌唱とうまさは抜きんでています。先のガラコンサートの17年も前の録音です。若いです。確かに、この人のワーグナーは、それまでのイタリアオペラとは一味違いますが、よく考えての歌唱だな、って感じます。ただ、これも健康的なところを感じました。できたら二幕以降も聴きたいな、と思いました。そして、この演奏でもっとも注目したのが、デボラ・ポラスキです。この人、バイロイトで1994年からのアルフレート・キルヒナー演出の『ニーベルンクの指環』でブリュンヒルデを歌っていましたが、それほどのCDがあるわけでもないようです。しかし女性らしさを感じる柔らかな声は、ジークリンデには相応しいな、と思います。きめ細やかな歌唱で、このジークリンデのかぼそさを感じさせましたね。もっとポラスキのワーグナーを聴けたらな、と思いました。特に、ジークリンデの第二幕以降もですね。
ドミンゴさんのように、イタリアとドイツの、特にワーグナーの両方を歌えるテノールも。少ないですね。CDで聴けるワーグナーを歌うドミンゴさん、ほんとにいいです
(TELDEC 3984-23294-2 1995年 輸入盤)
そのドミンゴがジークムントを歌う、といえば、バイロイトやメトで実際に見ることができたのですね。しかし、CDでそれを聴くことができるかとなると、おそらく管見の限りでは全曲盤はないのではないかと思います。ただ、第1幕だけに関しては、ベルリン国立歌劇場で1993年11月28日に演奏会形式で行なわれた『ワルキューレ』第1幕のライヴで聴くことができます。ダニエル・バレンボイム指揮 ベルリン・シュターツカペレ。配役は、デボラ・ポラスキ(ジークリンデ)、プラシド・ドミンゴ(ジークムント)ジョン・トムリンソン(フンディング)です。
まず、バレンボイムですが、オケのベルリン・シュターツカペレはライブにも関わらず、なかなか渋い音を出しています。特に、低弦の響きは格別ですねえ。 このオケはオトマール・スウィトナーが長年率いていましたが、1992年からバレンボイムが音楽監督となっていますが、ドイツのオケらしい重厚な音色であります。そうは言ってもバレンボイムは、どうも皮相的な感じがします。もっとこのオケを雄弁に語らせて欲しいな、って思いました。歌手の三人ですが、まず、トムリンソンですが、私はこの人どうも苦手で、時折聞こえる鼻に詰まったような声がどうもいけません。とは言え、堂々とした威厳に満ちたようなフンディングです。その点に違和感がないこともないですが、さすがに歴戦のバスです。そして、ドミンゴですが、やはりこの人の存在感は抜群です。少々先を急ぎすぎの感もしますが、安定した歌唱とうまさは抜きんでています。先のガラコンサートの17年も前の録音です。若いです。確かに、この人のワーグナーは、それまでのイタリアオペラとは一味違いますが、よく考えての歌唱だな、って感じます。ただ、これも健康的なところを感じました。できたら二幕以降も聴きたいな、と思いました。そして、この演奏でもっとも注目したのが、デボラ・ポラスキです。この人、バイロイトで1994年からのアルフレート・キルヒナー演出の『ニーベルンクの指環』でブリュンヒルデを歌っていましたが、それほどのCDがあるわけでもないようです。しかし女性らしさを感じる柔らかな声は、ジークリンデには相応しいな、と思います。きめ細やかな歌唱で、このジークリンデのかぼそさを感じさせましたね。もっとポラスキのワーグナーを聴けたらな、と思いました。特に、ジークリンデの第二幕以降もですね。
ドミンゴさんのように、イタリアとドイツの、特にワーグナーの両方を歌えるテノールも。少ないですね。CDで聴けるワーグナーを歌うドミンゴさん、ほんとにいいです
(TELDEC 3984-23294-2 1995年 輸入盤)
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