こんなCDを買った!聴いた!

最近購入した、または聴いたCDについて語ります。クラシック中心です。

「ゆめか、うつつか、まぼろしか」ではないモーツァルト

2010年07月08日 21時40分03秒 | モーツァルト
先週の土曜日、いつものように酒を飲んでました。その酒を飲む前か、飲んだ後か、そのあたりの記憶が定かではないのですが、ネットでH○Vのウェブを見ていました。すると、上岡敏之指揮のヴッパータール交響楽団のCDが、たいへん安く出ていたのを見ました。上岡さんのブルックナーの7番とチャイコの悲愴のふたつのCDで、値段は600円と少しとたいそう安かったのです。これはお買い得!だ、ということで、すぐにネットでの注文をしたのでした。いやー、これはこんなに安いのか~、と思って感動したのでした。しかし、翌日確認のために、ショッピングカートを覗きますと、カラなんです。でウェブに掲載されていないか、といろいろと見渡しましたが、ない!、のです。それどころか、このCDに関する記事すら見ることができないのであります。いやー、私は夢でも見たのでしょうか。でも、このCDの記事の内容はたいへん詳細に記憶しているんです。これはいったいどうしたことでしょうじか。この上岡さんのCDが約600円ほどで発売されている記事は、「ゆめか、うつつか、まぼろしか」…。

まあ、それはそれとして…。今回も、モーツァルトであります。モーツァルトは、多くの室内楽曲を残しておりますが、その中からピアノ四重奏曲であります。モーツァルトは、このピアノ四重奏曲を二曲残しています。その中から第1番ト短調K.478。1785年10月16日に「フィガロの結婚」の作曲の合間に作曲され、12月にウィーンのホフマイスターから出版された曲。当初家庭での演奏を意図して依頼された曲だが、難解であることから2曲のみが残された。特に、この1番は、ト短調の調性が注目されます。この曲の演奏は、アンドレ・プレヴィンのピアノに、ウィーンムジークフェライン四重奏団です。1981年1月ウィーンのソフィエンザールでの録音。

このCDは、ウィーンムジークフェライン四重奏団によるものということで買いました。まあ、このピアノ四重奏曲は、それほどたくさんの演奏があるわけでもなく、へブラーとシュヴァルベらBPOの人々や、デムスとウィーン室内合奏団のようものなどがあげられます。それに対して、この演奏は、その存在すら知らなかったんですねえ。しかしこの演奏、いいですよ。まず、ピアノのプレヴィン。その昔セルフレームのメガネをかけた長髪のお兄さんが、いまや高齢者になっちゃいました(すんません)。柔らかめのタッチで、ことさらト短調を意識することなく、淡々としたピアノです。そして、ウィーンムジークフェラインの弦も柔らかい。エッジの効いたものではなく、プレヴィンのピアノにうまくマッチした演奏。これはこれで、いわゆる「涙をこらえた笑顔」的なモーツァルトのひとつの本質的なものでしょう。

第1楽章の冒頭からのユニゾンによる主題は、きわめて4つの楽器がうまく融合し解け合っている。それはそれ以降の曲の展開にも通じて言えること。そのあたりの室内楽としての完成度は高いと思う。そして進むにつれて、これはモーツァルトの短調の曲なんだよなあ、とついつい思ってしまう。でも、こんなモーツァルトもいい。キュッヘルの締まった上に柔らかいヴァイオリンもいいですが、加えてバルトロマイのチェロも安定感を支えています。第2楽章、モーツァルトの援徐楽章としては、よくありがりの曲想だが、情緒的な美しさにあふれています。しっとりとした美しいピアノに、弦が優しく呼応する。それぞれが分をわきまえて、全体といて美しい演奏を作り上げています。終わることのない悠久の美。こんな演奏もいいですねえ。そして、第3楽章。生誕200年のころのNHKでの磯山雅さんの特集番組のテーマに使われていました。モーツァルト独特の愉悦感あふれる曲想ですが、実にきめの細かい透明感あふれる演奏ですよねえ。声高に語るわけでもないので、そのあたりが、物足りないところもないわけではないのですが、各楽器がうまいので、さすがに楽しくきくことができ、満足であります。

このCDは、TOWER RECORDS VINTAGE COLLECTION Vol.6の一枚です。ということですので、このCDは、タワーさんでしか入手出来ないものであります。
(TOWER RECORDS VINTAGE COLLECTION Vol.6 PROA-206/7 2008年)

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