しばらく前から、BS日テレの『百済の王 クンチョゴワン』を毎日見ています。韓流ドラマは、家人がよく見ており、そのついでに見始めました。4世紀半ばの百済の近肖古王の物語。日本に七支刀を送った王。種々の人間のほとばしる感情が交錯していく様が実におもしろい。敵を倒し王に即位したところ。これからは内部の争いが中心になって、これまでの仲良しが敵になるという、この手のドラマにありがちな展開になる。そうなると…。どうでしょうか。しかし、この物語は全部がフィクション。ゼロからこんなお話をよく作るなあ、と感心してしまいます。
さてさて、今回はプッチーニです。振り返って見るとちょうど2年前に取り上げて以来です。今回聴いたのは、『トスカ』であります。フランチェスコ・モリナーリ=プラデルリ指揮聖チェチーリア音楽院管弦楽団・合唱団の演奏。配役は、レナータ・テバルディ、マリオ・デル・モナコ、ジョージ・ロンドン。1959年の録音。その昔、プッチーニを中心にイタリアオペラのCDを買い始めたとき、テバルディの出演しているものをよく買ってました。その理由は、DECCAからけっこう安く出ていたことと、私が音楽を聴き始めてとき、テバルディはイタリアオペラおけるソプラノの大御所のような存在であり、それへの憧憬のようなものがあったこと、そして実際テバルディの美声が好きだったこと、などでありました。そして、プッチーニの主要なオペラは、テバルディで揃えました。どれも充実した内容で、これらが私のプッチーニの演奏のデフォルトなんです。ですので、トスカを聴いていると、途中で蝶々夫人かいな、と思う時があったり…、であります。
ということで、この『トスカ』なんですが、イタリアオペラの輝きに満ちているのです。モリナーリ=プラデルリという指揮者は、ほとんど知りません。しかし、非常にうまく歌手を引き立てています。このお話は登場人物がすべて亡くなる悲劇なのですが、そんな様子の演奏ではないです。オペラの輝かしさと明るさが一杯で、ベルカント・オペラ的な表情も見せている演奏ですね。しかし、プッチーニの甘い旋律を非常にうまく表現しています。そして、トスカのテバルディ、このCDを買ったころはそうでもなかったのですが、最近どうもこの人の高音のしんどさが気になるのです。また、スカルピアを殺害したあとの悲痛な「muori!」の絶叫も多少の軽さを感じます。といっても、やはり美声であります。「歌に生き、恋に生き」の歌唱は、テバルディの美声で実に滑らかに歌われ、まさにデフォルトです。また、スカルピアのロンドンは、安定感のある低音で渋いですね。これもそれほどの凶悪感は抱かせません。伸びやかなバスで気持ちよく聴くことができます。また、第二幕のトスカとのやり取りもそして、カヴァラドッシのデル=モナコであります。この歌唱は素晴らしいです。このCDは、テバルディのトスカなんですが、デル=モナコも忘れてはいけない、というよりこの人の歌唱は、テバルディを上回る、とも言えるのです。第一幕の「妙なる調和」でまず、おっと!というところで、その後の「星は光りぬ」、これはいいですねえ。絶品であります。カレーラスやドミンゴのような個性が極まるでもないのですが、クセのないテノール、そして伸びやかで輝かしい高音でカヴァラドッシの絶望を歌い上げます。そして、その後のトスカとの処刑までの二人の場面は、テバルディの美声と相俟って、このオペラの聴かせどころでしょうね。輝かしい声の競演であります。しかし、CDで聴いていると、その美声に聴き惚れて、気がつけばカヴァラドッシが処刑され、トスカが絶叫し飛び降りる場面になってしまうのです。あらららら、死んじゃいましたか…、というような最期、これも少々残念な気分になってしまいますねえ。
しかし、テバルディは大柄な女性だったようです。これに対して、テノール歌手のみなさんは小柄な方が多かったようです。舞台ではなんともな光景だったのでしょうね。まあ、これはカバリエさんにも言えることですが…。
(DECCA 411 871-2 1991年 輸入盤)
さてさて、今回はプッチーニです。振り返って見るとちょうど2年前に取り上げて以来です。今回聴いたのは、『トスカ』であります。フランチェスコ・モリナーリ=プラデルリ指揮聖チェチーリア音楽院管弦楽団・合唱団の演奏。配役は、レナータ・テバルディ、マリオ・デル・モナコ、ジョージ・ロンドン。1959年の録音。その昔、プッチーニを中心にイタリアオペラのCDを買い始めたとき、テバルディの出演しているものをよく買ってました。その理由は、DECCAからけっこう安く出ていたことと、私が音楽を聴き始めてとき、テバルディはイタリアオペラおけるソプラノの大御所のような存在であり、それへの憧憬のようなものがあったこと、そして実際テバルディの美声が好きだったこと、などでありました。そして、プッチーニの主要なオペラは、テバルディで揃えました。どれも充実した内容で、これらが私のプッチーニの演奏のデフォルトなんです。ですので、トスカを聴いていると、途中で蝶々夫人かいな、と思う時があったり…、であります。
ということで、この『トスカ』なんですが、イタリアオペラの輝きに満ちているのです。モリナーリ=プラデルリという指揮者は、ほとんど知りません。しかし、非常にうまく歌手を引き立てています。このお話は登場人物がすべて亡くなる悲劇なのですが、そんな様子の演奏ではないです。オペラの輝かしさと明るさが一杯で、ベルカント・オペラ的な表情も見せている演奏ですね。しかし、プッチーニの甘い旋律を非常にうまく表現しています。そして、トスカのテバルディ、このCDを買ったころはそうでもなかったのですが、最近どうもこの人の高音のしんどさが気になるのです。また、スカルピアを殺害したあとの悲痛な「muori!」の絶叫も多少の軽さを感じます。といっても、やはり美声であります。「歌に生き、恋に生き」の歌唱は、テバルディの美声で実に滑らかに歌われ、まさにデフォルトです。また、スカルピアのロンドンは、安定感のある低音で渋いですね。これもそれほどの凶悪感は抱かせません。伸びやかなバスで気持ちよく聴くことができます。また、第二幕のトスカとのやり取りもそして、カヴァラドッシのデル=モナコであります。この歌唱は素晴らしいです。このCDは、テバルディのトスカなんですが、デル=モナコも忘れてはいけない、というよりこの人の歌唱は、テバルディを上回る、とも言えるのです。第一幕の「妙なる調和」でまず、おっと!というところで、その後の「星は光りぬ」、これはいいですねえ。絶品であります。カレーラスやドミンゴのような個性が極まるでもないのですが、クセのないテノール、そして伸びやかで輝かしい高音でカヴァラドッシの絶望を歌い上げます。そして、その後のトスカとの処刑までの二人の場面は、テバルディの美声と相俟って、このオペラの聴かせどころでしょうね。輝かしい声の競演であります。しかし、CDで聴いていると、その美声に聴き惚れて、気がつけばカヴァラドッシが処刑され、トスカが絶叫し飛び降りる場面になってしまうのです。あらららら、死んじゃいましたか…、というような最期、これも少々残念な気分になってしまいますねえ。
しかし、テバルディは大柄な女性だったようです。これに対して、テノール歌手のみなさんは小柄な方が多かったようです。舞台ではなんともな光景だったのでしょうね。まあ、これはカバリエさんにも言えることですが…。
(DECCA 411 871-2 1991年 輸入盤)
デル・モナコとなると、もっと好きです。10枚組のモナコ全集のLPがレコード棚にしまってあります。この人の、輝きに満ちた声は本当に凄いですね。
オテロや道化師も凄いですけれど、私は特に道化師の「衣装を付けろ」の歌唱に完全にノックアウトされました。
これは来日公演のものの方が数段素晴らしく、VTRにもおさめてあります。この歌唱と演技には本当に感動しました。
今日は、懐かしく素晴らしい歌手を紹介してくださって、ありがとうございます。