先日、家人と『男はつらいよ お帰り寅さん』を見に行きました。もう学生のころからのファンで名画座などにもよく見に行きましたし、ビデオが普及してからは、レンタルやさんを探し回りました。映画自体は、寅さん晩年の満男くんの恋物語と同じ路線のもの。その中で過去の寅さんのシーンを見ると、もう感激の涙。寅さんが登場しなくても、これまでのと同じような気持ちになるのは、山田洋次監督さすがですねえ。泉ちゃんのお父さんが寺尾聡でなかったのが残念でしたが、次回、第51作にはぜひ吉永小百合の歌子ちゃんが見たいですね。
ということで、今回はブラームスのヴァイオリン・ソナタであります。3曲ありますが、1番が1979年、2番が1886年、そして3番が1887年の作曲。これらはブラームスの40代後半以降の作品となります。非常にブラームスらしい旋律に満ちている名曲です。三曲どれも好きなのですが、まずは第1番ト長調作品78『雨の歌』であります。『雨の歌』の呼称は、第3楽章冒頭の主題が、歌曲「雨の歌」と「余韻 」の主題を用いていることによるそうです。
さて、この曲の演奏ですが、まずあげられるのがヘンリク・シェリングとアルトゥール・ルービンシュタインによるものでしょう。それとギドン・クレーメルとヴァレリー・アファナシエフの演奏も私はけっこう好きです。今回は、前者の方を取り上げたいと思います。このふたりは、同じポーランドの出身。ルービンシュタインがシェリングを見出したことからも非常に親密な関係で、室内楽でも多くの共演があります。このブラームスは、1960年12月28、30日、1961年1月3日の録音。ルービンシュタインは73才、シェリングは42才でありました。
ヴァイオリン・ソナタは、モーツァルトのころは、ピアノが主でしたが、ベートーヴェンのころから逆になります。といってもモーツァルトでも、ヴァイオリンが目立つような録音の場合が多いなと思います。ヴァイオリンの方が音色が派手なので、どうしてもそんな印象をもってしまいますねえ。しかし、この演奏では、ルービンシュタインのピアノがたいそう目立っているのです。だいたい、ヴァイオリン・ソナタでは、ヴァイオリンの方が有名演奏家であり、主導権もヴァイオリン奏者がもつ場合が多いと思います。しかしこの演奏では、若手シェリングと大家で同郷の大先輩であるルービンシュタインですからねえ。
ということで、まずルービンシュタインのピアノです。やはり音がたいそう美しく、粒が揃っています。それでブラームスのメロディが心地よく入って来ます。実に骨太。最近のピアニストでは聴けない凄味があります。シェリングのヴァイオリンに負けてなるものか的なところも随所に見られますが、ピアノが随所に優しい響きを感じさせつつ、であります。とはいえ、やはりルービンシュタイン、ピアノの存在感は半端ではないですねえ。一方、シェリングですが、非常に柔和な音色で、暖かみのあるヴァイオリンであります。高音などたいそうな美音ですねえ。そして、この曲を非常に美しく演奏しています。ヴァイオリンの方から見ると、ピアノに譲るところは譲る、そんな控え目なところも見え隠れする、そんなシェリングはいいですねえ。
第1楽章、ふたつのヴァイオリンで奏でられるテーマ、シェリングが暖かく柔和に歌い上げます。それをルービンシュタインがしっかり支える。両者のいい関係が感じられます。そして、ピアノがヴァイオリンを決して追い越さない凄味を感じながら、シェリングの滑らかな美音で歌い上げられます。第2楽章、聴けば聴くほどよさとうまさを感じます。暖かみがいいアダージョ。特にピアノが雄弁であり、ヴァイオリンの音量が小さくなったと思うところも見られます。そして第3楽章、ヴァイオリンの滑らかな美音で『雨の歌』などの旋律が歌われる。シェリングは音色は派手さがあるが、表情には慎ましさを感じさせ、それが魅力であります。
しかし、今年は本当に暖冬ですねえ。大寒の時期でも10度をなかなか下回りません。スキー場も雪がない。こんな冬の異常気象は、これからん春・夏もなんらかの異変がありそうで心配であります。
(RCA BVCC-5086 1990年)
ということで、今回はブラームスのヴァイオリン・ソナタであります。3曲ありますが、1番が1979年、2番が1886年、そして3番が1887年の作曲。これらはブラームスの40代後半以降の作品となります。非常にブラームスらしい旋律に満ちている名曲です。三曲どれも好きなのですが、まずは第1番ト長調作品78『雨の歌』であります。『雨の歌』の呼称は、第3楽章冒頭の主題が、歌曲「雨の歌」と「余韻 」の主題を用いていることによるそうです。
さて、この曲の演奏ですが、まずあげられるのがヘンリク・シェリングとアルトゥール・ルービンシュタインによるものでしょう。それとギドン・クレーメルとヴァレリー・アファナシエフの演奏も私はけっこう好きです。今回は、前者の方を取り上げたいと思います。このふたりは、同じポーランドの出身。ルービンシュタインがシェリングを見出したことからも非常に親密な関係で、室内楽でも多くの共演があります。このブラームスは、1960年12月28、30日、1961年1月3日の録音。ルービンシュタインは73才、シェリングは42才でありました。
ヴァイオリン・ソナタは、モーツァルトのころは、ピアノが主でしたが、ベートーヴェンのころから逆になります。といってもモーツァルトでも、ヴァイオリンが目立つような録音の場合が多いなと思います。ヴァイオリンの方が音色が派手なので、どうしてもそんな印象をもってしまいますねえ。しかし、この演奏では、ルービンシュタインのピアノがたいそう目立っているのです。だいたい、ヴァイオリン・ソナタでは、ヴァイオリンの方が有名演奏家であり、主導権もヴァイオリン奏者がもつ場合が多いと思います。しかしこの演奏では、若手シェリングと大家で同郷の大先輩であるルービンシュタインですからねえ。
ということで、まずルービンシュタインのピアノです。やはり音がたいそう美しく、粒が揃っています。それでブラームスのメロディが心地よく入って来ます。実に骨太。最近のピアニストでは聴けない凄味があります。シェリングのヴァイオリンに負けてなるものか的なところも随所に見られますが、ピアノが随所に優しい響きを感じさせつつ、であります。とはいえ、やはりルービンシュタイン、ピアノの存在感は半端ではないですねえ。一方、シェリングですが、非常に柔和な音色で、暖かみのあるヴァイオリンであります。高音などたいそうな美音ですねえ。そして、この曲を非常に美しく演奏しています。ヴァイオリンの方から見ると、ピアノに譲るところは譲る、そんな控え目なところも見え隠れする、そんなシェリングはいいですねえ。
第1楽章、ふたつのヴァイオリンで奏でられるテーマ、シェリングが暖かく柔和に歌い上げます。それをルービンシュタインがしっかり支える。両者のいい関係が感じられます。そして、ピアノがヴァイオリンを決して追い越さない凄味を感じながら、シェリングの滑らかな美音で歌い上げられます。第2楽章、聴けば聴くほどよさとうまさを感じます。暖かみがいいアダージョ。特にピアノが雄弁であり、ヴァイオリンの音量が小さくなったと思うところも見られます。そして第3楽章、ヴァイオリンの滑らかな美音で『雨の歌』などの旋律が歌われる。シェリングは音色は派手さがあるが、表情には慎ましさを感じさせ、それが魅力であります。
しかし、今年は本当に暖冬ですねえ。大寒の時期でも10度をなかなか下回りません。スキー場も雪がない。こんな冬の異常気象は、これからん春・夏もなんらかの異変がありそうで心配であります。
(RCA BVCC-5086 1990年)
さて、ブラームスの「雨の歌」ですが、今日も、聴いていますが、大好きな曲です。シェリングのCDも所有していますが、好きな演奏です。シェリングのCDは、主要なものは持っていますが、男性的なヴァイオリンで、線が太いですね。バッハの無伴奏など、名盤です。因みに、今日、聴いていた「雨の歌」は、キョン・チョン・ファのものでしたが、若い時のように、火の出るような演奏ではなく、押さえた中に情熱を秘めた演奏でした。このCDも、好きな1枚です。