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さてミュズィク・ドゥスの京都公演の続きですが、ド・ラランドの三曲のルソン・ド・テネブルのうち、「聖金曜日の第3ルソン」を歌ったのは、辛川千奈美さんです。
私より少し重めの声ですが、深い考察力からくる唱法に惹きつけられます。
預言者エレミヤの祈りが始まる~Incipit Oratio Jeremiae Prophetae という出だしで始まります。アンスィピ オラスィオ とやはりフランス語風発音ですが、”祈り”という言葉が、日本の昔のキリシタンの祈りが”オラショ”と言うのが解ります。イタリア読みだと、インチピ オラツィオ になります。
かのバリトンのフィッシャーディスカウ氏が歌う、古い録音のクープランの「聖水曜日の第1ルソン」のCDを持っていますが、完全にイタリア風発音です。しかもフレーズの最後に、何故か同じモルデントを付けているのです。今の時代から聴くと、さすがに違和感が…(;'∀')。
ド・ラランドの聖金曜日も長調で、明るい雰囲気で始まります。そしてRecordare Recrdare Domine 主よ、心にとめてください~という言葉のフレーズが、数えたら計5回繰り返されています。レコード(記録)Reがついたら繰り返すという意味合いがあるので、そのように作曲されたのでしょうか。ですから聖金曜日は、とても聴きやすい感があります。
ラストのシャコンヌ”エルサレムよ、汝の神なる主に立ち返れ”は、聖水曜日とほぼ同じメロディーですが、通奏低音の繰り返しをすごく沢山しています。楽譜には最初にテオルボが単音で弾く、たった4小節しか書かれていません。4小節だけ聴いて歌い出すというものが、どちらかというと一般的かもしれません。でも辛川さん、溜めます溜めます…、通底の実力を試してるのかな?(^-^;
M - R.ド・ラランド「聖金曜日のための第3ルソン」 Michel - Richard de Lalande Ⅲͤ Leçon du Vendrei Saint