つつがなく別府入りを果たし、到着後まもなく一番風呂にも入ったわたくし。さあ、これから本格的に別府の街を歩こう、ということにしたのでありますが、時刻はお昼時。ちょっと腹ごしらえを、ということで、別府駅にほど近いところにある焼肉と冷麺のお店「アリラン」に入り、「別府冷麺」と焼肉を頂きました。昭和25年創業の老舗であります。
別府で名高い名物のひとつである別府冷麺。戦後まもない時期、旧満州(中国東北部)から引き揚げてきた人たちが、朝鮮冷麺を和風にアレンジして作り始めたのが最初だったそうです。
冷麺専門店をはじめとして、ラーメン屋さんや焼肉店などがメニューに加えていたりするなど、別府の街中には別府冷麺を食べさせるお店がたくさんございます。麺やスープ、トッピングにはいろいろとバリエーションがあるようですが、この「アリラン」の冷麺は、朝鮮冷麺同様にそば粉入りの、ツルツルシコシコと食べ応えのある麺。これが魚介系のあっさりとしたスープによく合って、いやあ、まことに美味しかったですねえ。トッピングのチャーシューとキムチもなかなかいけましたよ。
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冷麺は人気メニューのようで、わたくしが食しているときにも冷麺だけを食べていく人たちがいましたが、このお店、焼肉もなかなかのお味でございましたよ。カルビもホルモンも、とろけるような甘さとコクがあって、いやはやビールが進むこと進むこと•••ってまたビール飲んでたワケですが。
ちょっと贅沢で、なかなか充実した昼食を頂くことができましたよ。
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腹ごしらえが済んだあと、別府を代表するランドマークである別府タワーに登りました。
東京タワーや大阪通天閣と同じく昭和30年代始めに建てられ、設計者も同じというタワー兄弟のひとつでございます。高さは90メートル。国の有形登録文化財にも指定されております。
360度の眺めが楽しめる展望台に登ると、けっこう観光客で賑わっておりましたね。眼下に眺める別府の街や海の景色はなかなかの絶景でありました。•••が、展望台に嵌め込まれている窓ガラスに、 ところどころヒビ割れが走っているのが、50年以上になる歴史を感じさせるというか、ちょっとばかりスリリングといいますか。そろそろ化粧直ししてあげたほうがいいのではないかと、思ったりしたのであります。
とはいえ、絶好の天気の中で眺める素晴らしい景色は、別府気分を大いに盛り上げてくれましたよ。
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展望台には、見学に訪れた地元の子どもたちの感想が張り出されておりました。その中に「三たろうさんにあえてうれしかったです」と書かれているのがいくつかありました。「三たろうさん」って誰だ?と思いつつ見回すと、こういうのが立っていました。
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このお方、別府タワーのイメージキャラクターである「別府三太郎」でありまして、この方が「三たろうさん」の正体でございました。
昨今大人気の「くまモン」のようなファンシー風でもなければ、もちろん美少女系でもないオジサンがキャラクターというのが、なんだかいいなあ、と思ったのでありますよ。ガンバレ、三太郎さん!
別府タワーを後にしたわたくしは、街の中心部から少し南に下った浜脇温泉に向かいました。
別府にある温泉の中では特に古い歴史を持つところで、かつては遊郭もあってたいそう賑わったそうですが、今は「湯都(ゆーと)ピア浜脇」という大きめの温泉施設があるほかは観光地らしさもあまりなく、いたって静かな住宅地でありました。
湯都ピア浜脇と同じ建物の一角に、共同浴場「浜脇温泉」がありました。入り口に立つアーチは、昭和3年に立てられた日本初の鉄筋コンクリート製の共同浴場「浜脇高等温泉」の一部とか。わたくし、ここでこの日2回目となるお風呂に入ることにしました。
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親切で愛想のいい番台のおばちゃんに案内されて中に入ると、中は古き良き銭湯といった雰囲気でありましたねえ。入っていたのはほとんど近所の方々といった感じ。近くにあったデイサービスに通う方でしょうか、職員の手助けを受けつつ、お湯を楽しんでいるお年寄りもおられました。
湯に浸かると、午前中に入った駅前高等温泉よりも熱めでありました。番台のおばちゃんが中に入ってきて「熱くない?」と訊いてきたので、大丈夫ですよ~、と答えたのでありますが•••ずっと浸かっているとちょいと、熱さがカラダに沁みてきて長くは浸かれませんでしたね。ええ、軟弱者なもので。
ですがわたくし、近所の人びとが普段着で憩う、この浜脇温泉が醸し出す雰囲気に、なんともいえない居心地のよさを感じておりましたね。近所にこういう場所があれば、毎日でも通いたいくらいでありますよ。人びとの暮らしの中に溶け込んでいる温泉、まことにいい湯でございました。
お湯から上がったあと、かつて遊郭で賑わったとおぼしき辺りを歩いてみたのですが、こちらも実に静かで地味な住宅地となっておりました。しかし、碁盤の目のように細く入り組んだ路地が、かつての来歴を静かに語っているかのように思われましたね。建物のいくつかにも、当時の名残が残っているように見えました。
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こういう遊郭のあった場所を歩いていると、かつては数知れないほど多くの色と欲、そして喜怒哀楽を飲み込んできたであろう、その町の歩んできた栄枯盛衰の歴史というのを、肌で感じることができるんですよね。そこに、人生のごとき滋味深さがあるのであります。
道端をふと見ますと、一匹のノラ猫が訝しげな目をしながら、見慣れない存在であるわたくしをじーっと見つめておりました。
再び街の中心部へと戻ったわたくしは、別府温泉の顔ともいえる共同浴場、竹瓦温泉へとやってきました。この日3回目のお風呂であります。明治12年に創設され、現在に残る建物は昭和13年のもの。歴史と風格を感じさせるのであります。
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別府を代表する観光名所のひとつなのでありますが•••まわりにはオトナのオトコどものための風呂屋•••おソープやらなんやらといったフーゾクが集中していたりするのであります。こっちはオトコ1人なもんですから、歩いていると呼び込みのお兄さんやらオジサンから「さ、どうですか?」とか「いいコいるよ~」とか、やたら声をかけられまして、苦笑しながら通り過ぎるばかりでありましたよ。
でも中には、10メートルばかりついてきて誘ってくるツワモノもおりまして、まあしつこいというか熱心といいますか。•••あのショーバイ熱心ぶり、オレも仕事で見習ったほうがいいかなあ。
呼び込みを振り切りつつ竹瓦温泉へ。昔をしのばせる柱時計があるロビーを抜けて浴場に入ると、これまた昔のままの素朴な温泉場という感じでありましたね。
お湯に浸かってみたのですが•••ここのはさらに熱いお湯でありましたね。浴槽の脇に「42度に調節しております」という表示があったのですが、体感的にはもうちょっとあったような。わたくし、1分浸かるのがやっとでございましたよ。ええ、繰り返しますが軟弱者でして•••。無論、地元の方とおぼしきご高齢の方々は、軟弱者のわたくしを尻目に泰然自若としてお湯に浸かっておられましたね。
祖父に連れられてやってきていた幼い兄妹は、「あちゅ~い」などと言いながらも「いーち、にー、さーん•••」と数を数えつつ頑張って浸かっておりました。見ていると100を数えるまでしっかりとお湯に浸かっていたのでありまして、1分しか浸かれなかったわたくしはその子たちにも及びませんでした。いやはや情けないのでありまして•••オレ、あの子たちに弟子入りしてくりゃよかったなあ。
さてこの後、うまいお酒と料理を求め、いよいよ夜の別府へと繰り出すことになるのでありますが、そのお噂はまた次回の旅のこころだァーッ。•••って、いいかげん小沢昭一さんのマネすんのやめなさいよ。
別府で名高い名物のひとつである別府冷麺。戦後まもない時期、旧満州(中国東北部)から引き揚げてきた人たちが、朝鮮冷麺を和風にアレンジして作り始めたのが最初だったそうです。
冷麺専門店をはじめとして、ラーメン屋さんや焼肉店などがメニューに加えていたりするなど、別府の街中には別府冷麺を食べさせるお店がたくさんございます。麺やスープ、トッピングにはいろいろとバリエーションがあるようですが、この「アリラン」の冷麺は、朝鮮冷麺同様にそば粉入りの、ツルツルシコシコと食べ応えのある麺。これが魚介系のあっさりとしたスープによく合って、いやあ、まことに美味しかったですねえ。トッピングのチャーシューとキムチもなかなかいけましたよ。
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冷麺は人気メニューのようで、わたくしが食しているときにも冷麺だけを食べていく人たちがいましたが、このお店、焼肉もなかなかのお味でございましたよ。カルビもホルモンも、とろけるような甘さとコクがあって、いやはやビールが進むこと進むこと•••ってまたビール飲んでたワケですが。
ちょっと贅沢で、なかなか充実した昼食を頂くことができましたよ。
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腹ごしらえが済んだあと、別府を代表するランドマークである別府タワーに登りました。
東京タワーや大阪通天閣と同じく昭和30年代始めに建てられ、設計者も同じというタワー兄弟のひとつでございます。高さは90メートル。国の有形登録文化財にも指定されております。
360度の眺めが楽しめる展望台に登ると、けっこう観光客で賑わっておりましたね。眼下に眺める別府の街や海の景色はなかなかの絶景でありました。•••が、展望台に嵌め込まれている窓ガラスに、 ところどころヒビ割れが走っているのが、50年以上になる歴史を感じさせるというか、ちょっとばかりスリリングといいますか。そろそろ化粧直ししてあげたほうがいいのではないかと、思ったりしたのであります。
とはいえ、絶好の天気の中で眺める素晴らしい景色は、別府気分を大いに盛り上げてくれましたよ。
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展望台には、見学に訪れた地元の子どもたちの感想が張り出されておりました。その中に「三たろうさんにあえてうれしかったです」と書かれているのがいくつかありました。「三たろうさん」って誰だ?と思いつつ見回すと、こういうのが立っていました。
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このお方、別府タワーのイメージキャラクターである「別府三太郎」でありまして、この方が「三たろうさん」の正体でございました。
昨今大人気の「くまモン」のようなファンシー風でもなければ、もちろん美少女系でもないオジサンがキャラクターというのが、なんだかいいなあ、と思ったのでありますよ。ガンバレ、三太郎さん!
別府タワーを後にしたわたくしは、街の中心部から少し南に下った浜脇温泉に向かいました。
別府にある温泉の中では特に古い歴史を持つところで、かつては遊郭もあってたいそう賑わったそうですが、今は「湯都(ゆーと)ピア浜脇」という大きめの温泉施設があるほかは観光地らしさもあまりなく、いたって静かな住宅地でありました。
湯都ピア浜脇と同じ建物の一角に、共同浴場「浜脇温泉」がありました。入り口に立つアーチは、昭和3年に立てられた日本初の鉄筋コンクリート製の共同浴場「浜脇高等温泉」の一部とか。わたくし、ここでこの日2回目となるお風呂に入ることにしました。
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親切で愛想のいい番台のおばちゃんに案内されて中に入ると、中は古き良き銭湯といった雰囲気でありましたねえ。入っていたのはほとんど近所の方々といった感じ。近くにあったデイサービスに通う方でしょうか、職員の手助けを受けつつ、お湯を楽しんでいるお年寄りもおられました。
湯に浸かると、午前中に入った駅前高等温泉よりも熱めでありました。番台のおばちゃんが中に入ってきて「熱くない?」と訊いてきたので、大丈夫ですよ~、と答えたのでありますが•••ずっと浸かっているとちょいと、熱さがカラダに沁みてきて長くは浸かれませんでしたね。ええ、軟弱者なもので。
ですがわたくし、近所の人びとが普段着で憩う、この浜脇温泉が醸し出す雰囲気に、なんともいえない居心地のよさを感じておりましたね。近所にこういう場所があれば、毎日でも通いたいくらいでありますよ。人びとの暮らしの中に溶け込んでいる温泉、まことにいい湯でございました。
お湯から上がったあと、かつて遊郭で賑わったとおぼしき辺りを歩いてみたのですが、こちらも実に静かで地味な住宅地となっておりました。しかし、碁盤の目のように細く入り組んだ路地が、かつての来歴を静かに語っているかのように思われましたね。建物のいくつかにも、当時の名残が残っているように見えました。
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こういう遊郭のあった場所を歩いていると、かつては数知れないほど多くの色と欲、そして喜怒哀楽を飲み込んできたであろう、その町の歩んできた栄枯盛衰の歴史というのを、肌で感じることができるんですよね。そこに、人生のごとき滋味深さがあるのであります。
道端をふと見ますと、一匹のノラ猫が訝しげな目をしながら、見慣れない存在であるわたくしをじーっと見つめておりました。
再び街の中心部へと戻ったわたくしは、別府温泉の顔ともいえる共同浴場、竹瓦温泉へとやってきました。この日3回目のお風呂であります。明治12年に創設され、現在に残る建物は昭和13年のもの。歴史と風格を感じさせるのであります。
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別府を代表する観光名所のひとつなのでありますが•••まわりにはオトナのオトコどものための風呂屋•••おソープやらなんやらといったフーゾクが集中していたりするのであります。こっちはオトコ1人なもんですから、歩いていると呼び込みのお兄さんやらオジサンから「さ、どうですか?」とか「いいコいるよ~」とか、やたら声をかけられまして、苦笑しながら通り過ぎるばかりでありましたよ。
でも中には、10メートルばかりついてきて誘ってくるツワモノもおりまして、まあしつこいというか熱心といいますか。•••あのショーバイ熱心ぶり、オレも仕事で見習ったほうがいいかなあ。
呼び込みを振り切りつつ竹瓦温泉へ。昔をしのばせる柱時計があるロビーを抜けて浴場に入ると、これまた昔のままの素朴な温泉場という感じでありましたね。
お湯に浸かってみたのですが•••ここのはさらに熱いお湯でありましたね。浴槽の脇に「42度に調節しております」という表示があったのですが、体感的にはもうちょっとあったような。わたくし、1分浸かるのがやっとでございましたよ。ええ、繰り返しますが軟弱者でして•••。無論、地元の方とおぼしきご高齢の方々は、軟弱者のわたくしを尻目に泰然自若としてお湯に浸かっておられましたね。
祖父に連れられてやってきていた幼い兄妹は、「あちゅ~い」などと言いながらも「いーち、にー、さーん•••」と数を数えつつ頑張って浸かっておりました。見ていると100を数えるまでしっかりとお湯に浸かっていたのでありまして、1分しか浸かれなかったわたくしはその子たちにも及びませんでした。いやはや情けないのでありまして•••オレ、あの子たちに弟子入りしてくりゃよかったなあ。
さてこの後、うまいお酒と料理を求め、いよいよ夜の別府へと繰り出すことになるのでありますが、そのお噂はまた次回の旅のこころだァーッ。•••って、いいかげん小沢昭一さんのマネすんのやめなさいよ。
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