熊本旅3日目にして最終日の、9月19日の朝。二日酔いからどうにかこうにか立ち直ったわたしは、ホテルで朝食を食べることにしました。
熊本獲れの食材を活かしたバイキング形式の朝食で、ふだんのわたしならそこそこたくさん食べるところなのですが、二日酔いから立ち直ったばかりということで、ちょっと控えめにいただいたのでした。でも、食後に飲んだ熊本みかんのジュース、二日酔いからなんとか立ち直った胃腸に優しい美味しさじゃったのう。
朝食を食べ終わると、さっそくチェックアウト。ホテルサンルート熊本さん、2日間どうもお世話になりました。ぺこり。
(1)庭園美と水の都の豊かさをじっくり味わうことができた水前寺成趣園
ホテルをチェックアウトすると、すぐに中心街から路面電車に揺られてしばし移動し、水前寺成趣園(水前寺公園)へと足を伸ばしました。
実はまだ、ここ水前寺には訪れたことがありませんでした。せっかく熊本に来たからには、やはり水前寺も見ておかなければ、ということでやって来たのでした。
前日からずっと、ときおり小雨がパラつく天気が続いておりましたが、それでも散策の妨げにはならない程度だったのはありがたいことでした。
両側に各種お土産や、熊本の名物菓子「いきなり団子」を売るお店や飲食店が立ち並ぶ参道を通り抜け、入り口で入園料を払って庭園の中に入ると、そこには水と緑に溢れた美しい光景が広がっておりました。
寛永13(1636)年から、三代にわたる細川家の歴代藩主によって造営された、桃山式の回遊庭園。低く刈り込まれた芝生に覆われた築山と松の木、そして豊富な湧水に満たされた池が醸し出す庭園美を、しばしため息とともに見入っておりました。ひときわ高く築かれている形のいい築山は、富士山を模したものでしょうか。
豊富な湧水に満たされている成趣園の池ですが、熊本地震の影響で池の水が広範囲にわたり干上がってしまうという現象が起きました。一説には、地震により湧水が出なくなってしまったからではないか、ともいわれておりますが、はっきりした原因はわかっていないようです。
その後、池の水位は再び上昇に転じ、現在ではすっかり、もとの美しい光景を取り戻すに至ったとのこと。澄みきったきれいな池の水の中では、鯉たちが泳ぎ回っておりました。
庭園それ自体の美しさもさることながら、たくさんの水をたたえた広い池を見ていると、熊本がいかに豊かな水の都であるのかを、つくづく実感させられました。
時として、残酷なまでの荒々しさで人びとに牙を剥く一方で、この上ない恵みをもたらしてもくれる自然。この成趣園の池を満たす美しい水も、間違いなく熊本の自然がもたらしてくれる恵みの一つなのです。
これからも、熊本が美しい水に恵まれた都であり続けることを、願わずにはおれませんでした。
成趣園には、造営を始めた細川忠利公を含む細川家の人びとを祀った神社がありました。その名も「出水神社」。地震に伴うものかどうかはわかりませんでしたが、本殿は改修中でありました。
その境内には、神水「長寿の水」とよばれている湧水がありました。すくって飲んでみると程よい冷たさで、のどを潤してくれました。これまた、熊本の水の恵みの豊かさを象徴するものといえましょうか。
同じく成趣園の中には、「古今伝授の間」という茅葺き屋根の風情ある建物もありました。
案内板によれば、およそ400年ほど前に京都御所の中に建っていた、桂宮智仁親王の書院兼茶室で、大正元年にこの水前寺成趣園に移築されたそうです。細川家初代の細川幽斎公が、この部屋で桂宮智仁親王に『古今和歌集』の解説の奥義を伝授したことが、その名前の由来だとか。
現在この建物の管理を任されているのは、熊本の名物菓子として名高い「誉の陣太鼓」の製造元である「お菓子の香梅」。建物の隣にある「香梅」さんの売店でお抹茶とお菓子のセットを注文すれば、「古今伝授の間」の室内でそれらをいただくことができるといいます。それはいい機会じゃのう、ということで、わたしもいただいてみることに。
セット料金650円を払ってさっそく室内に上がって待つことしばし。お店の方がお抹茶とお菓子を運んできてくださいました。お菓子のほうは、真っ白でなめらかな生地のなかに甘さ控えめの黄色い餡が入った「十六夜」。お抹茶ともども、まことにけっこうな美味しさでございました。
(下の写真では、暗くなっていていまいちよくわからないのですが・・・)
由緒ある茶室の中で、美しい庭園を眺めつつお抹茶とお菓子をいただき、くつろいでいると、
「ずっとここでこうしていたい、もう帰りたくなんかない!」
などと思えてきたのでありました・・・。
(2)カフェ「三年坂モリコーネ」で絶品赤牛ハンバーグ&熊本野菜サラダ、そして熊本で頑張る宮崎の女性と出会う
しかし、いくら帰りたくないとダダをこねたところで、旅の終わりは刻々と近づいておりました。熊本での最後の食事を食べようと、市電に乗って再び、熊本の中心街へと戻りました。
とはいえ、中心街に戻ってきた時点では、まだどこで昼食を食べようかというアテがあったわけではありませんでした。わたしは下通界隈をゆっくりゆっくりと歩きながら・・・もうだいぶ、足が痛くなっておりましたもので・・・何を食べようか思案しておりました。
熊本ラーメンの大盛りで最後を飾ろうかなあ、それとも天草獲れの魚を食べさせてくれるところにしようかなあ・・・。あれこれと考えているうちに、前日の書店めぐりの時に気になっていたお店が浮かび、そこに決めることにいたしました。蔦屋書店熊本三年坂店の中にあるカフェ「三年坂モリコーネ」であります。
まあ、わたしごときにはおよそ似つかわしくないような、小洒落たところではございましたが、ここの店先に記されていたランチメニューの「赤牛ハンバーグ」というのが、なんか気になっておったのでありました。
「外は雨降ってますけど、濡れたりしませんでしたか?」
入るなり、応対してくださったお店のチャーミングなお姉さんは、一見の客であるわたしに実にフレンドリーに話しかけてくださいました。自分には似つかわしくないようなカフェなのかなあ、などと思っていたわたしはおかげさまで一気に和み、宮崎から2泊3日の旅行に来たんですよー、熊本っていいとこですねー、などということをお話したあと、お目当ての赤牛ハンバーグランチを注文いたしました。
それから程なくして、さきほどとは別のお姉さんがやって来て、おもむろに話しかけてこられました。
「すいません、失礼ですが・・・宮崎から来られたんですか?」
いささか意表を突かれつつ、はいそうですけど、と答えると、そのお姉さんは言いました。
「実はわたしも宮崎から来たんですよ!」
え、ええっ!!オドロキのあまり、椅子からずり落ちそうになりましたよ、わたしゃ。まさかこういうところで、期せずして同郷の方とお会いすることになろうとは!
そのお姉さんもすごく可愛らしく、またフレンドリーなお方でありました。1年前に宮崎から熊本に来て、このお店で働いておられるのだとか。
しばしの後、いまだ驚き覚めやらぬわたしのもとに、赤牛ハンバーグランチ一式が運ばれて参りました。・・・ええ、ここでも真っ昼間から、生ビールを呑んだのでありますが。
口に入れるとジューシーな肉汁と旨味がいっぱいに広がる赤牛ハンバーグはもちろんのこと、彩り豊かな野菜サラダもまた美味しかったですね。いやはや、大満足いたしました。
食後のドリンクを運んできてくださった宮崎出身のお姉さんに、ハンバーグも美味しかったけどサラダも美味しくって彩りも良かったですよ!と言うと、
「サラダのお野菜はみんな、熊本で獲れたものを使ってるんですよ」
と説明してくれました。熊本は肉や魚はもちろんのこと、野菜の実力もかなりのもののようだな、と思いましたね。
時刻は正午に近づくにつれ、お店はお客さんでいっぱいになりつつありました。食べ終わってお会計を済ませてお店を出ようとするとき、他のお客さんへの対応で慌ただしくなっているにもかかわらず、宮崎出身のお姉さんは出ようとするわたしに笑顔で挨拶してくださいました。本当にどうも、ありがとうございました!
旅先でふらりと入ったカフェで出会うことができた美味しい味覚と、熊本で頑張っておられる宮崎の素敵な女性。今回の熊本旅の最後を飾る、嬉しい思い出となりました。これからもお元気で、仕事仲間とともに熊本で頑張っていってほしいなあ。
「お持ち帰りもできますよ」と言われて持って帰ったお店のメニュー一覧、その表紙には、熊本城の手描きイラストが大きく、載せられていたのでありました。
(3)天然温泉「城の湯」に浸かりながら、旅の思い出を振り返る
熊本旅もいよいよ最終盤。帰る前に温泉に浸かろうということで、わたしはタクシーを拾い、熊本城の北のほうにある天然温泉施設「熊本城温泉 城の湯」に行きました。
一般の大浴場をはじめ、家族湯やレストラン、ゲームコーナー、読書ルームなども設けられていて、一日中ゆっくりと過ごすこともできそうでありました。
大小さまざまな浴槽や露天風呂もある大浴場でお湯に浸かり、歩き回って痛くなっていた足を癒しながら、わたしは3日間にわたった旅の思い出を振り返りました。
地震で傷つきながらも、美しい威容を失ってはいなかった熊本城。かつての商店街そのままの懐かしい風情があった子飼商店街。美味しいお酒と料理とともにくつろぐことができた居酒屋。威勢がよくて賑やかなパワー溢れる藤崎八旛宮例大祭の神幸行列。充実していた熊本の書店。震災の爪痕が残っていた旧市街。庭園美と水の豊かさを感じさせられた水前寺成趣園。そして、素敵な方々との出会い・・・。
わたしにとっては25年ぶりとなった、そして震災から5ヶ月を迎えた熊本への旅。いまだあちこちに残っている震災の爪痕や影響と、そこから少しずつではあっても前に進んでいこうという復興への動きとが交錯する、熊本の「いま」に触れることができたのは、とても意義深いものとなりました。
同時に、熊本のいい場所や美味しい味覚、素敵な方々との出会い、さらには予期せぬ展開もあったりして、大いに楽しい思い出をつくることができました。そのことで、これまで長きにわたって足を向けることのなかった熊本が、すごく大好きな場所となりました。
これからは熊本にも時々足を運んで、復興へと進んでいく熊本の姿を見届けるとともに、さらなる熊本のいいところや美味しい味覚、そして素敵な方々との出会いを楽しんでいかなければ・・・。「城の湯」のお湯に浸かりながら、そう強く思いました。
「城の湯」をあとにして熊本中心街へと戻り、熊本県物産館でいくつかのお土産を買い込んだわたしは、名残惜しさを噛み締めつつも、宮崎へと帰る高速バス「なんぷう号」へと乗り込み、出発いたしました。
帰りのバスの車窓から鶴屋百貨店を見ると、建物のど真ん中にはくまモンとともに、熊本復興へ向けてのメッセージが大きく掲げられていたのでありました。
おりから、台風16号が速度を上げて九州に接近しつつありました。バスが高速を通って最後まで走りきることができるかどうか、ちょっぴり心配ではありましたが、なんとか無事に、宮崎市までたどり着くことができました。
終点の宮崎駅に到着してバスを降りると、すでに台風の強風域に入っていた宮崎の街には、雨風が強さを増してきていたのでありました・・・。
ということで、本篇のほうはこれにて終了であります。第1回からお読みくださった皆さま、本当にありがとうございます。
次回は、本篇ではご紹介できなかったちょっとした物件を、写真メインでご紹介していく「番外篇」をお届けしたいと思います。
熊本獲れの食材を活かしたバイキング形式の朝食で、ふだんのわたしならそこそこたくさん食べるところなのですが、二日酔いから立ち直ったばかりということで、ちょっと控えめにいただいたのでした。でも、食後に飲んだ熊本みかんのジュース、二日酔いからなんとか立ち直った胃腸に優しい美味しさじゃったのう。
朝食を食べ終わると、さっそくチェックアウト。ホテルサンルート熊本さん、2日間どうもお世話になりました。ぺこり。
(1)庭園美と水の都の豊かさをじっくり味わうことができた水前寺成趣園
ホテルをチェックアウトすると、すぐに中心街から路面電車に揺られてしばし移動し、水前寺成趣園(水前寺公園)へと足を伸ばしました。
実はまだ、ここ水前寺には訪れたことがありませんでした。せっかく熊本に来たからには、やはり水前寺も見ておかなければ、ということでやって来たのでした。
前日からずっと、ときおり小雨がパラつく天気が続いておりましたが、それでも散策の妨げにはならない程度だったのはありがたいことでした。
両側に各種お土産や、熊本の名物菓子「いきなり団子」を売るお店や飲食店が立ち並ぶ参道を通り抜け、入り口で入園料を払って庭園の中に入ると、そこには水と緑に溢れた美しい光景が広がっておりました。
寛永13(1636)年から、三代にわたる細川家の歴代藩主によって造営された、桃山式の回遊庭園。低く刈り込まれた芝生に覆われた築山と松の木、そして豊富な湧水に満たされた池が醸し出す庭園美を、しばしため息とともに見入っておりました。ひときわ高く築かれている形のいい築山は、富士山を模したものでしょうか。
豊富な湧水に満たされている成趣園の池ですが、熊本地震の影響で池の水が広範囲にわたり干上がってしまうという現象が起きました。一説には、地震により湧水が出なくなってしまったからではないか、ともいわれておりますが、はっきりした原因はわかっていないようです。
その後、池の水位は再び上昇に転じ、現在ではすっかり、もとの美しい光景を取り戻すに至ったとのこと。澄みきったきれいな池の水の中では、鯉たちが泳ぎ回っておりました。
庭園それ自体の美しさもさることながら、たくさんの水をたたえた広い池を見ていると、熊本がいかに豊かな水の都であるのかを、つくづく実感させられました。
時として、残酷なまでの荒々しさで人びとに牙を剥く一方で、この上ない恵みをもたらしてもくれる自然。この成趣園の池を満たす美しい水も、間違いなく熊本の自然がもたらしてくれる恵みの一つなのです。
これからも、熊本が美しい水に恵まれた都であり続けることを、願わずにはおれませんでした。
成趣園には、造営を始めた細川忠利公を含む細川家の人びとを祀った神社がありました。その名も「出水神社」。地震に伴うものかどうかはわかりませんでしたが、本殿は改修中でありました。
その境内には、神水「長寿の水」とよばれている湧水がありました。すくって飲んでみると程よい冷たさで、のどを潤してくれました。これまた、熊本の水の恵みの豊かさを象徴するものといえましょうか。
同じく成趣園の中には、「古今伝授の間」という茅葺き屋根の風情ある建物もありました。
案内板によれば、およそ400年ほど前に京都御所の中に建っていた、桂宮智仁親王の書院兼茶室で、大正元年にこの水前寺成趣園に移築されたそうです。細川家初代の細川幽斎公が、この部屋で桂宮智仁親王に『古今和歌集』の解説の奥義を伝授したことが、その名前の由来だとか。
現在この建物の管理を任されているのは、熊本の名物菓子として名高い「誉の陣太鼓」の製造元である「お菓子の香梅」。建物の隣にある「香梅」さんの売店でお抹茶とお菓子のセットを注文すれば、「古今伝授の間」の室内でそれらをいただくことができるといいます。それはいい機会じゃのう、ということで、わたしもいただいてみることに。
セット料金650円を払ってさっそく室内に上がって待つことしばし。お店の方がお抹茶とお菓子を運んできてくださいました。お菓子のほうは、真っ白でなめらかな生地のなかに甘さ控えめの黄色い餡が入った「十六夜」。お抹茶ともども、まことにけっこうな美味しさでございました。
(下の写真では、暗くなっていていまいちよくわからないのですが・・・)
由緒ある茶室の中で、美しい庭園を眺めつつお抹茶とお菓子をいただき、くつろいでいると、
「ずっとここでこうしていたい、もう帰りたくなんかない!」
などと思えてきたのでありました・・・。
(2)カフェ「三年坂モリコーネ」で絶品赤牛ハンバーグ&熊本野菜サラダ、そして熊本で頑張る宮崎の女性と出会う
しかし、いくら帰りたくないとダダをこねたところで、旅の終わりは刻々と近づいておりました。熊本での最後の食事を食べようと、市電に乗って再び、熊本の中心街へと戻りました。
とはいえ、中心街に戻ってきた時点では、まだどこで昼食を食べようかというアテがあったわけではありませんでした。わたしは下通界隈をゆっくりゆっくりと歩きながら・・・もうだいぶ、足が痛くなっておりましたもので・・・何を食べようか思案しておりました。
熊本ラーメンの大盛りで最後を飾ろうかなあ、それとも天草獲れの魚を食べさせてくれるところにしようかなあ・・・。あれこれと考えているうちに、前日の書店めぐりの時に気になっていたお店が浮かび、そこに決めることにいたしました。蔦屋書店熊本三年坂店の中にあるカフェ「三年坂モリコーネ」であります。
まあ、わたしごときにはおよそ似つかわしくないような、小洒落たところではございましたが、ここの店先に記されていたランチメニューの「赤牛ハンバーグ」というのが、なんか気になっておったのでありました。
「外は雨降ってますけど、濡れたりしませんでしたか?」
入るなり、応対してくださったお店のチャーミングなお姉さんは、一見の客であるわたしに実にフレンドリーに話しかけてくださいました。自分には似つかわしくないようなカフェなのかなあ、などと思っていたわたしはおかげさまで一気に和み、宮崎から2泊3日の旅行に来たんですよー、熊本っていいとこですねー、などということをお話したあと、お目当ての赤牛ハンバーグランチを注文いたしました。
それから程なくして、さきほどとは別のお姉さんがやって来て、おもむろに話しかけてこられました。
「すいません、失礼ですが・・・宮崎から来られたんですか?」
いささか意表を突かれつつ、はいそうですけど、と答えると、そのお姉さんは言いました。
「実はわたしも宮崎から来たんですよ!」
え、ええっ!!オドロキのあまり、椅子からずり落ちそうになりましたよ、わたしゃ。まさかこういうところで、期せずして同郷の方とお会いすることになろうとは!
そのお姉さんもすごく可愛らしく、またフレンドリーなお方でありました。1年前に宮崎から熊本に来て、このお店で働いておられるのだとか。
しばしの後、いまだ驚き覚めやらぬわたしのもとに、赤牛ハンバーグランチ一式が運ばれて参りました。・・・ええ、ここでも真っ昼間から、生ビールを呑んだのでありますが。
口に入れるとジューシーな肉汁と旨味がいっぱいに広がる赤牛ハンバーグはもちろんのこと、彩り豊かな野菜サラダもまた美味しかったですね。いやはや、大満足いたしました。
食後のドリンクを運んできてくださった宮崎出身のお姉さんに、ハンバーグも美味しかったけどサラダも美味しくって彩りも良かったですよ!と言うと、
「サラダのお野菜はみんな、熊本で獲れたものを使ってるんですよ」
と説明してくれました。熊本は肉や魚はもちろんのこと、野菜の実力もかなりのもののようだな、と思いましたね。
時刻は正午に近づくにつれ、お店はお客さんでいっぱいになりつつありました。食べ終わってお会計を済ませてお店を出ようとするとき、他のお客さんへの対応で慌ただしくなっているにもかかわらず、宮崎出身のお姉さんは出ようとするわたしに笑顔で挨拶してくださいました。本当にどうも、ありがとうございました!
旅先でふらりと入ったカフェで出会うことができた美味しい味覚と、熊本で頑張っておられる宮崎の素敵な女性。今回の熊本旅の最後を飾る、嬉しい思い出となりました。これからもお元気で、仕事仲間とともに熊本で頑張っていってほしいなあ。
「お持ち帰りもできますよ」と言われて持って帰ったお店のメニュー一覧、その表紙には、熊本城の手描きイラストが大きく、載せられていたのでありました。
(3)天然温泉「城の湯」に浸かりながら、旅の思い出を振り返る
熊本旅もいよいよ最終盤。帰る前に温泉に浸かろうということで、わたしはタクシーを拾い、熊本城の北のほうにある天然温泉施設「熊本城温泉 城の湯」に行きました。
一般の大浴場をはじめ、家族湯やレストラン、ゲームコーナー、読書ルームなども設けられていて、一日中ゆっくりと過ごすこともできそうでありました。
大小さまざまな浴槽や露天風呂もある大浴場でお湯に浸かり、歩き回って痛くなっていた足を癒しながら、わたしは3日間にわたった旅の思い出を振り返りました。
地震で傷つきながらも、美しい威容を失ってはいなかった熊本城。かつての商店街そのままの懐かしい風情があった子飼商店街。美味しいお酒と料理とともにくつろぐことができた居酒屋。威勢がよくて賑やかなパワー溢れる藤崎八旛宮例大祭の神幸行列。充実していた熊本の書店。震災の爪痕が残っていた旧市街。庭園美と水の豊かさを感じさせられた水前寺成趣園。そして、素敵な方々との出会い・・・。
わたしにとっては25年ぶりとなった、そして震災から5ヶ月を迎えた熊本への旅。いまだあちこちに残っている震災の爪痕や影響と、そこから少しずつではあっても前に進んでいこうという復興への動きとが交錯する、熊本の「いま」に触れることができたのは、とても意義深いものとなりました。
同時に、熊本のいい場所や美味しい味覚、素敵な方々との出会い、さらには予期せぬ展開もあったりして、大いに楽しい思い出をつくることができました。そのことで、これまで長きにわたって足を向けることのなかった熊本が、すごく大好きな場所となりました。
これからは熊本にも時々足を運んで、復興へと進んでいく熊本の姿を見届けるとともに、さらなる熊本のいいところや美味しい味覚、そして素敵な方々との出会いを楽しんでいかなければ・・・。「城の湯」のお湯に浸かりながら、そう強く思いました。
「城の湯」をあとにして熊本中心街へと戻り、熊本県物産館でいくつかのお土産を買い込んだわたしは、名残惜しさを噛み締めつつも、宮崎へと帰る高速バス「なんぷう号」へと乗り込み、出発いたしました。
帰りのバスの車窓から鶴屋百貨店を見ると、建物のど真ん中にはくまモンとともに、熊本復興へ向けてのメッセージが大きく掲げられていたのでありました。
おりから、台風16号が速度を上げて九州に接近しつつありました。バスが高速を通って最後まで走りきることができるかどうか、ちょっぴり心配ではありましたが、なんとか無事に、宮崎市までたどり着くことができました。
終点の宮崎駅に到着してバスを降りると、すでに台風の強風域に入っていた宮崎の街には、雨風が強さを増してきていたのでありました・・・。
ということで、本篇のほうはこれにて終了であります。第1回からお読みくださった皆さま、本当にありがとうございます。
次回は、本篇ではご紹介できなかったちょっとした物件を、写真メインでご紹介していく「番外篇」をお届けしたいと思います。
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