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岡山県中央町誌(民俗編)
コイトリ
一般には「コイトリ」あるいは「フナトリ」という。
最後の水やりは9月中旬で、
秋に池が干上がった後、3年に一度くらい「コイトリ」をした。
池の修理とヘドロ取りを兼ねるものであった。
フナはこの地域の貴重なタンパク源で、しかも「無塩」であった。
当時、
行商人から買うのは塩サバや塩アジの干物などであり、生ものを食べる機会は少なく貴重であった。
フナはザルに入れて干したり、内臓をとって串刺しして炭火で焼き、干物にした。
コイは泥臭く、泥をはかせてから料理をした。
タニシは身をとって佃煮にして食べた。
エビもおいしかった。
コイの放流
6月に田植えをした後,一反当たり2cmくらいの稚ゴイを100匹ほど放流する。
田の「水落とし」をする9月中旬には、20~30cmに育ったコイが田の溝に集まる。
一反あたり30匹が育つ。
育てたコイは池に放流され2~3年かけて大きくなる。
ウナギ
ウナギを追いかけ掴み採りする姿が面白くて見物に来る人も多かった。
池の土手は見物客でいっぱいになった。
お祭り騒ぎであり、地区をあげての行事となった。
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金光町史では毎年の行事のように書かれている。
茂平でいえば「イナとり」と似ている部分が多い。
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「金光町史・民俗編」 金光町 平成10年発行
溜め池と漁撈
金光町は、備中ひでりに対応するために灌漑用の溜め池が多く築かれた。
溜め池の築造者はいずれも地元の庄屋である。
横池
秋の稲刈り前に溜池を干して魚とりをする。
水の少なくなった溜め池で魚を突いたり、魚をたたき切ったり、網ですくって補採する。
魚取りに使うテダマ網にも大小があり、大きいのは径70~80センチ、柄の長さ1.5m、網目30目ぐらい、自製の場合が多い。
魚とりには、昔は触れ(通知・しらせ)を出していたが、現在はクチコミで、金光町近在の人が集まってくる。
町民各自が漁具を持ってくる。
池水を抜く9月上旬には溜め池から流れ出る溝川に網を張ったり、溝川にドジョウ網を設置して、池から出てくる魚を捕る。
魚とりの触れには、期日・料金なで決められている。
池の世話役が胴元になる。
枡池
魚とりをウオトリ、イオトリなどという。
コイ、フナ、ウナギ、雷魚、カメなどをテダマ網、ウナギカキなどでとる。
どじょう籠、ウナギ籠も池に沈める。
金地池
世話役をつくり、世話役を胴元という。
魚とりには入札をし、入漁料をとって許可をしていた。
当日には、テダマ網、ウナギカキを持ってフナ。コイなどをとる。
中池
池干しではウナギ、コイ、フナ雷魚などをとる。
池を干すには地主の許可をもらい、魚取りをする。
とった魚を地主のところに持っていくと、池の水換え賃、池干し料金として地区民に金を渡してくれていた。
溜め池は8月10日ごろまでは水をためて、9月中旬には池水を抜いていた。
ちょと照り込み、溜池の水が少なくなるころ、魚とりをする。
網はテダマ網、三角網、投網などである。
網は夏の農閑期に手入れをしておく。
柿渋で網を染めるのも、この時期である。網を染めるのは山柿である。
溜め池の水は命水(いのちみず)といって大切にしていた。
魚とりの当日には、近在の農民が溜め池のところに集まり、
始まる時間を待ちわびる光景がみられた。
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