体重27貫500の若乃花
その頃、茂平の家には農作物の計量用にハカリがあった。
大人が計ってくれると「6貫じゃ」、
学校で先生が計ると「22キロです」。
大相撲のラジオ放送は〇〇貫、△△尺、と力士を紹介していた。
今思うと、この頃からアナウンサーもメートル法で紹介に変わったのだろう。
天声人語氏が気にしている土地・建物はまだ半分使われているし、
アメリカが関するものではヤード・ポンドがそのまま使用しているように思う。
メートル法に関係ないが、ちょうどこのころ年齢の数え方が変わった。
「年齢(トシ)は何ぼうなら?」
「数えでココノツで、満でヤッツです」というような会話をしていた。
・・・・・・
メートル法 昭和33年3月22日 天声人語・荒垣秀雄
メートル法でいくと、”佐渡は四十九里波の上”の佐渡おけさも
”佐渡は百九十二コンマ四キロメートル・ナーミーの上”という迷調子になる。
”千里眼””斗酒なお辞せず””五万石の殿様””一寸の虫にも五分の魂”
などはどんなふううになるか、ひまな御仁はひとつ換算してみてもらいたい。
これはまあ冗談だが、長年おなじみの尺貫法もことし一ぱいでさよなら。
来年一月から計量単位はメートル法に統一される。
大工さんや建具屋さん、畳屋さんは目を白黒させることであろうが、
実施のやさしい面もある。
若乃花の体重は二十七貫五百匁だというが、若い世代の人たちには身長も体重もメートル法が身について、何尺とか何貫目というとかえって首をかしげる。
国民の六三パーセントはメートル法で育ってきている。
一般の国民も、鉄道のキロ数やタクシーのメーターでメートル法に慣れているし、
米の配給でも電気、ガス、水道の使用量でも主婦はメートル法になじんでいる。
問題なのは土地、建物の計量である。
これはお役所仕事からいっても、登記簿や土地建物台帳の書きかえが大仕事なので、
この面でのメートル法実施は四十一年三月末まで延期されている。
それまでは”坪”も”間”も使う。
六尺に三尺のタタミが一・八メートルに〇・九メートルの畳になり、
六間の間口が一〇・九メートルの間口になり、
二十四坪の家が七九・三平方メートルというふうに、いちいち換算するのか。
ややこしくて家がひん曲がったり戸障子が合わなくなろう
それは材木の造り方から違ってくるし、家の規格も根本的に変わってくる。
かといって、今住む家をとり壊しもならず、元の寸法で修理や取り替えもせねばなるまい。
さてどういうことなるか、
笑いごとではない。
その頃、茂平の家には農作物の計量用にハカリがあった。
大人が計ってくれると「6貫じゃ」、
学校で先生が計ると「22キロです」。
大相撲のラジオ放送は〇〇貫、△△尺、と力士を紹介していた。
今思うと、この頃からアナウンサーもメートル法で紹介に変わったのだろう。
天声人語氏が気にしている土地・建物はまだ半分使われているし、
アメリカが関するものではヤード・ポンドがそのまま使用しているように思う。
メートル法に関係ないが、ちょうどこのころ年齢の数え方が変わった。
「年齢(トシ)は何ぼうなら?」
「数えでココノツで、満でヤッツです」というような会話をしていた。
・・・・・・
メートル法 昭和33年3月22日 天声人語・荒垣秀雄
メートル法でいくと、”佐渡は四十九里波の上”の佐渡おけさも
”佐渡は百九十二コンマ四キロメートル・ナーミーの上”という迷調子になる。
”千里眼””斗酒なお辞せず””五万石の殿様””一寸の虫にも五分の魂”
などはどんなふううになるか、ひまな御仁はひとつ換算してみてもらいたい。
これはまあ冗談だが、長年おなじみの尺貫法もことし一ぱいでさよなら。
来年一月から計量単位はメートル法に統一される。
大工さんや建具屋さん、畳屋さんは目を白黒させることであろうが、
実施のやさしい面もある。
若乃花の体重は二十七貫五百匁だというが、若い世代の人たちには身長も体重もメートル法が身について、何尺とか何貫目というとかえって首をかしげる。
国民の六三パーセントはメートル法で育ってきている。
一般の国民も、鉄道のキロ数やタクシーのメーターでメートル法に慣れているし、
米の配給でも電気、ガス、水道の使用量でも主婦はメートル法になじんでいる。
問題なのは土地、建物の計量である。
これはお役所仕事からいっても、登記簿や土地建物台帳の書きかえが大仕事なので、
この面でのメートル法実施は四十一年三月末まで延期されている。
それまでは”坪”も”間”も使う。
六尺に三尺のタタミが一・八メートルに〇・九メートルの畳になり、
六間の間口が一〇・九メートルの間口になり、
二十四坪の家が七九・三平方メートルというふうに、いちいち換算するのか。
ややこしくて家がひん曲がったり戸障子が合わなくなろう
それは材木の造り方から違ってくるし、家の規格も根本的に変わってくる。
かといって、今住む家をとり壊しもならず、元の寸法で修理や取り替えもせねばなるまい。
さてどういうことなるか、
笑いごとではない。
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