しろみ茂平の話

郷土史を中心にした雑記

「女教師の150センチ・ライン」 昭和31年12月9日 ~天声人語~

2022年02月20日 | 昭和31年~35年
管理人の高校時代に、身長150cm以下の女子同級生は結構多くいた。
大人になっても、就職時にそういう差別があるのは聞いたこともない。
あると言えば、人事課とか秘書課のような部署には容姿のいい人がいた程度だ。
これが自治体でも、地方でなく首都の自治体というのが、ズレをさらに際立たせている。
まさか他府県は右へ倣えをしていなかったのだろうな。

この天声人語には当時流行った、ミス・ユニバースの伊東絹子”八頭身”や、
洋画の話題作”暴力教室”が出ていて、その言葉もなつかしい。



・・・・・・


女教師の150センチ・ライン  1956・12・9 天声人語・荒垣秀雄

身長150センチ以下の女性は教師に採用しない-----
これは東京都教育庁の設けた”李ライン”である。
背の低い女性はこの150センチラインで撃退され、教壇から締め出しを食う。
近来これほど馬鹿げた”憂うべき非教育”はない。

150センチとは5尺未満のことだが、
今の日本ではその程度の身長の女性はいくらでもいる。
普通並みより少し低いだけで、何か欠陥人間あつかいするような態度は非人間である。
客商売の採用条件ならまだしも、
人格と頭脳の尊ばれる教師に、こんな肉体的条件で通せんぼうをするのは、
教育というものをはき違えている証拠ではないか。
背が低いと黒板の上まで字が書けないから、学習活動に支障をきたす、
と都の職員課長は言う。
遠足や校外指導の時に、背が低くてどこに先生がいるか分からないのは不便だともいう。
いくらノッポの先生でも、ぼんやりして児童・生徒たちを掌握できないでは、せっかくの長身も役に立たない。

どうやら”八頭身”ブームにかぶれているのではないか。
それとも”暴力教室”では小さな先生は生徒になぐられるとでも言いたいのか。
教師の価値は背丈で計るものではない。
物指しを取り違えてはいけない。



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