ひとりカラオケ、通称”ひとカラ”に行った。
台風一過の、暑さがぶり返した土曜日。
実に3年半ぶりである。
開店早々11時を狙う。
全く失礼な話だが、早い時間のほうが、部屋がコロナウイルスに汚染されていないような気がしたから…。
そういう自分こそ、ウイルスを持参していないとも限らないのに。
カウンターで手続きをする。
受付表には3人ほどのお名前。久しぶりのわりには、敷居が高く感じられない。
ずっと来続けていたようにすら思える。
「ダムにしますか? ジョイサウンドにしますか?」という質問。
ああ、そういえばこんな質問が、あった、あった、と思い出す。
希望の機種を聞いているのだ。
ジンジャエールを頼み、部屋番号の書いた札を渡されて部屋に向かう。
401,402,403……あった、407!
廊下と、そこに順番に並ぶドアの感じが懐かしい。
古巣に帰ってきたよう……というのは大げさだが。
部屋に入ると早速持参のアルコールティッシュでテーブルやタブレットを拭く。
マイクは一応「殺菌済み」となっているが、菌とウイルスは違うのだ、と屁理屈コネながらやっぱりごしごし拭く。
いつもなら、飲み物を持ってきた店員さんに歌っているところを目撃されたくなくて、選曲にいそしむフリをするのだが、今回は、拭き掃除の現場を見られたくなくて緊張する。
飲み物ってかなり突然、音もなくやってくるのだ。
モニター画面からは、「店員さんが来ても歌い続けてくださいね」と若い男性が優しい声で呼びかけている。
ええ、そうなの! 店員さんがはいってくると、照れくさくて歌うのやめちゃう人ってわたしだけじゃないんだ、と感心する。
3年半の間にメッセージも進化したようだ。
消毒完了。ジンジャエールも来た。冷房も適温。
音程を下げるのはどうだったかしら、エコーのボタンはここだったか、とちょっともたつく。
高い声も出にくくなっている。
3年半のハンデは大きい。
通勤電車で何度も何度も繰り返し聞いて、絶対、自分でも歌いたいと思い続けていた中島みゆきの『俱も』『心月』『夢の都』を繰り返し歌う。
気に入ったとなると、”そればっかり”になるのはわたしの習性である。
初めて歌う曲なのに、なぜかテンポもずれず、音程もはずれず、情緒たっぷりに歌えるようなイメージでマイクを握るのだが、現実はもちろん厳しく険しい。
運動会の徒競走で、結果はビリに近いのに、走る前はなぜかトップを走り抜けるイメージを抱く癖がある。それと同じである。
会計は30パーセントオフ券を提示したのにかかわらず思ったよりもお高い。
物価高の影響はこんなところにもやってきていた。
台風一過の、暑さがぶり返した土曜日。
実に3年半ぶりである。
開店早々11時を狙う。
全く失礼な話だが、早い時間のほうが、部屋がコロナウイルスに汚染されていないような気がしたから…。
そういう自分こそ、ウイルスを持参していないとも限らないのに。
カウンターで手続きをする。
受付表には3人ほどのお名前。久しぶりのわりには、敷居が高く感じられない。
ずっと来続けていたようにすら思える。
「ダムにしますか? ジョイサウンドにしますか?」という質問。
ああ、そういえばこんな質問が、あった、あった、と思い出す。
希望の機種を聞いているのだ。
ジンジャエールを頼み、部屋番号の書いた札を渡されて部屋に向かう。
401,402,403……あった、407!
廊下と、そこに順番に並ぶドアの感じが懐かしい。
古巣に帰ってきたよう……というのは大げさだが。
部屋に入ると早速持参のアルコールティッシュでテーブルやタブレットを拭く。
マイクは一応「殺菌済み」となっているが、菌とウイルスは違うのだ、と屁理屈コネながらやっぱりごしごし拭く。
いつもなら、飲み物を持ってきた店員さんに歌っているところを目撃されたくなくて、選曲にいそしむフリをするのだが、今回は、拭き掃除の現場を見られたくなくて緊張する。
飲み物ってかなり突然、音もなくやってくるのだ。
モニター画面からは、「店員さんが来ても歌い続けてくださいね」と若い男性が優しい声で呼びかけている。
ええ、そうなの! 店員さんがはいってくると、照れくさくて歌うのやめちゃう人ってわたしだけじゃないんだ、と感心する。
3年半の間にメッセージも進化したようだ。
消毒完了。ジンジャエールも来た。冷房も適温。
音程を下げるのはどうだったかしら、エコーのボタンはここだったか、とちょっともたつく。
高い声も出にくくなっている。
3年半のハンデは大きい。
通勤電車で何度も何度も繰り返し聞いて、絶対、自分でも歌いたいと思い続けていた中島みゆきの『俱も』『心月』『夢の都』を繰り返し歌う。
気に入ったとなると、”そればっかり”になるのはわたしの習性である。
初めて歌う曲なのに、なぜかテンポもずれず、音程もはずれず、情緒たっぷりに歌えるようなイメージでマイクを握るのだが、現実はもちろん厳しく険しい。
運動会の徒競走で、結果はビリに近いのに、走る前はなぜかトップを走り抜けるイメージを抱く癖がある。それと同じである。
会計は30パーセントオフ券を提示したのにかかわらず思ったよりもお高い。
物価高の影響はこんなところにもやってきていた。