TOMATOの手帖

日々の生活の中で出会う滑稽なこと、葛藤、違和感、喪失感……などをとりとめもなく綴っていけたらと思っています。

ランチタイム

2023年09月17日 | エッセイ
先週の金曜日、かかりつけ医の診察までに時間があったので、昼食をとっていた時のことだ。
コーヒーのおいしい店である。
眼圧があがるためにカフェインは控えているが、たまには解禁としている。
と、食べ終わったあたりで、三人の女性グループが店にはいってきた。
年の頃はわたしと同じぐらいだろうか。
案内されて隣の席にやってきた。とたんに、周辺の空気が彼女たちの賑やかな声でワヤワヤと動く。
平日の昼間は比較的空いてはいるが、こうした年齢層のグループが多い。
席に着いた彼女たち、おしゃべりを継続したままメニューをめくっていたが、そのうちのひとりが、「チーン」と卓上の呼び鈴を鳴らした。
最近は、注文が決まったら呼び鈴を押してスタッフを呼ぶしくみになっている店が多い。
「お決まりでしょうか」。やってきたスタッフが礼儀正しい感じで、愛想よく聞く。
「ええっと、そうねえ。この店では何がおいしいの?」と三人のうちのひとりが尋ねる。
どうやら、全員の注文が決まらないうちに、呼んでしまったらしい。
尋ねられたスタッフ氏、愛想のよさを保ったまま、「そうですね。この〇〇カレーが一番人気です」と答える。
と、くだんの女性、「あらそうなの、でもカレーは昨日食べたから」とあっさり却下。
スタッフ氏をお待たせしたまま、再びメニューをめくりながらあれこれ算段していたが、結局、パスタに決めたらしい。
わたしが注文したものと同じだ。
店の人気メニューを聞いてから決めたい気持ちはわかるが、断るにしてももう少しマシな言い方はなかったのだろうか、スタッフ氏も愛想の良さと礼儀正しさをずっと崩さないままだったが、内心では、「だったら聞くな!」と思わなかっただろうか、などと自分が失言してしまったかのように、やきもきとした次第である。

注文を終えたところで、彼女たちのおしゃべりが再開する。
こうしたグループの話は、店員さんへの気配りとは裏腹に、微に入り細にわたるというのか、具体的で細かいところにまで行き届いた噂話が多く、つい耳を傾けてしまう。
おおっぴらに言えない話題にはいると一応声をひそめるのだが、ひそめればひそめるほど、耳は集中する。
ブログネタはいただいたが、なんとなく落ち着かなくなって席を立った。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする