賑やかな森・・・!
私が「望海の丘・休憩所」に到着したのは、午後一時過ぎでした。
遠くからでもよく聞える、賑やかな女性群が昼食中のようです。
近づくと、その近くの隅のほうで、小さくなって? 食事をしている
同年輩の男性と、丁度目が合ってしまいました・・・
お互い会釈すると共に、苦笑いをしてしまいました・・・
理由はよく分かりますが・・・
すでにお昼を済ませた私は、そのまま東の山道へ・・・
すると、まもなくして急に視界が開けて、180度全開の大阪が一望
できる所に出ました・・・ ここはまさに望海の丘です。
今日は見事に晴れ渡った紺碧の秋空です・・・
西の大阪湾の海は、太陽に反射して波がキラキラキラと輝いて
見えます・・・
大型船がゆっくりと動いているのが見えます・・・
手前の伊丹空港からは、丁度大型ジャンボジェット機が離陸し、
エンジンを全開にして上昇していく所です・・・
大阪のビル群、泉南の山々、金剛山、東の生駒山・・・
いつになく素晴らしい景観に感動です。
細い山道を上り下りしながら、こもれびコースから、ささゆりコースに
上り、ハート広場に向かっている時でした・・・
急に後方から賑やかな、あの聞き覚えのあるオバさん群の
甲高い声!
しまった!
道を変えよう・・・と、箕面ゴルフ場沿いの細い小道に避難しました。
しかし、 ホッ! としたのもつかの間、同じ道に入ってきたでは
ありませんか・・・
私は観念して?、すれ違いがやっと出来そうな所で立ち止り、
プレイ中のゴルファーを眺めながら、嵐が過ぎ去るのを待って
いました・・・
やがてやってきました・・・
10人以上と思いきや、なんと! 4人でした・・・
あの賑やかさが、たった4人で・・・?
「こんにちわ!」
「うん? ハハハハハ」
「こんにちわ!」
「こんにちわ・・・ えらい うるそうて すんませんな!」
(分かっている人もいるんだ・・・?)
「こんにちわ!」
「兄ちゃん! ゴルフやりはんのん?
あっ! 兄ちゃんやなかったわ おじさんや!」
(あのね・・・ムッ!) いや、私は言いはしませんが・・・
「あっ そ! (そして脇の草むらの中を見て・・・)
あっ! そこに落ちてるの、ゴルフボールや!
拾ろとこ もうけたわ!」
別の人が・・・
「ちょっとあんた! そこの葉っぱとってや!」
「これかいな! なにすんのん!」
「仏さんにさすんやがな・・・」
「あんた! あのオバン 死んで清清したわって言うてた
やんか」
「せやかてな、オバンが上から見てるかもしれんからな、
たまに 格好だけでも拝んだらんとな・・・
化けて出られたら、かなんさかいな! ハハハハハ」
「あほくさ!」
私は早く過ぎ去って欲しいな・・・ と、思っているのに、一本の
ヒサカキの木の前で、あれこれと停滞中で動きません・・・
遠くでゴルフ場のキャデェーが ファー ファー と叫んでいます・・・
すると、こともあろうに前のオバサン達の横にボールが落ちて
きたではありませんか・・・ どうやらOBのようです。
それからしばし、賑やかな うるさいオバサン達に捕まった
ゴルファーたちとのバトルはアホらしいので、文章には載せま
せん。
この道で昨年の事・・・
ハデな衣装に身を包んだ おしゃべりインコ のような女性二人
連れと出会い、その時のいきさつはこのブログで書いた事が
ありましたが、どうしてこの小道は同じような方に出会うので
しょうか? 不思議です。
しかし、私は大阪のオバサンは、どうも苦手のようです。
オバサン達がやっと前に進み、右折道に入り、前鬼谷へと下って
いったのを見届けてから、私はまっすぐ違う道に進み、先の
後鬼(ごき)尾根道から下り道に入りました。
この森は尾根を境に北面はうっ蒼とした杉林、南面には広葉樹林が
多く、明るい雑木林と、はっきりと別れています・・・
一休みにして地面に腰を下ろし、目を閉じていると、いつもの
森のコンサートが聞えてきます・・・
小鳥、風、葉と葉、小枝、樹木、舞う枯れ葉・・・ それに新しく今日は
秋の虫たちも加わって、素晴らしい自然のメロデイーが聞えて
きます。
ゆっくりと目を開くと、木漏れ日に照らされた枯れ葉の上に、小さな
丸い石が輝いています・・・ 異質なのに、とてもきれいです・・・
よく見ると、あそこにも、ここにも・・・ 岩のかけらでなく、丸い石・・・
まるで海にある石のような・・・
そうか! ここは、何百万年? 前は海底だったんだな!
この近くにある大ケヤキのある所で、海抜460M程なので、海底が
それ以上に隆起したということなのだろうな?
私は、丁度足元にあった5cm四方の小さな丸石をそっとポケットに
入れました・・・
森の中で、私の心に響き、感じた時の小石や小岩・・・
そんな小さな私のコレクション? が、私の書斎にまた一つ増え
ました。
森の中での出会い・・・ たとえ小石一つでも、私の目と心から
離れない時に、これも一期一会か? と、持ち帰ってくるのです。
その一つ一つを手にとって目を閉じていると、その時の情景がすぐに
蘇ってきて浸れるのですから、いつも不思議物語です・・・
後鬼谷に下りてくると、小さな渓流の響きが心地よく、岩にあたり
白い水しぶきをあげながら流れるこの谷川の音にはいつも
癒されます・・・
足場の悪い道を下りながら・・・
あっ! 右足が滑った・・・ あれ!?
急に体が右に向いたかと思うとズルズルズル・・・ と、滑り落ち
る・・・
あわてて近くの草木を掴むが、あっという間にバランスを崩す・・・
どうしよう・・・!
それはスローモーション映画のように、まるで屋根から飛び降りるが
如く川床へ ドスン!
ビックリ! ドッキリ! だったが、幸い怪我もなく ホッ!
見上げると、小枝にセーターが引っかかったままでした。
しかし少し手前だったら、谷下へは7-8Mもあり、しかも大岩が
ゴロ ゴロしていて、とても ホッ! では済まされなかった・・・
ゾ ゾ ゾ!
それを思うと更に ドキ ドキ ドキ・・・ これは警告だ!
山を甘く見てはいけない・・・ いつも慎重に、緊張感を持って、
注意深く・・・
その上での楽しい森の散策なのだから、改めて気を引き締めて
教訓としました。
しばし、落ちた谷川の中を歩き、やがて木漏れ日の差し込む場所に
出ると、そこには真っ赤な実をつけた背丈ほどの木がありました・・・
なんの木だろう?
それにしても、森の中で初めてお目にかかる美しい赤色をした
木の実です・・・
なぜだか? 慰められているような気分になる・・・
厳しさと、優しさを持つ生きている森を感じました。
もうすぐ前鬼谷と後鬼谷が合流する落合谷へ出ようとする時
でした・・・
なにやらまた聞き覚えのある、あの賑やかな金切り声が、森に
こだまして聞えてきました・・・ もう慣れた私ですから・・・?
しばし、一休みをしながら遠ざかるのを待ち、静かな森に戻った所で
腰をあげました。
落合橋トンネルを抜け、瀧道にでると、賑やかな人並みです。
ほんのりと薄紅葉してきたもみじも、チラホラと見受けられますから、
もうすぐこの周辺も、あの道頓堀や心斎橋筋並みの賑やかさになる
ことでしょうね・・・
今日の賑やかさは、そんな予行演習と思えばいいか・・・?