箕面の森の小さなできごと&四季の風景 *みのおハイキングガイド 

明治の森・箕面国定公園の散策日誌から
みのおの山々を歩き始めて三千余回、季節の小さな風景を綴ってます 頑爺<肇&K>

かあちゃんの墓参り!

2020-08-26 | *編集・秋/10月

かあちゃんの墓参り!

 天上ケ岳へ向かう途中で、箕面ビジターセンターに立ち寄りました・・・

丁度、前の野草園に職員の方がおられたので、気になっていた

こと・・・ 

「通行止めになっている才が原林道の進捗状況」 をお聞きしま

した・・・ 

 

すると・・・

「年内の開通は無理でしょう・・・ それから先も不明ですね・・・

但し、この11月の紅葉の時期は交通渋滞の状況から開通するよう

ですが・・・

それを過ぎると、再び閉じるのでは・・・? 人は通れますからね・・・」

と。

先日、私も山の岩肌が崩れた林道の個所を通りましたが、さほどの

支障はなく、 なぜ開通しないのか疑問だったのですが・・・

 「・・・それは行政が余り車を歓迎してませんからね・・・」 とのこと。

 

分かります・・・

とにかく夜間に、車で大型ゴミなどを捨てに来る不届きな人が後を

たたず、毎年ボランテイアの人々が総出で掃除をしています・・・ 

私も参加しましたが、その量は毎回百数十トンになるのですからたまり

せん・・・

柵をしたり、看板を立てたりしても効果がなく、森の景観も悪くなり、

環境を守る為には、この通行制限はやむおえないと・・・ 

私も大歓迎です。

 

そんなおしゃべりをした後に、私は自然3号路に入りました・・・

すると、すぐの道脇の枯れ葉の上に七色に光るものが目に入り

ました。

何かな?  イヤリングの落し物かな? 

かがんで、手に取ろうとしたとき・・・ 動き出しました・・・ 

気の弱い私はもうビックリです (笑)

昆虫です・・・

よく見ると、細長い虹色の羽根でタマムシのようですが、木漏れ日に

映えて、その輝く姿は、まさに高貴な姿そのもので、しばし見とれて

しまいました・・・

箕面の森で、初めてみる美しい昆虫でした。

 

山道の草むらではコオロギやスズムシが鳴いています・・・

イガをつけた小さなシバグリが所々に落ちています・・・ 

中を見るとクリの実がないので、早くも動物達が食したようです。

その上に薄紅葉した枯れ葉が数枚、かぶさるように落ちていて思わ

ず、 秋だな~! とつぶやいていました。

 

二羽のヒヨドリが追いかけっこをしているかのように、森の枝から枝を

飛び交っています・・・

イロハモミジの葉はまだ青々としていますが、一種類だけ、葉先が赤く

染まっているカエデがありました・・・。

 

途中から、箕面川ダム湖に立ち寄ると、真っ青な空に浮かぶ白い雲が

湖面に写り込み、美しい光景です・・・

ススキの穂がなびくと湖面にもさざなみが立ち、そのゆっくりとした

穏やかな風情に秋を実感します。

 

修験道から天上ケ岳に向かう手前で一休みにしました・・・

ここは自然2号路と合流する所で、丸太を半割したベンチがあります。

横には、箕面の森に飛来する渡り鳥の種類などを書いた表示板が

あり、私が立ち上がってそれを読んでいるときでした・・・

自然2号路からの急坂を上って来る、同世代のおじさんがいました・・・

 

・ こんにちわ!

   * ああしんど! この坂、ワシにはきついわ! ハーハーハー

・ お疲れ様です・・・

   * ほんま、疲れたわ!  しかし、ええ季節になってきましたな

・ そうですね・・・

 

しばらく汗を拭いておられましたが、やがて・・・

   * ワシ、脳梗塞をやりましてな・・・

・ えっ! それは大変でしたね・・・

   * そうでんねん・・・ しばらくは大変でしたわ・・・

・ しかし、よくお元気になれて・・・ よかったですね。

   * おおきに!  ほんま、急やったさかいにな・・・ 

      まだこの右方ダメでんねん・・・ 

      右手はこんな感じでつかえまへんねん・・・

 

そう言いながら、左手で動かない右手をさすっておられます・・・

    * しかし、こうして歩けるのは幸せもんですわ・・・ 

      ワシなんかもう何十年とこの辺歩いてますさかいな・・・ 

      歩かれへん時は地獄でしたわ・・・ そんでリハビリ頑張り

      ましたがな・・・

 

そう言いながら笑っておられる・・・ 

でも、相当なご苦労を乗り越えてこられた事が分かります。

・ それは本当によかったですね・・・ ところで、どの辺から歩いて

  こられたのですか・・・

    * ワシでっか? 箕面の駅からですわ・・・

      (時計を見ながら・・・) 

      ここまで約110分位でっか? 

      これから勝尾寺さんまで墓参りに行きまんねん!

 

脳梗塞を患った方とは思えないぐらいの健脚ぶりで、私など健康体で

それだけ歩くとなると大変です・・・ 

しかも、肩から斜めに掛けた布袋一つ持っただけで・・・ 

リュックにいろいろ詰め込んで歩いている私は、恥かしくなりました・・・

 

    * かあちゃんに会いに行きまんねん・・・

 その時だけは少し悲しそうな顔をされました・・・

お母さんの事?  それとも奥さんの事なのでしょうか?

   * ほな、お先に・・・

 

そう言いながら、不自由な右手を庇うようにしながらもゆっくりと、

しかし、しっかりとした足取りで遠ざかって行きました・・・

本当に山歩きがお好きで、森や自然が生きがいの方のようです。

 

以前、同じような方にビジターセンターでお会いした事があり、森の

自然にふれて歩ける事の喜びに、涙されていた事を思い出しました。

突然の病と障害・・・ 

そして、その辛いリハビリに励みながら、好きな山を再び歩く事に

懸命の努力をされ、それを成し遂げている方々に出会うと、本当に

感動してしまいます。

 

 

帰り道で、再び思い出してしまいました・・・ 

今頃、あのおじさんは かあちゃんと、どんな思い出話しをされている

のでしょうか・・・?

 

初秋の爽やかな風が、尾根道を静かに通り過ぎていきました・・・

 08-10-4 (完)

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