日々雑感

最近よく寝るが、寝ると言っても熟睡しているわけではない。最近の趣味はその間頭に浮かぶことを文章にまとめることである。

株価2万円を考える

2015年04月18日 10時08分37秒 | 日々雑感
 4月10日、株価が一時的にではあるが2万円を超えたとマスコミ報道も浮かれ調子である。成長戦略の内観光産業以外は軌道に乗っていないのに株価が上がるのが不思議な現象であるが、原因として円安、原油安等の他、GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)が株を大量に購入してからだと言われる。
 株を持っている人は当然大儲けであろうが、株に関係ない一般大衆も株高の恩芸を受けているとの論調がある。GPIFは、年金の積立金の一部、約137兆円の資金を運用している。今回の株高でやはり大儲けしているつもりであろう。GPIFが株で儲かっているから将来の年金原資が増えるから一般大衆も安心できるとの説明である。本当だろうか。株で持っている限り、それがいつ下がるかのリスクを抱えている。だからと言って株を手放せば、大口投資筋が逃げ出したと、株は一気に下がる危険性がある。
 現在、日本の経済好調は原油安による影響が大きいと言われる。原油の価格は、石油輸出国機構(OPEC)の総会で決定される。昨年末の総会で原油の生産を維持すると決めたから、市場に原油がだぶつき、原油安になっているとのことである。原油の生産の続行の理由は、米国シェルオイルに打撃を与えるためとか、いろいろ言われるが、少なくとも日本の意向を反映した訳ではない。
 OPECに日本は当然加盟国でない。と言って今後の動向を逐次把握しているとは到底思えない。何しろ中国が主導するAIIB(アジアインフラ投資銀行)にEU各国が雪崩をうって参加したのを、予想外と受け止めていた位であるから。菅官房長官は想定内と言っているがそう言わざるを得ないであろう。今後OPECが方針を変更し、原油高となった場合、日本経済はもろに影響を受けると思うが、株高は維持されるであろうか。
 また、株高を支えているのは、日本企業の業績改善に対する外国人投資家らの期待であるらしい。彼らは、業績改善すれば配当金が増えるのを目的にしているのであろうか。それより、株高になったとき株を売って差額を儲けることが目的ではなかろうか。株取引の6割は外国人とのことであるので、彼らの影響は大きいが、彼らの行動を制御できるとは到底思えない。
 株高はバブルの様相を呈し始めているが、日銀総裁をはじめ財務省は、日本経済は制御可能と言い張っている。しかし、日本経済は日本単独で成り立っているわけでない。世界の経済の影響をもろに受ける。株高の要因である原油安と外国人の株購入は、日本政府の言いなりにならない。それなのに制御可能と強弁しないと、株高を維持できないのではないかと、かえって心配になる。
 菅官房長官は、「二兎を追って二兎を得る」を実現したいと語ったと言う。二兎とは、経済再生と財政再建である。昔からの格言は「二兎追うものは二兎を得ず」である。(犬賀 大好-121)