日々雑感

最近よく寝るが、寝ると言っても熟睡しているわけではない。最近の趣味はその間頭に浮かぶことを文章にまとめることである。

地球を生き物として見る

2016年05月04日 09時09分38秒 | 日々雑感
 4月14日に始まった九州中部の地震は未だに収束せず、住民に避難生活を強いている。地震は地殻のひずみが解放される現象と説明される。地球の内部はコアと呼ばれる灼熱の中心部とそれを取り巻くマントルからなり、我々はマントル上の地殻の上で生活している。

 マントルは、地球の体積の約8割を占める岩石であるが、10cm/年位の速さで動いているとのことである。岩石であるからには ”盤石の如く” 動かないイメージであるが、高温・高圧の下では液体のように流動するようで、これをマントル対流と称するとのことである。

 マントル対流の原因は,地球中心部の高温と地表との温度差による熱対流に起因するとのことである。このマントル対流が、表面近くではプレートの移動となって現れて大陸の移動をもたらし、プレートの上に位置する地殻の部分もプレートの動きの影響を受けて圧縮されたり伸ばされたりして、山を作ったり峡谷を作ったりする訳である。世界で一番高いエベレストもその昔海の底にあったとは、とても信じられない。しかし、これらはプレートテクトニクスの考えより常識化している。
 
 地球の46億年の歴史から見れば、地球は生き物の如く、時々刻々変化しているのだ。東日本大地震も熊本大地震もこの変化の一現象に過ぎない。日本各地に存在する活断層も全身に出来た皺のようなものだ。人間の皺は歳と共に深くなるが、地球の皺は風雨に曝されて表面から隠されたりもする。

 地球全体から見た場合に薄皮の地殻であっても、人間からすれば5~50Kmと驚くほど厚く、そこに地球の秘密も隠されている。地表に現れた何層にもなる地層を調査分析すると、地球の歴史や地球の構造などが分かってくる。

 最近の話題は、千葉県の養老渓谷の地層「千葉セクション」の白尾(びゃくび)層だ。この白尾層は、地球で今まで何度も繰り返されてきたという地磁気の逆転が最後にあった時代を示す地磁気逆転地層なのだ。最新式の詳細な検査により、今までは約78万年前と推測されていた最後の地磁気逆転の時代が、それより一万年ほど遅い77万年前だということがわかったと言う訳だ。

 素人目には何の変哲もないありふれた地層であろうし、おおよそ70万年前の大昔における1万年くらいの誤差は大したことで無いと思ってしまう。しかし、地磁気逆転が生物に及ぼす影響、またなぜ逆転が起きたか、を思いめぐらすと知的好奇心をくすぐられる。

 我々人類は人体で磁性を感ずることが出来ず、方位磁石で方向を知る程度の利用である。地磁気が変化したところで命に支障はないであろうが、地球上の様々な生物の行動には影響が出てくるだろう。たとえば、ハクチョウに代表される渡り鳥やイルカなどの海洋生物は、地磁気を探知して方向を認識しているそうだ。従って、地磁気の変動はこれらの生物に死活問題となるかも知れないが、変動が何年にも亘って徐々に起こるとすれば、その間に慣れてしまい、影響は大きくないかも知れない。これも興味の対象だ。

 ところで、地球の磁場の変動は地球の中心部にあるコアと呼ばれる部分に原因があるとする説が有力だ。電磁気学において、力、電流の動き、磁場は、フレミングの法則等に現れる重要な3つの要素だ。コアを取り巻くマントルが動くからには、マントルより高温、高圧のコアはもっと活発に動いている筈だ。そのように考えると、コアの動きの変動が、地磁気の変動となって現れると考えるのが自然であろう。しかも、地中奥深いところで、地球誕生から絶え間なく続いている動きであり、マントル対流の原因ともなっているのだ。まるで、人間の心臓が人間活動の源泉である如く、地球変貌の源なのだ。

 一方、近年の地磁気衰退の原因を、人類が普及させてきた電力システムに見る科学者も少なくない。一台の家電から発せられる磁力は微々たるものだが、世界全体で見れば膨大なものとなり、地磁気に悪影響を与えてしまう可能性があるとの話である。

 地球は、誕生以来絶えることなく変貌を遂げてきた。地表に人間が居ようと居まいと関係なく変化を続けてきたし、今後も続けていくだろう。もし神様が存在するとすれば、この変化を左右しているのが神様であろう。しかし、人類は神を恐れることなく、地磁気を乱すほど巨大な電力システムを生み出してしまったのかも知れない。

 地球は、遠い将来にはコアの熱もなくなり、プレートの動きもなくなり、死を迎えるかも知れない。しかし、その前に人類がその死を早める何かを仕出かすだろう。
2016.05.04(犬賀 大好-230)