2020年東京五輪・パラリンピックの開催総費用が2兆円を超すとか、いや3兆円になるとかうわさが飛び交っている。2012年ロンドン大会では、開催5年前に公的資金が約1.6兆円と公表された。4年後に迫る東京大会は必要資金が未だに公表されていない。分かっていないというより、分かっているがその膨大さから世論の反発を恐れ、公表出来ないと思った方が適切であろう。
遠藤利明五輪相は今年1月の衆院予算委員会で総額について「組織委も政府も把握していない」と答弁したそうだ。五輪担当相は昨年6月まで下村文部科学大臣が兼任していたが、遠藤氏が専任大臣として引き継いだ。新国立競技場建設や五輪エンブレムを巡って、文科省、大会組織委員会、JOC、東京都が責任のなすり合いをした反省から、総責任者として就任した筈であるが、どうも心もとない。担当相と言えど独断では予算を決められないので、総責任者と言うより調整が主たる役目であろう。今後も責任の所在を巡りいざこざは続くであろう。
昨年暮れ、大会運営費に関しては、必要な費用が当初見込みの3013億円から約6倍となる1.8兆円に増大することが組織委の試算としてわかった、との報道があった。組織委の武藤敏郎事務総長も、運営費は1.8兆億円との一部報道に「確固たる数字は持ち合わせていない」と述べ、否定も肯定もぜずお茶を濁したが、間違いのない数値であろうと勘繰られる。
競技会場の整備費やテロ対策の強化といった警備費の増大、人件費や資材の高騰のほか、選手らを輸送する首都高速道路に専用レーンを設置するための補償費、会場周辺の土地賃貸料など、当初は見込んでいなかった費用が追加されたことによるとの話であるが、6倍とは驚き、桃の木である。計画のずさんさには、唖然、茫然、愕然である。
オリンピック・パラリンピック開催経費には、主に公的資金で賄われる会場・インフラ整備費と、民間資金で賄われる大会運営費があるそうだ。組織委員会の森喜朗会長は昨年7月、「全体の計画で当初の三倍ぐらい」かかり「最終的に2兆円を超すかもしれない」と発言していたそうだが、先の1.8兆円も計画段階の予想値であるので、2兆円を軽く突破することは間違いないだろう。
この運営資金は、原則として民間資金、すなわちスポンサー費用等によって賄われるとのことであるが、赤字ともなれば公的な資金を投入せざるを得ないであろう。また国や東京都が負担する会場等整備費には、税金が投入される。
2020年東京五輪・パラリンピックの仮設施設の整備費が招致段階の計画の4倍相当の約3000億円に膨らむ見通しとなっていることが今年5月始め明らかになった。建設費の高騰などが理由であるが、物価上昇率が2%に達せられなくて頭を抱えている日銀総裁が聞いたらうらやましく思うであろうか。4倍との値は驚くべき値の筈であるが、運営費の6倍増との値を聞くと、逆によく抑えたとも思ってしまう。金銭感覚がすっかり麻痺してしまっている。
当初、競技会場については新設の恒久施設は都、仮設施設は組織委が整備することになっていたが、組織委は自ら賄いきれないと判断したのであろう、東京都、政府で費用分担の見直し協議を進めているようだ。
国は1千兆円を超える赤字を抱えているのに対し、財政的には裕福な東京都には多分な要求がなされるであろう。今度の日曜日に都知事選が行われるが、東京都知事候補は誰も経費削減が必要と言っているが、東京でも恐らく大幅な赤字となるであろう。
過去に行われたオリンピック開催の収支は、モントリオール五輪が大幅な赤字、ロサンゼルス五輪では黒字だったと言われているが、インフラ整備等五輪後にも使用できる整備費の扱いはどうなっているのであろうか。東京では計画段階より、4倍、6倍増加となるの話は出ているが、その内訳を是非公表してもらいたいものだ。開催後でも生きる金であればまだしも、招致の際に使った不透明の金の使い道等は許されない。東京五輪はすでに大量の公的な資金投入が必要なことが目に見えている。東京オリンピックが開かれる2020年は財政収支(プライマリーバランス)を黒字化する国際公約の目標年でもある。財政規律を意識したオリンピック開催に努めなければならない。国の代表である遠藤五輪相よ、しっかりしていただきたい。
2016.07.27(犬賀 大好-254)
遠藤利明五輪相は今年1月の衆院予算委員会で総額について「組織委も政府も把握していない」と答弁したそうだ。五輪担当相は昨年6月まで下村文部科学大臣が兼任していたが、遠藤氏が専任大臣として引き継いだ。新国立競技場建設や五輪エンブレムを巡って、文科省、大会組織委員会、JOC、東京都が責任のなすり合いをした反省から、総責任者として就任した筈であるが、どうも心もとない。担当相と言えど独断では予算を決められないので、総責任者と言うより調整が主たる役目であろう。今後も責任の所在を巡りいざこざは続くであろう。
昨年暮れ、大会運営費に関しては、必要な費用が当初見込みの3013億円から約6倍となる1.8兆円に増大することが組織委の試算としてわかった、との報道があった。組織委の武藤敏郎事務総長も、運営費は1.8兆億円との一部報道に「確固たる数字は持ち合わせていない」と述べ、否定も肯定もぜずお茶を濁したが、間違いのない数値であろうと勘繰られる。
競技会場の整備費やテロ対策の強化といった警備費の増大、人件費や資材の高騰のほか、選手らを輸送する首都高速道路に専用レーンを設置するための補償費、会場周辺の土地賃貸料など、当初は見込んでいなかった費用が追加されたことによるとの話であるが、6倍とは驚き、桃の木である。計画のずさんさには、唖然、茫然、愕然である。
オリンピック・パラリンピック開催経費には、主に公的資金で賄われる会場・インフラ整備費と、民間資金で賄われる大会運営費があるそうだ。組織委員会の森喜朗会長は昨年7月、「全体の計画で当初の三倍ぐらい」かかり「最終的に2兆円を超すかもしれない」と発言していたそうだが、先の1.8兆円も計画段階の予想値であるので、2兆円を軽く突破することは間違いないだろう。
この運営資金は、原則として民間資金、すなわちスポンサー費用等によって賄われるとのことであるが、赤字ともなれば公的な資金を投入せざるを得ないであろう。また国や東京都が負担する会場等整備費には、税金が投入される。
2020年東京五輪・パラリンピックの仮設施設の整備費が招致段階の計画の4倍相当の約3000億円に膨らむ見通しとなっていることが今年5月始め明らかになった。建設費の高騰などが理由であるが、物価上昇率が2%に達せられなくて頭を抱えている日銀総裁が聞いたらうらやましく思うであろうか。4倍との値は驚くべき値の筈であるが、運営費の6倍増との値を聞くと、逆によく抑えたとも思ってしまう。金銭感覚がすっかり麻痺してしまっている。
当初、競技会場については新設の恒久施設は都、仮設施設は組織委が整備することになっていたが、組織委は自ら賄いきれないと判断したのであろう、東京都、政府で費用分担の見直し協議を進めているようだ。
国は1千兆円を超える赤字を抱えているのに対し、財政的には裕福な東京都には多分な要求がなされるであろう。今度の日曜日に都知事選が行われるが、東京都知事候補は誰も経費削減が必要と言っているが、東京でも恐らく大幅な赤字となるであろう。
過去に行われたオリンピック開催の収支は、モントリオール五輪が大幅な赤字、ロサンゼルス五輪では黒字だったと言われているが、インフラ整備等五輪後にも使用できる整備費の扱いはどうなっているのであろうか。東京では計画段階より、4倍、6倍増加となるの話は出ているが、その内訳を是非公表してもらいたいものだ。開催後でも生きる金であればまだしも、招致の際に使った不透明の金の使い道等は許されない。東京五輪はすでに大量の公的な資金投入が必要なことが目に見えている。東京オリンピックが開かれる2020年は財政収支(プライマリーバランス)を黒字化する国際公約の目標年でもある。財政規律を意識したオリンピック開催に努めなければならない。国の代表である遠藤五輪相よ、しっかりしていただきたい。
2016.07.27(犬賀 大好-254)