日々雑感

最近よく寝るが、寝ると言っても熟睡しているわけではない。最近の趣味はその間頭に浮かぶことを文章にまとめることである。

たばこの増税を徹底せよ!

2017年11月18日 17時24分12秒 | 日々雑感
 財務省は、2018年10月から3年程度かけて1本あたり3円増税する案を検討しているとのことだ。国の借金が千兆円を超える財政難の折、少しでも財源が欲しい財務省としては当然であろう。ただ、先日開かれた自民党の税制調査会の非公式幹部会では慎重論が相次いだそうだ。葉タバコ農家や愛煙家からの反発や、増税がたばこ離れにつながり税収減となる恐れもある、等が慎重論の中身であろう。

 昨年10月末、自民党の山東昭子参院議員は、4年後の東京五輪の際の受動喫煙防止対策として、たばこ1箱を1000円に引き上げるよう菅義偉官房長官に申し入れたようだ。価格を上げることにより、喫煙者を減らそうとの試みである。山東氏は、受動喫煙防止議員連盟会長として、2015年9月にはタバコ税引き上げを求める要望書取りまとめるなど、予てより積極的にタバコ税の増税を推進してきた。

 一方、受動喫煙対策を強化する目的で、床面積が30平方メートル以下の飲食店等に対し喫煙を認める厚労省の当初案から、150平方メートル以下と大幅に後退していることが判明したと、先日報道された。業界から支援を受けた自民党の一部議員からの猛烈な規制反対があったのであろう。

 世界保健機関(WHO)の受動喫煙対策の4段階評価では現在日本は最低ランクに分類されているそうで、これに関しては日本は後進国だ。

 山東氏は健康上の理由から、財務省は財源欲しさから増税を主張しているが、増税がたばこ離れにつながり、不健全な状態から抜け出すことが出来れば、一挙両得だ。

 増税により喫煙者が減ると、これらの疾患が減少し医療費の増大を抑えるとの二次的効果が期待される。2013年度の日本国の歳出総額97兆円であり、このうち医療費の公的負担総額は15.5兆円と約16%を占める。煙草による社会的損失は、煙草が原因の医療費・早死による国民所得損失など5.6兆円との試算もある。また、同年度、国家予算の歳入において、たばこ税は約1兆円であったそうで、例えこの税収がゼロになっても、差し引き大きなプラスとなる。従って、増税云々するより、思い切ってたばこ禁止とした方が、長い目で見た場合、国家の利益となるのは明らかだ。

 東京都は東京五輪に向けて30平方メートル以下の飲食店舗でのみ喫煙可能条例化を目指しているが、国政参加で味噌をつけた小池都知事は、五輪開催中都内において全面禁止とするくらいの指導力を発揮すれば、かっての人気が戻ってくるかも知れない。

 たばこは万病の元であり、禁煙により健康体になれば、社会の活性化に繋がることは間違いない。健康な老人は、仕事やボランティア活動を介して、社会貢献可能となる。社会の活性化が経済の活性化となれば、高齢化による社会保障費の増大があったとしても許されるであろう。

 日本たばこ(JT)は、本年5月実施の全国たばこ喫煙者率調査では、成人男性の平均喫煙率は28.2%で、女性は9.0%となり、喫煙者率が年々減少傾向にある、と報告している。これは、1965年以降のピーク時(1966年)の83.7%と比較すると、50年間で55ポイント減少したことになるそうだ。

 この要因は、高齢化の進展、喫煙と健康に関する意識の高まり、喫煙をめぐる規制の強化や、増税・定価改定等によるものと考えられるそうだ。このまま行けば近い将来たばこは絶滅の運命にある。

 従ってたばこを禁止とする荒治療より、思い切った増税により喫煙者率の低下を促進した方が、現実的かも知れない。2017.11.18(犬賀 大好-391)