日々雑感

最近よく寝るが、寝ると言っても熟睡しているわけではない。最近の趣味はその間頭に浮かぶことを文章にまとめることである。

安倍首相の任命責任と二階幹事長の威光

2018年11月17日 09時39分29秒 | 日々雑感
 10月2日に発足した第4次安倍改造内閣の閣僚は、初入閣が12人、再入閣が1人、留任が6人であった。今回の初入閣の12人のうち、衆議院で当選5回以上、参議院で当選3回以上で閣僚経験が無い、いわゆる閣僚待機組と呼ばれる議員からの起用は10人となっているそうだ。ただ、自民党内に閣僚待機組の議員は更に60人余りおるそうで、安倍内閣としては彼らの要望に応えざるを得なかったのであろう。

 この組閣人事に関し、各新聞社の評価は様々である。

 安倍首相が嫌いな朝日新聞は、論功行賞、在庫一掃、閉店セール内閣、政治が責任を取っていない、と辛口に報じた。安倍首相が好きな読売新聞は、未来を見据えながら、新しい国造りを力強く進めていくため、実務型の人材を結集し、要所に実力者を配した上で、入閣経験のない議員を積極的に登用し、党の活性化に腐心した布陣である、と好意的に報じた。日経は、安倍首相が総裁選で圧勝したため、自民党内で閣僚ポストを要求する圧力が強まり、不安材料が多く、今回の人事も次の自民党を背負う看板となる人材が党人事を含めてみえてこないことも問題だ、と冷静に報じた。

 今、臨時国会が開催中であるが、読売新聞を除いて、その指摘が現実になっており、桜田五輪相と片山さつき地方創生大臣の資質が国会でやり玉に上がっており、安倍首相の任名責任が問われている。

 桜田義孝五輪相は9日午前の記者会見で、参院予算委員会でちぐはぐな答弁をしたのは質問の事前通告がなかったためだとして、責任を人のせいにした。これだけでも大臣の資質が問われる。

 そもそも五輪相の役目がはっきりしていないので、何をしたらよいか分かっていないのかも知れない。東京五輪には、主催者である東京都知事の小池百合子氏、東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会の会長である森喜朗氏のうるさ型が控えている。五輪相の独自の判断では何もできないだろう。逆に何もすることが無い五輪相だから、桜田氏でも勤まると任命された感もする。

 さて、五輪相は単なるお飾りだとしても、兼務するサイバーセキュリティ担当大臣となると、問題が大きい。

 無所属の今井雅人氏の「パソコンは使うか」と質問したのに対し、桜田氏は「そういうことは常に従業員、秘書に指示しており、自分でパソコンを打つことはない」と答弁したそうだ。桜田氏が”パソコンを打つことはない”、と答弁しているのに対し、マスコミ各社は”パソコンを打ったことが無い”と報道しているが、本当のところ、経験がまるで無いのであろうか。パソコンの経験が多少あったところで、サイバー空間を理解するためには、更に深い知識が必要であり、生半可の勉強では理解できないことも確かである。

 東京五輪は一過性のイベントであり、お飾りで済むかもしれないが、サイバーセキュリティーに関しては将来を左右する大問題でもあり、即大臣失格である。

 片山さつき議員は、国税当局への“口利き疑惑”や”政治資金収支報告書”の杜撰さの件で国会で連日名前が挙がっている。片山氏は13日、自身が代表を務める政治団体3団体の収支に関して、40件の政治資金を訂正し、翌日の衆院内閣委で、担当秘書が寄付の領収書の控えを取らないまま退任した、と弁解し、更に後任の秘書が報告書の記載を誤ったと釈明し、自分の責任に頬被りしている。

 両人の責任を他者に押し付ける手法は、森・加計問題における安倍首相のやり方を真似しただけと思えなくもない。これでは安倍首相も怒るに怒れない。

 そもそも大臣に登用するためには、身体検査と称する事前審査を行っている筈であるが、恐らく両人が所属する派閥、志帥会会長二階俊博、自民党幹事長が、強く推薦したのであろう。何しろ自民総裁が二期限りであったのを三期までに延長させたのは二階氏の功績であり、安倍首相も頭が上がらないのであろう。2018.11.17(犬賀 大好-495)