日々雑感

最近よく寝るが、寝ると言っても熟睡しているわけではない。最近の趣味はその間頭に浮かぶことを文章にまとめることである。

トランプ大統領の人気に影が射し始めたか

2020年02月01日 09時37分59秒 | 日々雑感
 トランプ大統領は今年11月に行われる大統領選挙に向けて必死である。世界では国際協調精神をぶち壊し極めて評判が悪いが、米国内においては根強い人気があるようだが、影が射し始めた感もする。

 トランプ大統領の人気は景気の良さが好材料のようである。大統領は1月21日、スイスのダボスの世界経済フォーラム第50回年次総会で、減税と政府支出増加により過去最長の景気拡大局面を実現したと、自身の功績を強調した。

 さて、トランプ政権と連邦議会は2017年末に10年で100兆円を超す大型減税を決定し、またロシアとの間に結ばれていた中距離核戦力全廃条約(INF)破棄に連動して国防費を増大した等で財政赤字も2019年度には前年度比26%拡大したらしい。

 米財務省は、2019会計年度の財政赤字は9840億ドル(約107兆円)と7年ぶりの水準に悪化したと発表した。20年度以降は赤字額がさらに膨らむとされ、過去最大の貿易赤字とともに、中長期的にはドル相場の暴落など米経済・市場のリスクを増大させているようで、現在好調と見える米国経済も砂上の楼閣かも知れない。

 ウクライナ疑惑をめぐりトランプ大統領は、自らの政治的利益のためにウクライナに圧力をかけ、更に議会による調査を妨害したとして、弾劾裁判が1月22日開始された。

 ウクライナとの交渉には大統領補佐官だったボルトン氏が深く関わっており、議会での証人喚問が注目されていたが、共和党の反対で実現出来ないと懸念されていた。しかし、ボルトン氏は近く出版する著書の草稿に、大統領がウクライナ政府に軍事支援の実施と引き換えに政敵バイデン前副大統領の調査を行わせようとした、との内容があると米メディアが報じた。大統領は、民主党の攻撃に魔女狩りだと感情的に反論していることも更に形勢を悪くしている。

 また、米国民の約1/4が所属するキリスト教系福音派は盤石なトランプ支持派と見られていたが、福音派の大手誌の編集長は先日、トランプ氏の権力乱用は罷免に値するとの社説を発表し、盤石基盤の一角が崩れ始めたようだ。

 また米中貿易戦争のあおりで関税が急上昇し、米国産農産物の中国への輸出に急ブレーキがかかり農家は悲鳴を挙げていたが、昨年12月米中の第一段階の貿易合意によって、近いうちに年間5.5兆億円規模に回復すると勝利宣言した。

 そもそも中国との貿易戦争は大統領自らが主導して始めたもので、先端技術開発に対する国家の支援中止等の本来の目的は達せられていないが、選挙に向けて農家の気を引くための気休めとしか見えない。このマッチポンプ手法がいつまでも効果があるようには思えない。

 トランプ大統領は1月24日、ワシントンで開かれた人工妊娠中絶に反対する集会に現職大統領として初めて参加したそうだ。この問題は米国内で賛否両論半ばしているようで大統領も態度を明らかにしてこなかったが、11月の米大統領選に向けて、キリスト教福音派等、中絶に批判的な支持基盤を固める狙いがあるそうだ。トランプ大統領のなりふり構わぬ選挙運動はいよいよ追い込まれた裏返しと思える。2020.02.01(犬賀 大好-571)