昨年12月8日、中国湖北省武漢市で原因不明の肺炎患者が発症し、後にそれが新型のコロナウイルスによるものと判明した。2月26日現在世界中に猛烈な広がりを見せているのは、中国の初期の対応遅れがあったからと言われている。近年中国は世界の工場とか世界第2の経済大国と言われてきたが、今回の騒動ではっきり思い知らされた感である。
日本国内にある大手自動車工業も中国からの部品が滞っているため休業を余儀なくされたり、中国から輸入されるの野菜に頼る外食産業も国内野菜に切り替える為値上げを余儀なくされた等、日本での影響が報道されるが、世界経済にも多大な影響を及ぼし始めているようだ。
中国人旅行者の減少によって各国の観光業が打撃を受けている他、中国からの部品や原料の供給が滞って生産活動にも影響が出ている現象は世界中に広がり、アメリカでもアップル社が中国でのiPhoneの生産台数の激減で、ことし1月から3月までの3か月間の売り上げが当初の見込みを達成できなくなったとのことだ。
コロナウイルスの一つSARSが流行した2003年、中国経済が世界全体のGDPに占める割合は4%余りであったが、去年は16%程度にまで拡大しており、中国経済の冷え込みは2003年をはるかに上回る規模で世界経済に影響を与えるとの予想だ。
先日24日閉幕した主要20か国の財務相・中央銀行総裁会議は、新型コロナウイルスの感染拡大が世界経済の新たなリスクになっているという認識を共有し、世界経済の下振れリスクに対処するため、各国がすべての政策を使って対応していくことで一致したそうだ。
日銀の黒田総裁は、”新型コロナウイルスの問題が日本経済や金融市場に与える影響には最大限の注意を払っていく必要があるし、必要な時に必要な措置がとれるように万全を期していく”と述べたそうだが、具体案は示されておらず、消費増税10%対策の後でどのような対策が残っているか素人ながら懸念される。
新型コロナウイルス発症国は各国機関やWHO等からの発表を見ると全世界に及んでおり、中国と世界の国々の交流の活発さが伺える。ただアフリカ大陸や中南米にまで及んでいないが、中国が進出していない筈は無く、その地域における検査体制が整っていないだけだとの論調に説得力がある。
このウイルスに感染した場合、最初に鼻水、喉の痛み、せきなど風邪のような症状が現れ、更に進行する場合発熱や体のだるさが続き肺炎と重症化するそうだ。ただ健康な方が罹っても重症化する可能性が低く、致死率も高くない感染症だとのことで間もなく終焉し、中国経済や世界経済も急激に回復するとの楽観論も聞こえてくる。
しかし、インフルエンザと区別がつきにくく、見逃されている場合も多いと思われ、また感染されても症状が出ない場合が多く、片や無症状でも感染させる能力があるため、感染は世界中に蔓延する可能性が大と思われる。特にアフリカや南米に広がった場合、衛生環境や栄養状態の悪さから重症化の割合が多くなり、世界経済の回復は遠のくかも知れない。
これだけ世界中への中国の影響力は大きくなっており、中国の政治体制も変わらざるを得ないであろう。2020.02.26(犬賀 大好-577)