日々雑感

最近よく寝るが、寝ると言っても熟睡しているわけではない。最近の趣味はその間頭に浮かぶことを文章にまとめることである。

日本の財政が破綻しない理由がよく分からない

2021年12月01日 14時24分39秒 | 日々雑感
 岸田文雄首相はコロナ禍で傷ついた経済の立て直しに向け、当面は積極的な財政出動を続ける方針を示し、このための財政支出が40兆円超となっている。財源は主として国債の大量発行であろうが、国債残高は 1975年の約 15兆円から 93年には約 184兆円へと累増し、ついには1000兆円を越えた。

 国の借金である国債の発行残高は約1000兆円、地方政府の借金である地方債の発行残高は約200兆円、国と地方を合わせるとその総額は約1200兆円に達する。この公債はあくまでも借金であるため、利子を払ったり、いずれは買い戻さなくてはならない。

 また、この借金は負の遺産となって子供や孫世代に引き継がれるため、常に少しでも減らす努力をしなくてはならないが、目先の経済が大切とばかり先の衆議院総選挙では、どの政党もばらまき合戦を繰り広げ、国の財源は無限にあるかのようだと、財務省の事務次官から批判された。

 国の予算を立てるにあたって、歳入と歳出が同じであることが理想であり、このために財政健全化が叫ばれている。2020年度の国家予算は約100兆円であるが、歳入の約6割が税金であり、残りの約4割が公債、すなわち借金である。

 財政健全化への取り組みを巡って麻生前財務相は、経済成長と財政再建の両立はしっかり進めていく、との考えを強調していたが、岸田首相も財政再建の旗は降ろさないとしつつも、具体的な取り組みについては何も手を付けていない。

 国の借金が増える一方であり、国の指導者は一応その懸念を示してはいるが、あまり心配していないようだ。個人的な借金は、それが莫大となると借金取りから返却を迫られ首が回らなくなり、自己破産や自殺と言った悲惨な結果が待ち受けている。国の借金は稼ぎであるGDPの2.5と膨大になっているが、財政破綻は心配ないのであろうか。

 その懸念を払拭する一つの根拠が海外保有比率だそうだ。2019年度末の段階で、海外保有比率は9%位だそうだ。すなわち、借金していても、その内の1割程度が借金取りの心配があるが、残りの9割は身内からの借金であり、いざとなったら、ご破算の手も残っているとのことだ。ご破算とは超インフレ等であろうが、国内問題として済まされるからであろう。

 また、政府全体が保有する国有財産とのバランスが重要であり、国有財産を勘案すると実質的な政府の借金総額は約120兆円となり、会計学上”健全な”額の純負債総額となるのだそうで、このままでも何も心配が要らないとする意見である。国有財産とは、国有地、庁舎・宿舎、政府保有株式などだそうだが、これらの財産を個人や外国に売却すれば、金が入ると言うことであろうか。

 いずれにしても、日本国の財政破綻の懸念が無いとの理屈がよく理解できないが、経済学者が余り騒いでいないことを見ると、安心してよいのだろうか。しかし、物価上昇率2%目標を2,3年で達成すると主張した経済学者もいたが、経済学とはあまりあてにならないと思った方がよさそうである。2021.12.01(犬賀 大好ー768)