日々雑感

最近よく寝るが、寝ると言っても熟睡しているわけではない。最近の趣味はその間頭に浮かぶことを文章にまとめることである。

日銀の負の遺産を黒田総裁はどうするか

2021年12月18日 11時10分51秒 | 日々雑感
 日本銀行は、昨年12月末現在で、東証1部の約7%、時価にして46兆8000億円の株資産を保有しているそうだ。これまで最大株主だった、年金の管理運用をしている年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)の保有株を抜いて、世界最大の株主となったのだ。

 GPIFは積み立てた年金資産を増やすことが任務であり、このため購入した株式を売却して利益を出差なくてはならないが、一方の日銀は金融資本市場を安定化させるという目的で株式を保有しており儲けは二の次のようだが、市場を混乱させてはならない。

 日本銀行が上場投資信託(ETF)開始を決定した2010年10月当時、日本株は買い手不在といえる状況にあり、一般家庭においても家計はリーマン・ショックの後遺症もあって投資への意欲はなかった。このため、日銀が株式市場に介入して活発化させようと始めたのであろう。

 その甲斐もあってか、コロナ禍に拘わらず日経平均株価は今年9月14日に3万円を越えて約31年ぶりの高値をつけ、その後は3万円を挟んで一進一退を繰り返している。

 日銀が今年11月26日発表した4~9月期決算で、保有額(簿価)は36兆2751億円となり、含み益は16兆6200億円と過去最多を更新した。含み益はあくまでも名目上の益であり売却となると話は別であろう。また、膨大な株式を購入していた日銀がETF買い入れを減らすと、株式市場にはどのような影響があるのか懸念される。

 日本銀行が2021年3月にETFの購入方針を見直すと発表した。見直しの主なポイントは、・4月以降は東証株価指数(TOPIX)に連動するETFのみを購入、・ETFを年間約6兆円のペースで買い入れるという新型コロナ禍前からの方針を削除するという点である。もって回った言い方であるが、要はこれからは的を絞って購入するとの事だろう。

 この背景には、これまでのETF買入れにより株式市場の価格形成が一部歪められてきたという反省があるとみられる。本来の株式市場は買い手と売り手の経済的な価値判断により形成されるのであろうから、そこに政治的な判断が介入されるのは異常な状態なのだ。

 日銀は日本経済の安定を図るためと称し異次元金融緩和をここ10年続けている。最近日常品の物価上昇が目立つが、日銀の政策決定会合でも物価上昇率は横ばいと説明し、悪い物価上昇と言う新たな概念を持ち出し、金融政策を続行しようとしている。

 先進国では金融緩和の動きに歯止めがかかる状況にあるが、日本ではあくまでも続行だ。背景には続行せざるを得ない状況なのであろう。日本はゼロ金利の下で経済が回っているのだ。ここで金融緩和を縮小すれば金利が上がり倒産する企業が続出するとのことだ。日銀の政策決定会合には日本を代表する経済通が出席しているはずだが、経済は一筋縄ではいかないことは現状が示している。

 黒田日銀総裁は安倍元首相から乞われて総裁に就任したが、安倍氏は病気を理由に逃げ、異次元金余殃緩和の責任は黒田氏が負うことになった。さてその手腕は? 2021.12.18(犬賀 大好ー773)