国内では新型コロナウイルスの感染状況が落ち着いているが、世界ではコロナウイルスの新種であるオミクロン株が広がっている。国内では12月19日現在、新規感染者数は全国で177名、東京では33名と低く、そのほとんどがデルタ株と思われる。
米国では、ここ3週間で1日あたりの新規感染者数の平均が54,200件以上増加したそうで、ニューヨーク州やニュージャージー州では感染者に占めるオミクロン株の割合は、13%に上ると推定され、その割合は急激に上昇しているようだ。
イギリスではオミクロン株による感染が首都ロンドンを中心に急速に拡大しており、1日で1万人を超える感染が確認され、特にロンドンでは新型コロナに感染した人の83%がオミクロン株によるとみられているそうだ。
世界の先進国でオミクロン株を含むコロナ感染が大流行しているのに日本でこんなに低いのは、日本人の衛生観念の高さ等いろいろ説明されるが、本当のところ感染症の専門家でもよく分からないそうだ。
日本ではワクチン接種は国民の78%が2回の接種が終わり、これまでの常識に従えば集団免疫状態となり、新型コロナウイルスの流行は終息する筈であるが、オミクロン株はブレークスルー感染と呼ばれる2回の接種をすり抜ける感染力があるとのことで、このまま終息すると見るのは甘いそうだ。もし終息すれば、感染学の絶好の研究対象だ。
これまでのワクチンがオミクロン株にどの程度効果があるか、明確でないが思考実験は行われている。ワクチンの感染予防率が10%の低下にとどまり、人出が現状並みで推移すれば、感染が再拡大するものの東京都における1日あたり新規感染者数は最大400人程度で推移するが、感染予防率が20%以上低下すると感染爆発が発生し、30%低下する場合は2022年中に3回の行動制限の強化を余儀なくされるとのことだ。
東京都の新規感染者数は20日11名と発表された。ここ2ヶ月位、50名以下と極めて安定しており、集団免疫状態が維持されているのか、まだオミクロン株が市中感染していないと思われる。
ただし、現在の日本ではPCR検査は症状がはっきり出ているか、濃厚接触者と認定された人にのみに実施されており、オミクロン株は無症状者が多いため、市中感染が始まったとしてもその発見は遅れそうだ。一旦感染が広がり始まれば、爆発的に広がると予想される。
日本ではオミクロン株が来年早々に感染爆発が発生する予想もあり、当面は3回目の追加接種をできる限り早く進めるとともに、マスクの着用や3密の回避といった感染症対策を改めて徹底する必要があるとのことだが、いったん緩まった気持ちを再度引き締めるには時間がかかりそうだ。2021.12.22(犬賀 大好ー774)