3月15日、自民・公明両党の幹部が岸田首相と会談し、年金生活者に給付金を支給するよう要請したとのことだ。年金の支給額が年々減っていることを考え、年金の受給者約2600万人を対象に1人5000円程度、総額で1300億円規模の給付したいとの要請に対し、岸田首相はしっかり受け止め検討したい、と返答したようだ。この給付は7月10日の参院選に向けてのご機嫌取りとしか思えない。
国の借金が1千兆円を越える中、コロナ対策で各種の支援金がばらまかれ、更に選挙目当てでも金がばらまかれ、国の金庫を守る財務省もやけくそになっているのではないかと懸念する。
さて、日銀は今年3月の金融政策決定会合で、従来通りの金融緩和を継続すると決めたようだ。昨年2021年は世界の多くの国・地域においてインフレが加速し、歴史的な高水準となる中、米国の12月の消費者物価指数(CPI)の上昇率は前年同月比+7.0%に達し、39年ぶりの高水準となったそうだ。
黒田総裁は今年1月の金融政策決定会合の後の記者会見で、”賃金上昇を伴わない資源高主因の物価上昇は一時的にとどまる”と述べ、最近の諸物価の値上げラッシュにも拘わらず金融緩和政策を続行する決意を示していたが、今回も全く変わらない。
米連邦準備制度理事会(FRB)は、市場から米国債などを買い入れる景気刺激策“量的緩和”の終了時期を今年6月から3月に前倒しする方針を決定した。急激なインフレを抑えるため、金融緩和の縮小を急ぐ姿勢を強く打ち出したが、日銀は、どこ吹く風と従来の方針を変えない。
主要国が金融緩和を終了しても、日銀だけは金融緩和を止めないことによって、日本の貨幣価値が下がり円安が進むだろう。これにより輸入品が値上がりし、それが消費者物価を上昇させる。最近のような生活必需品の値上げは年金生活者には堪えるが、消費者物価指数が2%になるまでの範囲ならば、それは我慢できるとの黒田総裁の判断だろう。しかし、2%程度の範囲にとどまる保障はない。
さて、ロシアは、ウクライナ侵攻の為、日米欧からの経済制裁により、外貨準備の半分近くが凍結されている。そのため、今月16日に利払い期限を迎えたドル建てロシア国債について、ロシア政府が利払いができずに債務不履行に陥る懸念があったが、その事態はいったん回避されたが、今後も利払いや元本など巨額返済の期限が次々に迫り、デフォルト危機は続くとのことだ。
日本の国債はその大部分が日本国内で買われているようで、ロシアのようなデフォルト危機は起こりえないだろうが、GDPに見合わない国債の無限発行が、単に紙幣の印刷増だけで済むとは到底思えない。
黒田総裁は、金融緩和の続行で賃上げを伴う消費者物価指数の上昇を目論んでいるようだが、ウクライナ侵攻のような想定外の危機にも対処できるのか心配は尽きない。2022.03.23 (犬賀 大好ー800)