5月24日 東京都は、新型コロナウイルスのオミクロン株の系統の一つでBA5と呼ばれる新たな変異ウイルス1件が確認されたと発表した。現在流行の主流はオミクロン株の中でもBA2と呼ばれる変種であるが、この仲間BA5の国内での確認は今回が初めてだそうだ。しかし、感染した70代の男性は、海外への渡航歴や渡航歴のある人との接触はなく、市中で感染したと見られることから、市中には感染者は結構いると思われる。
新型コロナウイルスはアルファ株、デルタ株、そしてオミクロン株のBA1、BA2と変異株が相次いでいる。これはコロナウイルスが変異し易いせいかも知れないが、遺伝子解析の進歩が発見を促しているのだろう。
生物学者の福岡博士によれば、ウイルスを生物とするか無生物とするかは長らく論争の的であり、いまだ決着がついていないそうだ。生物は自己複製能力を有することが本質であり、ウイルスは遺伝子を有するが、単独では増殖できず他の生命体の細胞の中でしか増殖できない不思議な存在である。その遺伝子構造は生物の遺伝子より単純なため、生物の誕生以前にウイルスが存在していたと考えたくなるが、この件もまだよく分かっていないようだ。
ウイルスには様々な種類があり、大きさも細菌の1/10程度以下と思っていたが細菌と同程度の大きさのものもあるようだし、遺伝情報の実体がDNAだったりRNAだったり、一本鎖のものもあれば二本鎖のものもあるそうで、実に多様だ。
地球に生命が現れたのは約38億年前だそうだが、ウイルスは遅くとも30億年前には地球に存在していたと言われている。地球誕生から46億年、それから8億年経ち生命が誕生したが、最初の生命すなわち原始生命体はどのような形であったであろう。生命の起源を求めて、火山口から深海の熱水噴出孔まで、果ては宇宙まで探索が続けられているが、依然として謎のままだ。
ウイルスは、地球に現れてから常に自らを増やす場を求め、生物に感染し続けてきた。新型コロナウイルスばかりでなく、最近急性肝炎やサル痘のウイルス性疾患がマスコミを賑わすが、それもその活動の一環なのだろう。通常これらのウイルスは人類に害を与える宿敵と見なされるが、近年の研究ではウイルスは必ずしも人類の敵だとばかりは断言出来ないと明らかにされているそうだ。
すなわち生物の進化に関与するといった別の顔も持っており、生物と共生する中で、ウイルスは数々の重要な役割を担っているのだそうだ。ウイルスは感染先である宿主に感染するための効率よい手段を模索する。すると、私たち宿主も、そのウイルスに対抗するための手段を獲得する。このいたちごっこで、常にお互いが進化し続けると言うことであろうが、現在の新型コロナウイルス騒動もワクチン騒ぎするより自然のままに放っておいた方が良いのかもしれない。2022.06.01(犬賀 大好ー818)