日々雑感

最近よく寝るが、寝ると言っても熟睡しているわけではない。最近の趣味はその間頭に浮かぶことを文章にまとめることである。

忖度政治の源泉である人事権は絶対に手放さない

2020年01月25日 09時43分45秒 | 日々雑感
 安倍長期政権の弊害の一つとして忖度問題があり、官僚の過度の忖度もその一つである。かって各省の人事は各省に任されていたため政治は専門家である官僚の言いなりとなり、政治主導の行政運営が行えず縦割り行政となる弊害が問題視されていた。そこで、各省の幹部人事については、内閣総理大臣を中心とする内閣が一括して行うこととなり、内閣人事局が2014年に創設された。

 ところが内閣人事局に人事権を握られた官僚は政治家の思いを必要以上に忖度し、森友学園や加計学園問題等で資料の改竄や隠蔽を行い、ご機嫌取りに徹するようになってしまった。

 忖度とは元々は人の気持ちを秘かに推し量る美徳の筈であり、例えば、試験に失敗した友達の気持ちを忖度して大騒ぎしないようにした、等と使った。しかし、最近では上司や目上の人の気持ちを推察し便宜を図る、といった意味合いで使われ、忖度は出世の道具と化してしまった。

 しかも、昨年4月には、凍結されていた下関北九州道路に4000万円の国直轄調査予算が計上されたことに関し、自民党の塚田議員が安倍総理、麻生副総理に忖度して決めた、と堂々と忖度したことを公に披露するまでになってしまった。

 今回の氏の臆面もない演説は、行政の意思決定を必要性の優先順位ではなく、有力者への忖度で決定するという考え方が、自民党内で議員全般に広がっていることを物語っている。

 忖度する理由は自らの出世のためであり、党内での役職も首相の意向で決まるから、ゴマスリしたことを大声で言わなくてはならないのだろう。安倍一強政治が成り立つ理由は、自民党と公明党の与党が国会で多数を占めていることも理由であろうが、首相のすべてにおける人事権の独占が一番大きいだろう。

 さて、安倍長期政権の下で説明責任と言う言葉が頻繁に使用され、実際にほとんどの場合説明責任が果たされず免罪符の役割となっているが、与党内から批判がさっぱり出て来ない。

 議員が何か不都合を起こすと、首相や官房長官から自ら説明責任を果たせとの言葉が発せられるが、一般議員は触らぬ神に祟りなしと他人事だ。本来の説明責任の重要さを強く指摘すれば首相の政治姿勢を批判することになり、その後の出世に差し障るとの認識が広がっているのだろう。

 ようやく、岸田政調会長も今月18日自民党の河井案里参議院議員と夫の河井前法務大臣の事務所が広島地検の捜索を受けたことについて、二人が十分に説明責任を果たすべきだという考えを明らかにした。しかし、20日、記者団の取材に応じて二人は捜査に支障を来してはならないので説明を控えたいとの趣旨の発言をしたが、これで責任が全うされたとでも思っているのか、岸田氏からはそれ以上の追及の弁は聞かれない。

 岸田氏はポスト安倍の有力候補であるが、総選挙になった場合岸田氏では選挙の看板にならないとの見方もあるようで、人気取りの為、安倍政権との違いを訴えたいとの思惑もあるようだ。そもそも、説明責任の乱用は安倍首相が本家であり、森友・加計学園問題で説明責任を果たして居ないのを前面に押し出すべきだが、政権の禅譲も頭の片隅にあるようで、歯切れは極めて悪い。

 安倍首相は人事権の独占で長期政権を保っており、その弊害も目立つが、これほど有力な武器は他になく、誰が首相になっても鬼に金棒として人事権を絶対に手放さないだろう。2020.01.25(犬賀 大好-569)


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