日々雑感

最近よく寝るが、寝ると言っても熟睡しているわけではない。最近の趣味はその間頭に浮かぶことを文章にまとめることである。

北方4島問題を日ロ両首脳の仲の良さのみに頼っていてよいのか

2019年02月23日 10時16分41秒 | 日々雑感
 今月7日の北方領土の日に行われた北方領土返還要求全国大会のアピール文から”北方四島が不法に占拠されている”の文言が無くなったとのことである。これはロシアを刺激しない政府の方針を反映させているようである。

 さて、安倍首相とロシアのプーチン大統領は今年1月末、モスクワで会談し、終了後の共同記者発表で、首相は「相互に受け入れ可能な解決策を見いだすための共同作業を私とプーチン氏のリーダーシップの下で力強く進めていく。その決意を確認した」、と強調した。

 一方プーチン氏は「両国は平和条約に署名することに関心があると確認した」、とだけ述べたそうだ。そこでは具体的な計画は示されず、3時間に及ぶ会議の中身はほとんど無かったと推測される。

 北方4島問題は戦後70年以上経つのに何ら進展が無い。安倍首相は在任期間の間に何とか実績を残したいと考え、昨年11月、2島返還を先行させる譲歩案を提示し、ロシアの歩み寄りを期待したのであろうが、その案ですら否定されたのだ。

 安倍首相の譲歩案を受け、ロシアは”してやったり”と更にハードルを上げた。ラブロフ外相は2月始め、「南クリル諸島(北方4島)のロシアの主権を含む、第2時世界大戦の結果を日本が完全に認めるよう望む、さもなければどんな対話も成立しない」と強調したそうだ。この裏には、ロシアが不法占拠しているとの後ろめたさがあるのだろう。

 プーチン大統領とラブロフ外相のロシア国内での関係を良く知らないが、ロシア外交のしたたかさを感ずる。プーチン大統領は、北方4島を含む南千島地区の経済発展を計りたいと考え、そのためにまず平和条約の締結が必要だと主張し、帰属に関しては明確に表明していない。すなわち、歯舞、色丹2島は返還しても、主権はロシアに残ると訳が分からない主張をしている。

 ロシア国内では返還反対意見が多いようであり、外相は経済発展より北方4島はロシアの領土であることを日本が認めることを最優先としているようだ。両者の意見の違いは、政権内部での権力争いか、あるいは日本をけん制するための役割分担があるだけかもしれ無い。

 安倍首相はプーチン大統領とは過去に何回も会談をしており、気心が分かっていると自慢する。首相は、大統領は強力な独裁者であるため、鶴の一言でロシアの方向は決まると思っているのか、二人のリーダーシップの下で力強く進めていくと宣言しているが、大統領はそれほどお人よしではないと覚悟すべきだ。

 国後、択捉の2島の開発の現状には様々な意見があり、実態はよく分からない。ロシア政府の後押しもあって、移り住む人は増加しているようだ。また、韓国や中国資本も入り、経済発展は順調との意見もある。しかし、プーチン大統領が当初予想していたほど経済発展はしていないようで、日本の支援を熱望しているのだ。

 プーチン大統領と安倍首相の両首脳は別の意味で成果を焦せっており、仲の良さだけで妥協点は見つかるであろうか。

 また、今月始め、日本海で操業していた島根県のカニかご漁船・第68西野丸をロシア警備当局が拿捕した。タス通信によると、第68西野丸がロシアの排他的経済水域で操業した疑いがあると説明している。西野丸側の主張は、恐らく常時GPSで監視しているので操業違反をする筈はない、であろうが、違反操業を認めない限り釈放されることは無いだろう。

 日ロ関係が微妙な時にこのような事件が発生するとは、単に偶然とは思えない。ロシアは、これも外交交渉のカードとするのであろう。日本は外交交渉は不得手とのことだ。安倍首相とプーチン大統領の見掛け上の仲の良さだけに頼っているだけで決して解決されることは無いだろう。2019.02.23(犬賀 大好-523)

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