元号が令和に代わり、一部のメディアは新しい時代が到来したと大はしゃぎであるが、安倍政権の外交政策は不透明であり、どちらかと言えば暗雲が漂う。
対米国での当面の問題は貿易交渉である。安倍首相は4月27日、ワシントンでトランプ米大統領と会談した。同席した茂木経済財政・再生相は会談後の記者会見で、トランプ氏から日本が関税下げの限度としている環太平洋経済連携協定(TPP)の水準を超える要求、為替条項や自動車の数量規制の要求等はなかったことも明かしたが、会談の場でトランプ氏からの直接の言明が無かっただけで、裏では当然強い要求があるだろう。
トランプ大統領は5月末に来日し、その際には貿易交渉が妥結すると大見得を切っている。農産物の関税引き下げに関しては、日本はTTP並みとしているが大統領はそれ以下あるいは撤廃を要求するであろうが、これも来年に向けての大統領選挙活動の一環である。日本は新しい元号の下、初の国賓とお膳立てしご機嫌取りの予定であろうが、これこそ天皇制の政治利用である。
安全保障ではおんぶに抱っこの米国には頭が上がらず高額兵器を買わされ、沖縄問題でも日米地位協定を盾に、沖縄住民の安全軽視が際立っている。
果てはトランプ大統領にノーベル平和賞への推薦状を書かされる始末である。推薦状の発行は米国政府からの要請であったようだが、日本政府も本気で推薦したとは思えない。政治が平和賞の決定に関わるべきでないこと位は理解していると思うが、これを断れないくらいに、米国に媚び諂わなくてはならないのだろうか。
対韓国では文政権との間がギクシャクし、出口が見えない。韓国政府は4月12日、世界貿易機関の紛争処理で韓国が逆転勝訴とする最終判断を示したことについて高く評価し、福島など8県産の水産物輸入禁止措置をそのまま続行すると表明した。
政府が禁輸措置を解除したところで一般市民は買わなければ済む話であるが、これほど一生懸命になるとは、日本に対する慰安婦問題や徴用工問題が影響していると思わざるを得ない。韓国は隣国であり、歴史的にも関係が深い。このままでよい筈はないが、日本政府は成り行き任せでよいのだろうか。経済的に優位にある日本として大人の対応をすべきと思う。
対ロシアでは、北方領土問題に関し、歯舞、色丹2島返還に譲歩するもロシアからの良い返事はない。日本は返還されてもそこに米軍基地を作らせないといくら主張しても信用されず、米軍に確約を迫られる状況だ。ここでも対米追随外交が影響している。
対中国では、安倍首相は完全に正常な軌道へと戻ったと明るく述べている。中国の巨大経済圏構想、一帯一路に日本が協力するには、適正融資による対象国の財政健全性やプロジェクトの開放性、透明性、経済性の4条件を満たす必要があるとの認識を示し、この条件を取り入れているのであれば、協力していく姿勢を示したのだ。今や日本は貿易に関し中国抜きでは語れないほど依存度を高めており、当然の方向転換であろう。
しかし、中国と米国は貿易戦争の真っ最中である。さて、安全保障面では米国に依存する日本は今後の姿勢が問われるだろうが、近い将来重大な判断を迫られる気がする。2019.05.08(犬賀 大好-544)
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