6月の政府税制調査会の答申の中で、個人所得課税の項目で非課税となる手当について、必要性も踏まえつつ注意深く検討する必要があると記し、現在は非課税である通勤手当などを列挙したことで、一部メディアなどが「サラリーマン増税になるのではないか」と報じていた。
これに対し岸田首相は今月25日、自民党の税制調査会長と首相官邸で会談した際、税制を巡る一部報道について不満をあらわにしたそうだ。マイナンバー問題などの影響で内閣支持率が下落している中で、さらに世論の反発を招きかねない報道に、いらだちを募らせていたようだ。岸田首相は総選挙の実施時期を内閣支持率を見ながら探っていると思われ、世論の動きを非常に気にしているようだ。
7月~8月、来年度の予算編成が本格化するが、各省庁は毎年8月末までに翌年度の予算案に盛り込みたい事業を一覧にして財務省に提出する。日本の財政は厳しい筈であるが予算額が膨大になる見込みのようだ。防衛費や子育て支援の安定した財源も確保されていない背景もある。
現在異常な円安状態であるが、財務省の発表によると昨年度の国の税収は、一般会計で前年度よりも約4兆円増えて過去最高を更新したそうだ。しかし一般会計の歳出は139兆円を超える水準に膨らんだことから、国は50兆円規模の新たな借金を背負ったことになるそうだ。
国の借金は既にGDPの2倍以上の約1200兆円であり、税収が過去最高となっても国の借金はさらに増えているのだ。この状態を政府は建前上正常では無いと判断し2025度プライマリーバランス(PB)黒字化目標を維持している。しかし、目標達成はほぼ不可能であっても、政府は達成可能であると言い張り、政府の財政健全化姿勢が維持されていることを国民にアピールして訳だ。
ここでPB黒字化の目標を先送りすれば、それに乗じて財政拡張を主張する自民党内の勢力が勢いづき、まだ確定していない防衛費や少子化対策の財源を含め歳出拡大と国債発行の増発につながることを警戒している背景もあるのだ。
国の借金が果てしなく膨らむ状況はどう見ても正常ではないが、昨今のばらまき行政や国費の無駄使いを見ても、政府は真剣に心配している様子はない。岸田首相は異次元少子化対策を掲げているが、日本の将来を考えると安心して子育てできる状況ではない。
国の税収が過去最大となっても頼っているのは赤字国債だ。日本のGDPの伸びは、失われた30年と同様に今後も期待できない。財政健全化の道は歳出削減は当然であるが増税しかない。消費税等の増税を言い出すと選挙では間違いなく負けるであろうが、日本の将来を考えると増税は財政健全化の政策と言えるが、岸田首相にはその度胸はありそうにない。
2023.08.02(犬賀 大好ー935)
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