日々雑感

最近よく寝るが、寝ると言っても熟睡しているわけではない。最近の趣味はその間頭に浮かぶことを文章にまとめることである。

中国、韓国における受験戦争と日本の受験戦争

2024年03月16日 09時32分43秒 | 日々雑感
 毎年2月、3月になると若者のいない老人家庭にも学習塾の勧誘ビラが舞い込み、受験戦争の厳しさの一端を感ずるが、中国や韓国の方がその激しさからマスコミを賑わしている。

 現在、中国は共産主義社会と言え超学歴社会とも言われているのだそうだ。高考(ガオカオ)とは、中国の大学入試のことで、正式名称は「普通高等学校招生全国統一考試」で、日本で言うところのセンター試験や共通テストに該当するのだそうだ。受験生は高考の受験後、自己採点の結果を受けて志望大学に応募するが、大学に合格できるかどうかは高考の結果にかかっており、高考は人生の一大事と言われている所以だそうだ。

 中国社会では、有名校に入って高学歴を身につければ、よい就職ができて高い社会地位を手にすることができるという認識が強く、この認識は日本人にも今なお当てはまると思うが、特に中国人の間には昔の科挙制度が文化として心に深く沁み込んでおり、一層強いのではないかと想像する。

 科挙制度とは、6世紀の隋の時代の高級官僚を登用するための試験制度が始まりで、1904年の清朝末期に廃止されるまで、1300年以上続いたそうだ。優秀な人間を選抜するとともに、体制を強化するのが目的であったのであろうが、王朝が何代に亘って代わってもこの制度が存続したところを見るとこの制度が大いに役立ち、現代人の間でも高考は科挙と同一とみる文化が強く残っているのであろう。

 実際、中国の大企業や政府機関は基本的な採用基準を大学院卒業以上と設定しており、中小企業であっても四年制大学の卒業程度の学歴が求められる。そのため、都市部の中間層以上の家庭では子どもを双語(中国語と英語を使用する)幼稚園に通わせたり、受験生に1時間1000元(約2万円)以上の高額な家庭教師をつけたりすることは当たり前となり、一部の都市では、子どもが高校2年生になる頃から、通学時間を少しでも省くため高校のすぐ近くに勉強部屋を借りることも珍しくない程、受験戦争が激しいのだそうだ。

 一方、中国文化の影響の強い韓国でも科挙制度の影響が色濃く残っているようだ。韓国では大学修学能力試験と称する日本の大学入学共通テストに相当する試験があり、名門大学に入って大企業に入ることが人生の成功と言われるほどの学歴社会だそうだ。日本のように複数の大学を併願することができず、この試験一つで大学進学が左右される、強いては人生が左右されることは中国と同じである。遅れそうな受験生をパトカーが送り届けるといった光景も毎年日本でも紹介され、学歴社会・韓国を象徴する社会現象でもある。このため、子どもたちは幼いころか塾通い地獄とも呼ばれる厳しい受験競争に臨み、子どもには十分な教育をさせないといけないというプレッシャーが、韓国で出生率を低下させる1つの要因にもなっているそうだ。

 さて、日本の受験戦争は少子化時代で平穏になっていそうだが、学習塾間では子供の取り合いで逆に厳しくなっているのかも知れない。
2024.03.16(犬賀 大好ー992)



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