日々雑感

最近よく寝るが、寝ると言っても熟睡しているわけではない。最近の趣味はその間頭に浮かぶことを文章にまとめることである。

韓国大統領選挙の争点は?

2017年04月08日 10時04分50秒 | 日々雑感
 韓国では、朴槿恵(パク・クネ)前大統領の罷免・逮捕により5月9日に大統領選を迎える。選挙の最大の争点は北朝鮮や統一ではなく、国民生活と経済だそうだ。この点、米国や欧州での選挙とは大きく異なるが、大衆迎合の点では一致しているようだ。

 英国でのEU離脱の賛否を問う選挙や米国での大統領選挙では大方の予想を裏切る結果となったが、共に移民排斥が方向付けられた。また、今年3月、オランダの大統領選挙では、反イスラム主義の自由党が第1党にはならなかったが、勢力を伸ばした。来る4月23日の仏国大統領選挙では、極右政党のルペン氏が、どこまで躍進するかが焦点だ。彼女はEU離脱や反移民を主張している。

 米国や西ヨーロッパでは、移民排斥など対外的な問題が浮上しているが、背景には大衆迎合主義があると言われている。これは、世の中が複雑化し既存の政治家が問題を解決出来ず、大衆が不満を募らせているから、その不満を煽ると人気が出るとの構図である。

 韓国では経済が不安定であり、格差が広がっている現実がある。北朝鮮問題が争点とならないのは、最近の北朝鮮による頻繁な挑発に国民は慣れてしまい、危機意識が薄れている為であるとのマスコミの論調である。しかし、慰安婦問題等反日主張は国民の支持が相変わらず高く、大衆迎合主義そのものの感がする。

 現時点で、大統領に一番近いのは、文在寅(ムン・ジェイン)氏と言われている。文氏は、最大野党 ”共に民主党” を率い、次期大統領選に関する最新の世論調査では支持率が最も高く、5月に新大統領の地位に就く可能性が高そうだ。

 文氏は、朴槿恵スキャンダル追及で国民の人気を得たが、支持率が高いもう一つの理由は、慰安婦問題について日韓合意の見直しを求めるなど、反日路線を強調しているからだそうだ。対照的なのが対北朝鮮外交で、”金正恩は北朝鮮の指導者であり、対話の相手として認めなければならない”など、融和的な発言が目立つ。

 しかし、世論調査第1位とはいえ文候補の支持率は全体の3割ほどであり、4割近くが無党派層とのことだ。韓国の大統領選挙での下馬評は概して当てにならなず、勝負所は投票日の1週間前の世論だそうだ。とは言え、どの候補者も反日では一致しており、今後の日本との関係が懸念される。

 この大統領選挙は、韓国にとっては、健全な民主政治を取り戻すための第一歩となるはずだが、韓国の軍部は当然反北朝鮮であり、文氏が大統領になった場合、グーデターを予言する人もいる。朴氏の罷免は、韓国社会と朝鮮半島情勢がさらなる混乱へ突き進む序章に過ぎないのかもしれない。

 反日主張が大衆受けすると言っても、韓国人の中には「冷静に考えれば、日本にケンカを売って得なことは一つもない。韓国国内では『反日』を煽る人々の声が大きく、政治家や国民はそれに同調しているだけ」との意見も聞かれる。日本人からすれば、極めてまっとうな意見であり、慰安婦像の設置は日本が過敏に反応するから喜んでやっているだけと思わざるを得ない。

 韓国の大統領経験者の逮捕は1995年の全斗煥、盧泰愚両氏に次いで3人目だ。社会の特権や格差を背景にした民衆の怒りのなか、朴容疑者は逮捕、収監された。このような異常状態が、なぜ続くのか。これに対する対策、対応を国民は期待していないのだろうか。

 韓国的価値観では、腐敗の温床となる既得権そのものを無くしたいと思うのではなく、なぜその特権を有するのが自分ではないのかと考えるのだそうだ。このような人ばかりだから形を変えて同じ事が繰り返されると、韓国社会を分析する人もいる。

 一方、韓国は戦災が多い国である。日本のように天災が多い国では、天災を皆で耐え忍ぶしかなく、土地に執着し、地縁型の社会になる。しかし、戦災は敵が攻めて来たら逃げるしかなく、避難先で頼れるのは家族や親せきのみで、血縁型社会になる。それが、韓国でいつものように起きる大統領の親戚や関係者のスキャンダルの底流にある、と分析する人もいる。

 どちらにしても、一理あるように思われる。韓国は大衆のデモにより、軍事政権を倒し民主化を勝ち取ったと言われているが、一人一人が自由に考える欧米風民主主義になるためにはまだ時間がかかるような気がする。2017.04.08 (犬賀 大好-327)

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