5月25日、新型コロナウイルスの緊急事態宣言が全国的に解除されたが、北九州市や東京で再び感染者の数が増加してきた。これを第2波と呼んでいるマスコミも多いが、専門家は単にこれまでの名残、残存であり、この秋にも本格的な第2波がやって来ると警告している。
北九州市では新たな感染者は4月30日から約1か月間出ていなかったが、突然感染者が判明し、5月末までに97人の患者が確認された。なぜ急に発生するようになったかの原因は不明であるが、北橋市長は5月29日市感染症対策会議で、第2波の真っただ中にいるとの認識を示した。しかし、先の専門家の話から類推すれば、これまで単に感染者に気が付いていなかっただけで、第2波はこれからであろう。
東京でもしばらく感染者の数が少なく一息ついていたが再び増加傾向となり、6月2日東京都は警戒を呼びかける”東京アラート”を発令した。しかし感染状況が落ち着いてくると、10日後解除すると同時に今のステップ2から居酒屋などの飲食店の営業が翌日の午前0時まで可能になるステップ3に移行すると決定した。これで感染リスクは増加するであろうが、経済の落ち込みリスクを懸念した対策だ。
日本の新規感染者数のピークは4月中旬に越えたようで、これが第1波と言えよう。しかし3~4月に始まった抗体検査によれば、今だ国民のほとんどが新型コロナの抗体を得られておらず、国民の7~8割が感染して居れば自然に収束する期待があったが、依然として感染リスクが高く、第2波への備えが重要であることが再確認されたようだ。
これまで学校の休校、事業者には営業自粛、サラリーマンにはテレワーク等が推奨されてきたが、経済の落ち込みが甚だしいため第2波対策では緩めざるを得ないであろう。ある程度の感染者の増大を覚悟した上で、最低限医療崩壊を防止する為に医療体制の立て直し、見直し、特に発熱外来窓口やコロナ患者専用病棟の新設・増設による感染暴走対策が急務であるとの医療関係者の指摘がある。もっともである。
先日12日、新型コロナウイルス感染拡大を考慮した2020年度第2次補正予算が成立した。一般会計の歳出総額は補正予算として過去最大の32兆円で、感染の第2波をにらみ予備費に10兆円という巨費を計上した。この内医療関係にどの程度配分されるか分からないが、設備の完備には時間がかかる為ある程度の無駄を覚悟に先行投資をする必要がある。
しかし第1波での一番の反省点は感染状態の全体像の把握欠如である。これまでPCR検査は必要な人にも充分に行なえず、隠れ保菌者がどの位いるか等の全体像の把握が出来なかった。最近ようやくPCR検査に加え抗原検査や抗体検査も行えるようになり、全体像の把握が出来る環境が整った。
そこで厚生労働省主導のもと、今月始めより3都府県(東京都、大阪府、宮城県)において、性別、年齢を母集団分布と等しくなるよう層別化し、無作為抽出により選ばれた一般住民約1万人を対象とした新型コロナウイルスのサンプリング抗体検査を開始したそうだ。
抗体検査には信頼性を疑問視する声もあるが、これまでPCR検査が必要と思われても検査を受けられなかった人もおり、このような人が実際感染していたかも含め感染状況の実体が把握出来ると期待される。このようなサンプリング調査が全国的に行われれば、第2波対策として対策重点地域も明確になり、医療資源の配分等でも大いに役立つものと思われる。2020.06.17(犬賀 大好-609)
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